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石峯寺の夕陽

障害は、道しるべ。
何かがうまくいかないときは、別のもっといい道があるかもしれないというサイン。がまんして辛抱して生きる生き方も悪くないけれど、「代替案」を考える生き方も悪くない。どちらを選ぶかは自由。

最近、後者の生き方のほうがもしかしたら合理的かもしれないと思うことによく出会う。最初に自分のちっぽけな頭で考えたことというのは、それだけのことでしかない。状況が思わしくなかったら、そこでじっとがまんしてもいいが、別のことを考えてもいい。そうしたら、状況が悪かったことにむしろ感謝するようになることもある。

週末に神戸で法事。その帰り、叔母が紅葉がきれいだからと、有馬温泉に車を走らせてくれた。ところがひどい渋滞。駐車場はもちろんいっぱいだし、何よりも前に進まない。

あきらめて帰ることにしたところ、叔母が、以前の勤め先の近くに見事な紅葉があることを思い出し、そちらへ行くことになった。

石峯寺(しゃくぶじ)という古いお寺。

見事な紅葉なのに、人はほとんどいない。ひなびた古いお寺。

少しくすんだ赤い三重塔。けものみちのようなところを歩いていくと、池がある。紅葉が水面にうつって、美しい。

「夜はこわいでしょうね」
「昼間だって、一人だとこわそう」
という会話が出てしまうほどにひっそりとしたたたずまい。

wikipedia に書いてある「歴史」をひもといてみる。

651年- 孝徳天皇が勅願所として建立し、法道を開山とし、延命地蔵尊を本尊とした
747年 - 行基が薬師堂を建立
823年 - 嵯峨天皇の勅願により三重塔を建立
1974年 - 「石峯寺及びその周辺」として十輪院、竹林寺とともに文化環境保存区域に指定
1997年 - 「新・こうべ花の名所50選」の1つに選定される

現存する三重塔も薬師堂も、室町時代のものと書いてある。とすると、500年前の建築物なのだろうか。

あのとき、あのまま有馬温泉の駐車場に並び、人だかりのなかで紅葉をみるという選択肢もあった。それなりに楽しかったかもしれないが、石峯寺に行くことはなかっただろう。そして、ここにこんなお寺があることをもしかしたら一生知ることはなかったかもしれない。知っていても、バスに30分ゆられて来る気になったかどうかは不明。

「有馬温泉が混んでてよかった」などという言葉が出てくる。
「紅葉を見る」という初期の目的を十二分に達した上に、珍しいところに連れてきていただいて、大満足。

人生は、重荷を背負って坂道を歩くようなものだというたとえがある。思い通りにいかないのが人生だとも言われる。本当にそうなのだろうか。喜びに満ちて、楽しくてワクワクすることが次々と起こるようなものにはならないのだろうか。

呼吸法の先生の言葉。
「まず、幸せになりなさい。それから、ほしいものを手にいれなさい」

人は、何かが足りなかったりよくなかったりするから、幸せになれないと考えやすい。しかし、その何かを手にいれたからといって、幸せになれるわけではない。

うまくいかないことがあればあるほど、いいことが待っている。
いいことがあればあるほど、もっといいことがある。

そんなふうに思って生きるほうがきっと楽しい。

古いお寺で夕陽をみながら、そんなことを考えた。論理的に正しかろうと間違っていようと、どっちでもいい。論理の正しさは、前提が狂えば意味がなくなってしまうのだから。

うまくまわっていく世界の一部になりたい。そして、たくさんの人と心からの喜びを分かちあえたら、と思う。


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