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小さな落下塔

北海道の赤平という小さな町に、60メートルくらいの鉄塔が建っている。その鉄塔を見学に、東京から出かけた。高い建物のない北海道の開けた土地で、その鉄塔は遠くからでも目立つ。

その鉄塔は、実は、微小重力実験のために作られたもので、植松電機という一民間企業の敷地内にある。札幌から一時間ちょっとのところ。

3秒級落下実験施設ということで、北大のチームを中心に開発を進めている。塔の横には、別の建物が新築されていて、大学の研究室に使ってもらうのだという。

塔とその建物の建設資金は、事業計画が「いつまでにいくらもうかる」と書くことを求められる銀行融資向きではなかったそうで、会社としては融資を受けられなかった。普通はそこであきらめるだろうが、植松さんはあきらめない。個人で銀行から借りたという。だから、リスクは植松さん個人が負っている。

すぐ近くの上砂川というところに、もっと大掛かりな微小重力実験の施設があった。採算が取れず、閉鎖に追い込まれたのは、つい最近のこと。

一回の実験の値段が高いと、試行錯誤がやりにくい。一度で成功しないといけないとなると、敷居が高い。実験は「試す」ためのものなのに、「試してみる」ことができない。だから、使用頻度が余計に減る。余計に値段設定を高くしないといけなくなる。

安価に容易に何度でも実験できる設備があれば、試行錯誤をして、たとえば宇宙で微小重力実験をするに値するものを絞り込んでいくことができる。実験機器の改良もしやすいから、本当にお金がかかる実験をするときに、成功する確率が高くなる。

理屈ではわかっていても、それを実現するために動く人は少ない。目の前にあるドアを、押してみることもなく、ひいてみることもなく、ただドアがあるだけで、鍵がかかっていると思い込んであきらめる。できない理由は、いくらでも考えつく。

言い訳の天才になるか、やれることをやっていく普通の人になるか、いつも選択枝は自分の手の中にある。

小さな落下塔が作る未来に祝福あれ!

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