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天晴れ!東北大ローバー

ARLISSは無事に終了して、皆が帰国してきた。今回は参加していないため、いろいろな方の断片的な情報から、何があったのかを消化するのにちょっと時間がかかってしまった。UNISECのホームページ用の原稿は、参加した学生さんにまとめてもらっているところで、もう少し時間がかかりそう。

優勝したのは、東北大のローバー。記録は222メートル。
記録までニッコリ笑っているように見える。過去三年間にわたり、東北大チームは辛酸をなめてきた。パラシュートが開かずに、地上に激突したこともあったし、地上についてから動き出すはずが動かなかったり、毎回、自信作を持ち込んではうなだれて帰国していた。

それが、今年は、とうとう成功した。また、例年にない暴風も関係して、パラフォイル組の成績が伸びない中で、ローバーは圧倒的な強さを見せた。しかも、優勝記録を出したときは、一メートル先も見えないような砂嵐と大雨の中を、ローバー君は一人で走っていたのだという。「ノコノコ」という名前どおり、ノコノコとゴール目指して雨風の中をひた走ったローバー君は、見事であった。

実は、このローバーは、「幻の大記録」を一日目のフライトで作っている。目標地点に4.2メートルの近さまで寄ったのだという。しかし、このときは、ローバーがわだちに足をとられて動けなくなったときに、手で道をならしての走行だったので、記録としては認められなかった。

カムバックコンペが宇宙とどう関係するのか、よく聞かれる。これはもともと、惑星探査をするときに、衛星が自力で降りて、自力で目的地に行くということを想定している。

だから、カンサットは自力で方向を見つけ、移動しなければならない。ルールには明文化されていなかったために、わだちはならしてよいという一部の誤解もあったようである。

東北大の永谷先生からコメントをいただいた。能代コンペでローバーコンペの審査員をされた方だ。この春から東北大に赴任されたので、ARLISSは今年初めてのご参加。

昨年度の参加者から,暗黙のルールとして,ローバコンペでは,深いわだちをならして良いと聞いていました.今回,雨の後だったたようで,例年に無く非常に深いわだちがありました.我々がこの状況を想定していなかったため,製作したローバでは,これを踏破することが不可能であると考え,わだちをならしました.ルールが徹底されていなかったために起こった混乱と考えております.なお,コンペとしての可能性を残すために,ローバ自体に手を触れることは行いませんでした.

なお,ローバの耐久性や長距離走行性能を試すという意味では,想定外のわだちにかかって途中で終了という事態を避けたかったため,仮に「いかなる状況でも環境を変更してはいけない」というルールがあっても,手を出していたと思います.これは,いたたまれなくなって手を出すのではなく,積極的に,自分たちのローバの性能を最後まで評価するためです.その結果,コンペとしてのゴール達成では無くなってしまったわけですが,自分たちが想定して目標設定したゴールは,完全に達成することができましたので,我々は,その結果に満足しております.

どうやら、技術を確かめたいという強い欲求が、エンジニアのマインドにはあるらしい。そのマインドがあればこそ、地味で地道な試験を長時間・長期間にわたって、ひたすら黙々とこなし、寝ずとも食べずともがんばれるのかもしれない。

東北大チームは、ローバー君のわだちでの苦闘をじっと観察して、どうすれば越えられるだろうと必死で考えたらしい。そして、あれやこれやと工夫を重ね、二日後に、わだちを一人で越えられるように改良して、再度挑戦。悪天候にもめげずに走ったローバー君の健気さとそれを可能にしたチームの努力に拍手!

ARLISS報告では、初参加の香川大チームのブログが新鮮。情景と気持ちがイキイキと伝わってくる。香川大チームは、能代コンペの後、軽量化の課題に取り組み、審査に通ったのが出発直前。カムバックにも参加したが、制御はあまりうまくいかなかった。しかし、通信が取れたのはすばらしい。アンテナを持っていて、データがとれたとき、きっとたまらない快感だったろう。

例年通り、悲喜こもごもの結果が出たけれど、無念のパラフォイル組には、10月22日の福岡コンペがある。IACに参加する外国人学生も参加してのコンペということなので、こちらも楽しみだ。

カンサットは、衛星製作のエントリーレベルと位置づけられているけれど、なかなかどうして、奥が深い。ここからたくさんの革新的技術が出てくるといい。

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