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ジャグリング・カップル

白いオープンカーに王子様とお姫様。
ディズニーランドかとみまがうようなセッティングが新橋に出現。

これはアトラクションではなくて、結婚式の二次会風景。披露宴会場から二次会の会場まで新郎新婦をこの目立つ立派な車で送ってくれるサービスがあるのだそうだ。

「キューブサット物語」の登場人物の結婚式二次会に呼んでいただいた。新郎はいつもとはまったく違って、きりりと王子様風が似合っている。中学校の先生をしておられる新婦は華奢なからだを純白のドレスで包んで、かわいらしいことこのうえない。

二人の歴史がプロジェクターで映し出される。誰もが人生という名前の物語の主人公で、誰もが語るべき何かを持っている。小さな「宇宙」が人の数だけあるかのようだ。

晴れやかな笑顔の二人は、お人形のように座っているのではなく、自ら芸を披露する。ジャグリング・サークルで知り合った二人は、長い付合いを経て、ゴールイン。王子様とお姫様が二人でジャグリングしているのを見る機会はめったにない。二人で息を合わせてやらなければいけないので、昨日は朝方まで練習にかかってしまったとか。何度かの失敗のあと、見事に成功。

二次会には、たくさんの懐かしい顔ぶれがきていた。こんなにたくさん「懐かしい」「再会がうれしい」人たちがいるというのは、なんとありがたいことだろう。

そのまま流れで三次会へ。偶然、新郎新婦たちの三次会と同じ居酒屋。二人は、衣装を脱いで「普通の人」に戻っていた。幸せそうな笑顔だけは衣装を脱いでも変わらない。

卒業して「お年頃」になっている方が多く、二週間前に結婚したとか、もうじき結婚するとか、「寿」ネタには事欠かない。大学生はあっというまに卒業し、あっというまに結婚する・・・ように見える。もう少し広い世界を見てからとか、多くの人とおつきあいしてから、と余計なことを思わないでもないが、本人が幸せならそれが一番。

皆さんが幸せになっていきますように。
幸せな小宇宙がそこかしこに満ち溢れていきますように。


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甲子園の夢

ありえない、と思っていることが、ありえる。
二年連続で、夏の甲子園で北海道の高校が優勝した。57年ぶりの快挙だという。二年連続というのは、桑田・清原を擁したPL学園でさえ達成できなかった、すごいことなのだそうだ。

こんなシナリオは、ありえないことだった。
道産子は、まず、甲子園のあの暑さに耐えられない。一年のほぼ半分が雪に閉ざされてしまうところで野球をするということ自体、ハンディが大きすぎる。それに、のんびりおっとりおおらかに育っている北海道人は、勝負にあまり執着しない。

たくさんのもっともらしい理由があたっているかどうかはともかく、甲子園で北海道勢が一勝でもあげたら、もう大変なことだいうのが、常識であった。

それがいったいどうしたことだろう。駒大苫小牧は、あれよあれよと勝ち進み、そして、決勝でも勝ってしまったではないか。去年は素直に感動したが、今年はそういった感情を超えている。

ありえないことが起こっている。正確に言えば、「ありえないと思っていたこと」が起こっているのだ。ありえないというのは、単なるひとつの見方。考え方を変えればありえるのだということを、弱冠16、7歳の高校生が教えてくれる。すばらしいリーダーである監督を得たことは幸運だっただろうが、実際に必死でやったのは彼らだ。

この快挙は、ありえないと思われていることに挑戦している人たちに勇気を与えてくれる。なんでもありえるのだ。しっかりと考え、工夫を積み重ねていけば、ありえるのだ。

インドの楽器、シタールを習い始めてはや6年。月に一回しかいけないからとか、子供のころからやっていないからなどと、たくさんの上達しない理由を並べ立てるよりは、奇跡はありえるのだと信じて練習したほうがいい。

一年以上かけて練ってきたビジネスプランの実現しない理由を述べ立てるよりは、実現すると信じ、実現したら起こりうるすばらしいことを想像して、取り組んだほうがいい。

ありえないと思ったときに、それはそこで頓挫する。ありえると思い続ければ、いつかそれは実現する可能性を持つ。よきことにつながる可能性の種子は、大切にもっておこう。適切な時期がきたら、それはちゃんと芽を出し、花を咲かせ、実を結ぶだろう。

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ビール日和

本日、ビール日和。
夏は、ほぼ毎日がビール日和。

東大赤門のすぐそばに、ビール園がある。大きな通りに面しているので、やや車の往来が気になるが、ビールを飲んでおしゃべりに興じれば、まったく気にならなくなるのが不思議。

天文台の皆さんがいらっしゃって、ナノジャスミンの検討会。その後、恒例の反省会は、このビール園が会場に選ばれた。提灯がぶらさがり、夜空の下で、なかなかの雰囲気。

本日の検討会では、打ち上げに向けての予算獲得と支払い方法が議論にあがった。衛星を作っただけではだめで、ロケットで宇宙まで打ち上げてもらわないといけない。打ち上げロケットの契約金は、前払いで、しかも契約金の半分くらいは、かなり前に払い込む必要がある。相手は民間企業なのだから、当然である。

