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13万個の銀河

世界で一番遠くを見ている天文学者が日本にいる。東北大学の谷口義明先生。宇宙作家クラブの3月例会の講師として仙台からいらしてくださった。場所は六本木のエクスナレッジ。最近は、ここのご好意で場所をご提供いただいている。ありがたいことだ。

生まれたての銀河を探して」(裳華房)というご著書の表紙がなかなか素敵。ご本人の顔がイラストになっているのだが、実によく似ている。

午前中の用事が長引いて、私は少々遅刻。おもしろいところを聞き逃したかと思いきや、終了間際に話は佳境に入り、30分近く延長。

宇宙にあるハッブル望遠鏡とかハワイにあるすばる望遠鏡を使って、遠い遠い宇宙を研究しておられる。銀河の数は13万。ちょっとした町の人口よりも多い銀河がこの宇宙には存在しているのだという。当然のことながら、何億光年というスケールのことが普通のことのように語られる。

ハワイ島の山のてっぺんに作った望遠鏡は、夏は天の川が邪魔をして、冬は雨が多くて、深宇宙観測には不向きらしいが、それを乗り越えて成果をあげておられる。天気頼みの中、「踊る大望遠鏡事件」だの「回る大望遠鏡事件」だのという、接触不良や老朽化による不具合とも戦い、薄い酸素の中で観測を続けておられる先生の表情は明るい。

「3月に道路工事をする人たち」の気持ちがやけにわかるような気がする今日このごろ、こんな遥かな宇宙のお話をうかがえるのは嬉しい。

13万個も銀河があるのでは、一つ一つ研究する気にならないだろう。いや、一つ一つ研究すれば、13万人の雇用につながるのではないだろうか、などとつい考えてしまう。浮世の垢で目は曇り勝ちで、発想は偏り勝ち。しばしの間、遠い宇宙に思いを馳せてみよう。

先生の趣味は園芸だそうだ。遠くの星を見つめていると、足元の地球の土が恋しくなるのだろうか。私たちがいる銀河はとっても小さいものなのだそうだ。その中のちっぽけな太陽系、その小さな太陽の周りをくるくる回っている地球。その上にへばりついている小さな私たち。しかし、その私たちの頭は、13万個の銀河が入ってしまうほど大きい。

私たち。なんと不思議で愛しい存在であることだろう。

春がきて、チューリップの球根が芽吹き始めている。オランダから飛行機でお持ち帰りいただいた球根だ。小さな生命がそこかしこにあふれている私たちの地球。足元の土も遠くの銀河の星も、同じようなものでできているのかもしれない。

少しの間、浮世を忘れて、13万の銀河の間を飛び回ってみよう。
目を閉じれば、すぐそこに深宇宙。いつも、心は自由に飛べる。

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