IAC参加
IAC(International Aeronautical Congress)という会議がバンクーバーで開かれ、参加した。
参加費が12万円という信じがたい値段。ホテルや食事は別だから、相当に高い。UNISECのアウトリーチ活動についての論文を発表することになっていたので、「金は天下のまわりもの」と唱えながらサインアップした。海に面した美しいホテルとつながった豪華会場。そのホテルに泊まると一泊3万円はかかるので、ダウンタウンの安宿に泊まる。あまり快適でない匂いがしみついた部屋。スーパーで芳香剤を買ってきて、「レモンの香りの部屋」にしてしのぐ。これもまた楽し。
会議の醍醐味は、セッション発表を聞いたり、展示会場を回ったりすることにあるのではなくて、たぶん、一箇所に人が集まることから生まれる何か、だろう。しばらくぶりに会った人たちと情報交換をしたり、新しい知り合いができたりする。発表すると、志を同じくする人に出会えたりする。
今回の出会いで一番印象に残っているのは、ドイツのブレーメン大学の先生。アウトリーチのセッションで出会った。
ドイツの大学教員事情は相当に厳しくて、業績が悪いと、1年どころか、1ヶ月単位で「首」になってしまうのだという。そんなプレッシャーの中で、子供用の宇宙おもちゃを一人で作って売っている。モデルロケットを売るには、多額の保険を払わないといけないので、会社組織を作ってがんばっている。製作から梱包、販売まですべて一人でやっているというから恐れ入る。
でも、子供たちの教育のためなんだからがんばると言ったときの顔がとてもよかった。こういう人が多くなっていけばよき未来は自然に創られていくような気がする。
ブレーメン市の催しで、4千人(!)の子供たちが一度にロケットを打ち上げたときの写真を見せてもらった。みなが一斉に空を見上げている。そしてはちきれんばかりの笑顔。自分が作ったものが打ちあがる喜びは、きっと万国共通なんだろう。
地球の写真を見たこともない子供たちが世界にはまだたくさんいるそうだ。格差を一気に縮めるのは難しいかもしれないが、喜びを少しずつ広げていくことは、きっとできるに違いない。
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