しかし、国立の大学・研究機関では、こういった支払いの例は今まであまりない。うまくいくように今後の努力が必要である。さらに、冗談半分で、自分たちで資金が調達できれば、支払い方法で困る事はない、との話まで飛び出してきた。

「矢野くん、はやく、エビ識別ソフトを作ってよ」
エビ識別ソフトとは、写真を何万枚と整理しないままに溜め込んでいるという噂の小林氏が、自動的に写真を整理するソフトがあれば便利だという発想で考え出したもの。

「エビと入力すれば、エビの写ってる写真を自動的に選んでくれるソフトがあれば便利でしょ?」
練習用にと、カニの写真とエビの写真はたくさん撮ってあるらしいが、当の矢野さんはあまり興味がわかない様子。

「そのソフトで儲けて、打ち上げ費にしようか」
京都から来ている山田さんが冗談のように口にする。資金面の問題は、プロジェクトの成功に直接的にかかわる。お金がないわけではないのだが、契約金の前払いという「前例」がないのである。

技術的な問題も山積している。ナノジャスミンというプロジェクトで、何をどこまで実現するのか、という線引きをしないと、衛星の設計もできない。このあたりは、「決める」以外に方法はない。選択肢がどれほどあったとしても、結局はひとつしか選べないのだ。

ジャスミン物語は、ビールの泡のように消えていくのであろうか。あるいは、ここで誰かがねばりを見せて、解決策を見つけるのだろうか。

小林氏による恒例の記念撮影は、「サッポロビール」ののぼりとともに。

「この写真もっていって、サッポロビールにスポンサーになってもらおう」
という冗談が出てきてしまうのが、ほろ苦くも笑える。

貧すれば鈍すか、窮すれば通ずか、いずれの道をジャスミンチームは歩むのか。同じように苦しい状況におかれても、進む道は微妙に違う。その違いは、誰が何を未来にインプットするかによる。

いつものように矢野さんの運転する軽自動車に乗り込んだジャスミンチームのリーダーである郷田さんに、別れ際に聞いてみた。

「2年後に打ち上げる自信はありますか?」
郷田さんは、にっこり笑って答えた。

「もちろん、大丈夫です」

郷田リーダーの力強いインプットによって、ナノジャスミンは2007年に無事に打ち上げられることになった。
・・・将来、そんなふうに書けるようになることを祈ろう。

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能代宇宙イベント

能代宇宙イベント終了。UNISECのホームページに報告をアップした。

大成功した、といってよいのではないかと思う。天気にも恵まれ、地元の方々の暖かいサポートも頂いて、将来にもつながりそうな余韻も感じられた。全国から大学生が140人も集まったというのは、それだけですごいことである。

開会式にずらりと並んだ学生たちは、まるで「ちょっと遅れてきた甲子園」のよう。そうだ、これは宇宙技術の甲子園なのかもしれない。日本全国の強豪が集まって、技とチームワークを競い合う甲子園。

秋田県知事に能代市長。JAXAの担当者から文部科学省の方まで来ておられた。衆議院解散がなければ、国会議員も参加の予定だったらしい。

文科省役人の挨拶。
「自分は日大の航空出身なので、個人的には日大にがんばってもらいたいです」
このノリは、まさしく甲子園ではないか。

その日大チーム。今年の日大は、若い。二年生と三年生からなるチームは、パラフォイルを自在に操るカンサットをつくり、見事二位入賞。このカンサットは、着地するとローバーとなって目的地を目指すというから、機能的には最高である。年々すごいカンサットができてくるようになった。今年のアメリカでの打ち上げはおおいに期待が持てそうだ。

優勝は東大三年生チーム。三位は東工大三年生チーム。いずれも若手の台頭が目立つ。上級生はうかうかしていられない。こういう刺激はプラスに働きそうだ。

マスコミにもおおいに取り上げられ、地元の新聞では一面トップの扱いだった。地方から攻める、というのは戦略的に正しいと思う。東京で同じことをしても、三面記事になるかならないかだろう。

このイベントの立役者ともいうべき、秋田大学の秋山氏は、真っ黒に日焼けして、生き生きと立ち働いていた。

このイベントは、会場作りからしなければならず、人の背よりも高い葦を踏み倒すことから準備が始まった。その中心にいたのも彼なら、市役所や県庁等との渉外関係を担い、同時に初参加の秋田大学の学生を指導していたのも彼だった。本番のローバーコンペでは、自ら高所作業車を操っての大活躍。学生の送り迎えの運転手役から、プログラム運営役、司会役からお弁当手配役にいたるまで、イベントの大変な部分を一手に引き受けた上でのことである。でも、水を得た魚、のようにも見えた。

彼がいなければ、このイベント自体が存在しなかったであろうことを考えると、なしえたことの大きさはご本人が考える以上のものだったと思う。

イベント終了後、後片付けをしてから日帰り温泉へ。そして、懇親会。広々とした畳敷きの会場を埋め尽くした学生たち。全体的に若手が多く、大御所はここには来ていない。チームごとに前に出て一言。それぞれの指導教官がまた一言。

