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ナノ・ジャスミン

天文台のジャスミン検討室の「反省会」に顔を出す。確か前はちゃんこ料理だった。今回はもんじゃ焼き。食べたものがタグになって、ミーティングの内容が整理されるという、なんとも自然の摂理に従った仕掛け。

位置天文学というなにやら難しげな学問領域に取り組むこのチーム、全員が「理学博士」の肩書きなのに、とても気さくで楽しくて、アタマのよさをひけらかすようなそぶりを見せたことがない。知らない人が見たら、ただのヨッパライ集団にしか見えないかもしれないのは、やはり「能ある鷹は爪を隠す」ということわざのとおりか。

この陽気な鷹軍団がもくろんでいるのは、しかし、相当にアンビシャスでチャレンジング。衛星を使って、星の距離を測るということらしいのだが、相当に精度をあげなければならないから、姿勢制御もかなりきっちりとやらなければならない。大きな衛星でやる前に、小さな衛星で試してみたい、経験を積みたいということで、大学衛星との接点ができた。もとの計画は、英語の計画名の頭文字をとってジャスミンと呼ばれていたから、小さな衛星を使う計画のほうはナノ・ジャスミンと呼んでいる。あと3年ほどで打ち上げの予定。

この軍団を率いるのは、郷田直輝氏。ムーミン風の笑顔の裏にどのような特殊能力が隠されているのか、はかりしれない。その郷田氏を超小型衛星を製作している研究室に引き合わせた「目利き」が小林行泰氏。2003年3月に六本木で行ったキューブサットシンポジウムに参加したことがきっかけだったという。あのオーガナイズは大変だったが楽しかった。土曜ワイド劇場に出ても違和感がなさそうな雰囲気をお持ちのこの方は、ひねもすのたりのたりかなのごとくにビールを飲みながら、しかし鋭いのである。さらに、京都からやってくる山田良透氏がまたいい味をかもし出す。細い目は眼光鋭いが、笑うと「人のよいお公家さん風」になる。

そして、「愛される運転手」の矢野太平氏。この方のキャラは漫画にしたいくらいかわいい。ちょうど1年前のこの日(3月1日)に、助手になられたそうで、一周年記念。アルコールが飲めない体質なので、常に運転手待遇。学生のころからずっと運転手で、たぶんこれから十年たっても二十年たっても、やはり皆様のための運転手をお努めになるのだろうなあと、ほほえましい未来がちらりと見える。新人研究員も加わったが、この方のキャラはまだ不明。

卒業設計でナノジャスミンを設計した四年生の二人に聞いてみた。
「この設計のまま、作って打ちあげていいですか?」
二人は大きくかぶりをふった。相当に難易度の高い衛星らしい。

天文台のほうでは望遠鏡をちゃくちゃくと試作しているという。郷田家の庭ではジャスミンの花を植えているという。
なにやらわかるようなわからないような話であるが、優秀な日本の天文学者たちの夢が美しく花開く日が早く来ますように。


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