ビール日和
本日、ビール日和。
夏は、ほぼ毎日がビール日和。
東大赤門のすぐそばに、ビール園がある。大きな通りに面しているので、やや車の往来が気になるが、ビールを飲んでおしゃべりに興じれば、まったく気にならなくなるのが不思議。
天文台の皆さんがいらっしゃって、ナノジャスミンの検討会。その後、恒例の反省会は、このビール園が会場に選ばれた。提灯がぶらさがり、夜空の下で、なかなかの雰囲気。
本日の検討会では、打ち上げに向けての予算獲得と支払い方法が議論にあがった。衛星を作っただけではだめで、ロケットで宇宙まで打ち上げてもらわないといけない。打ち上げロケットの契約金は、前払いで、しかも契約金の半分くらいは、かなり前に払い込む必要がある。相手は民間企業なのだから、当然である。
しかし、国立の大学・研究機関では、こういった支払いの例は今まであまりない。うまくいくように今後の努力が必要である。さらに、冗談半分で、自分たちで資金が調達できれば、支払い方法で困る事はない、との話まで飛び出してきた。
「矢野くん、はやく、エビ識別ソフトを作ってよ」
エビ識別ソフトとは、写真を何万枚と整理しないままに溜め込んでいるという噂の小林氏が、自動的に写真を整理するソフトがあれば便利だという発想で考え出したもの。
「エビと入力すれば、エビの写ってる写真を自動的に選んでくれるソフトがあれば便利でしょ?」
練習用にと、カニの写真とエビの写真はたくさん撮ってあるらしいが、当の矢野さんはあまり興味がわかない様子。
「そのソフトで儲けて、打ち上げ費にしようか」
京都から来ている山田さんが冗談のように口にする。資金面の問題は、プロジェクトの成功に直接的にかかわる。お金がないわけではないのだが、契約金の前払いという「前例」がないのである。
技術的な問題も山積している。ナノジャスミンというプロジェクトで、何をどこまで実現するのか、という線引きをしないと、衛星の設計もできない。このあたりは、「決める」以外に方法はない。選択肢がどれほどあったとしても、結局はひとつしか選べないのだ。
ジャスミン物語は、ビールの泡のように消えていくのであろうか。あるいは、ここで誰かがねばりを見せて、解決策を見つけるのだろうか。
小林氏による恒例の記念撮影は、「サッポロビール」ののぼりとともに。
「この写真もっていって、サッポロビールにスポンサーになってもらおう」
という冗談が出てきてしまうのが、ほろ苦くも笑える。
貧すれば鈍すか、窮すれば通ずか、いずれの道をジャスミンチームは歩むのか。同じように苦しい状況におかれても、進む道は微妙に違う。その違いは、誰が何を未来にインプットするかによる。
いつものように矢野さんの運転する軽自動車に乗り込んだジャスミンチームのリーダーである郷田さんに、別れ際に聞いてみた。
「2年後に打ち上げる自信はありますか?」
郷田さんは、にっこり笑って答えた。
「もちろん、大丈夫です」
郷田リーダーの力強いインプットによって、ナノジャスミンは2007年に無事に打ち上げられることになった。
・・・将来、そんなふうに書けるようになることを祈ろう。
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Comments
情報をありがとうございます。
なるほど、そういう手もあるんですね。
それにしても、皆様、あちこちでご活躍なんですね。すばらしいです。
Posted by: Rei Kawashima | 2005.08.20 11:06 AM
川島さん、こんにちは。
ソフトウェア開発で資金調達をということですが、副産物のソフトウェアがそれなりに使えるもののようでしたら、それをネタに資金調達をするというのもありではないかと思います。例えば、私が関係しているグループではIPAの未踏ソフトウェア事業( http://www.ipa.go.jp/jinzai/esp/index.html )でえた採択金を活用しています。うまくいけば数百万単位で採択金がでます。
Posted by: fenrir | 2005.08.20 10:41 AM