UNISECの前身であるUNISATの初めてのワークショップは2001年12月だった。あのときも相当に盛り上がったけれど、こんなことがこんなところで起こると想像もしなかった。

何かをしていると、まったく別の何かが起こる。
計画を立てても、そうでない計画がどこかで起こる。

それでいいのだ。全体として、よき方向へ向かっていればいい。今、このちっぽけな頭で考えつくことなどより、もっとすばらしいことがきっと起こっていくのだろう。小さな頭で考える貧弱な計画の枠など、とっぱらってしまおう。大きなすばらしい流れにともにいられるとすれば、それは本当に幸せなことだ。


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末広がりの日

8月8日は、末広がりの日。8は縁起のいい数で、それが二つもあるのだから、めでたいことこの上ない。・・・と勝手に考えている。

2年前のこの日、三鷹にある天文台にうかがった。
すっかり忘れていたのだが、写真を整理していたら、撮影日が2003年8月8日の写真があった。

ジャスミンチームの皆さんのほかに、台長さんにもお目にかかったような記憶がうっすらとあり、写真にはくっきりと写っている。この当時は夢のような話だと思ったが、今は、夢から現実に少し歩みはじめている。

2年しかたっていないようにも思うが、2年もたったようにも思う。
この2年の間の変化は大きかったが、これからの2年はもっと大きな変化があるような予感がする。よき方向に向かっていくことを祈りたい。

明日から、能代へ行く。
「能代宇宙イベント」なるものが、行われる予定で、UNISEC加盟団体もたくさん参加する。カムバックコンペはもちろんのこと、本邦初のローバーコンペも行われる。大学生のハイブリッドロケット打ち上げもあれば、子供たちのモデルロケット打ち上げもあるらしい。

「キューブサットカムバックコンペ」というのは、いままでやったことはなく、どうやって宇宙からカムバックさせるのかよくわからないが、最近出た小説「2005年のロケットボーイズ」では、工業高校の落ちこぼれが作ったキューブサットが、「キューブサットカムバックコンペ」で優勝するらしい。(読んでいないのであやふやです)

日本の学生たちが初めて挑戦し、ネバダの砂漠でカンサットが空を舞ってから、ほんの6年。小説のネタにまで使われるほどに知名度があがってきたのは喜ばしい。裾野を広げるとともに、頂点を高める努力を惜しんではなるまい。

8月8日は末広がりの日。
よきことが、どんどん自然に広がっていくといい。打算や欲得と無関係なところで、無理のないスピードで広がった先にあるすばらしい世界を想像するのは、たまらなく楽しい。

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神楽システム

世の中には、すごい人がいるものだ。最近、そういう方に出会うことが多くなった。

MITエンタープライズフォーラムの例会に久しぶりに参加。ここはおしゃれなところで、おもてなしが行き届いていて、居心地がいい。最初の1時間はネットワーキングの時間となっていて、ワインやチーズが用意されている。おいしいチーズをつまみながら、旧知の方とお話したり、初めての方と名刺交換したり。

ご講演が二本。最初の講演は、講演というよりはパフォーマンス。

少しくすんだオレンジ色のシャツに黒い上着をさらりと着こなし、おしゃれな銀色のメガネをかけた青年が登場。中村俊介さん。1975年生まれ。九州工業大学の講師だそうだが、学生を教えるという仕事はなしで、彼の研究成果を実業に結びつけることが大学でのミッションだそうだ。

その研究。楽しいことこのうえない。説明するのももどかしいとばかりに、彼はパソコンにつけたカメラの前で踊りだす。そうすると、アラ不思議、音楽ができるのである。パソコン上のどの位置で動けばどの音が出るかをあらかじめ設定しておけば、そういうことは可能らしい。不協和音が出ないように、音楽理論もきちんといれてあって、沖縄風とか日本音楽風など、自由自在に作りこめる。

音と画像をいろいろに工夫して、幼稚園児に見せて反応を調べたり(幼稚園児たちは、なぜか部屋中を走り回っていた)、愛知万博で公開したり、ヒップホップのダンサーに踊ってもらったり(プロなので、踊りできっちりと音を決める)した成果を見せてくれた。

彼のこのすばらしい研究は、大学院に落ちたために生まれたらしい。名古屋大で建築を学んでいたが、大学院入試に失敗。そこで、建築は向かない、グラフィックデザインに転向しようと、芸術系の大学に移ったのが発端。建築の道に進まれても、きっとすばらしいものをおつくりになったのだと思うが、人生はなるべくしてなるようにも思える。

すごいことをしているのに、気負いのようなものは感じられない。自然体で話し、自然体で動いているように見える。

「神楽システム」

このシステムの名前だ。名前もいい。「しくみデザイン」という社名もいい。

こういう方々から頂く刺激とエネルギーは、プラスに働く。ネガティブ思考が出てくる隙間がないのだ。目のさめるようなパフォーマンスのおかげで、夏バテから少し復活。

すばらしいパフォーマンスに感謝をこめて。

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