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引力と斥力

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ナノジャスミンの反省会。今日はもんじゃ焼きのお店へ。
今日も今日とて、途中から熟睡モードに入る方やら、静かに飲み続ける人やら、熱く語る人やら、まめまめしく世話を焼く人やら、いろいろであるけれど、とにかくみなさんよく召し上がる。

またたくまにお好み焼きをたいらげ、もんじゃ焼きに突入。そして、焼きそばに焼きうどんに焼き飯。あいまにししゃもを鉄板のすみで焼いていたりもする。明太子チーズのもんじゃ焼きが不思議なおいしさ。

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Sさんには、毎回驚かされる。お酒が入ると正直モード全開になる楽しい性格の彼は、今回も、衝撃的な話をしてくださった。全員がちょっと後ずさり。ここではとても書くことはできないが、要するに、湯川秀樹博士の中間子の理論を人間関係で説明するとこうなる、という話。

ある距離を越えると、斥力は引力に変わる。陽子や中性子が中間子をやりとりするようになるからである。人間関係においては、その距離は50センチーメートルだというS氏。二体は危ない。三体であれば、一人が中間子になる。わかる人にはわかり、わからない人にはわからない、難しい物理のお話なので、このあたりでとめておこう。

ナノジャスミンの概念設計では、フレッシュな新人が健闘している。田中崇資さんと片岸秀明さん。まだ4年生だが、本日は姿勢制御と熱制御について検討会で発表。

姿勢制御の発表をしたのは片岸さん。ナノジャスミンプロジェクトで、星の位置を測定するためには、「年周視差」というものを計る必要があり、それには1ミリアークセックの精度が必要なのだそうだ。1ミリアークセックというのは、1度の3600分の1のそのまた1000分の1ということなのだが、それはいったいどのくらい小さい角度なのだろう。目にも見えないような精度を出せるものなのか。しかも、10秒のあいだに700ミリアークセックずれてもいけないらしい。そんなことが可能なのか。

空気抵抗、太陽輻射熱に加えて残留磁気など、姿勢を不安定にする要素はたくさんあり、どうやって解決したらいいのか、頭を抱える二人。

姿勢制御といえば、まず思いつくのがホイール。道工大の佐鳥研究室で開発していた小型のホイールに望みをかけて電話。佐鳥先生は、深夜の電話にも関わらず、快く対応してくださった。まだ精度の測定をしていないので擾乱量がどれくらいなのかわからない。ということは、望みの綱はまだ切れていない。

しかし、そもそも、そんな精密な角度をはかれるセンサーがあるのか。今、3つの案があって、検討中。CCDカメラで撮影した星のぼやけ具合によって測るというのが有力だそうだが、可能かどうかはまだわからない。

田中さんは、熱制御の担当。99.5度の角度をなす二つの方向を同時に観測すると、正しい方向を測定できているかどうかがわかるのだそうだ。カメラは一つで、鏡を向けて両方とれるそうだが、温度がかわると金属が微妙に伸び縮みする。そうすると、本当に99.5度の角度をなしているのかどうかも不確かになってしまう。それを解決するためにどうすればよいのか。シミュレーションではうまくいったけれど、現実の世界ではもっと別の要素が入り込むのは間違いない。

二人は、「こんなすごいプロジェクトの検討をさせてもらえるなんて、うれしい」といいながらも、
「ARLISS(で作ったカンサット)でさえ、思うとおりに動かなかった。頭の中でわかっていることだってできないのに、どうやればいいのかもわからないことが本当にできるんだろうか」と不安そう。

技術的なハードルを一つずつ検討していくと、いまのところ、すべてアウトなのだという。けれど、決して後ろ向きにならないところが素晴らしい。

「でも、まだ検討する余地はたくさんあります」という片岸さん。
「宇宙論に関わる大事なミッションだから、絶対に成功させたい」という田中さん。

田中さんは、もともと、物理系にいきたかったというくらい、天文には熱い想いをもっている。このプロジェクトがうまくいけば、宇宙で距離をはかるモノサシがより正確なものになり、遠くの銀河の距離がわかるようになるそうだ。そうしたら、これまでの宇宙論を覆すことになるかもしれないし、新たな発見があるかもしれない。

ミッションの核心に近づいていけば、「斥力が引力」になって、普通では起こりえない相互作用が起こって、技術的なハードルをクリアできる日もくるかもしれない。

(これらの芸術的写真は、ジャスミンプロジェクト専属(?)のカメラマン、小林氏撮影のもの。手とお好み焼きの躍動感がすばらしいですね。ちなみに、この手は私の手です)

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