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根津くらぶの秘密

根津くらぶには秘密がある。普通の料理屋さんにはない何かがどうやらありそうなこの店の秘密とは何か。まだ通い始めて一年足らずの初心者には、その秘密にふれるチャンスはほとんどないのだが、ほんの一瞬だけ、ベールがちらりとめくれて、「秘密」が見え隠れするときがある。

そもそも、根津くらぶとは何か。
根津の住宅街。路地を入っていった薄暗いところに、その店はひっそりとある。「イチゲンさん、お断り」とはどこにも書いていないが、勇気を出さないと入れない雰囲気をそこはかとなくかもし出している。

謎めいたたたずまいを見せるその店は、知る人ぞ知る名店。しかも、週に三日、木・金・土しか営業していない。ほかの日は、料理教室として開放している。私はその料理教室「初級」の生徒。

ここの料理人兼オーナーは、やまだえつこ先生。先生も素敵なら、助手の方もとても美しい方。料理が好きなだけではつとまらないと思う仕事を笑顔でこなす。

月に一回のお稽古日には、おいしい料理がいただける。否、そのような料理を作る喜びを味わえる。本日は、いなりずしに茶碗蒸しに里芋ととりの炊き合わせ。和風サラダ。

里芋ととりの炊き合わせには、春菊もたっぷりはいって、色もきれいで栄養もありそう。仕上げにゆずを細かくきざんだものをはらりとかける。とりは治部煮(これがおいしい)にして、里芋は別に炊いて、春菊もゆがいてから、別にだしでさっと煮る。こんなに手間ひまをかけているのに、小鉢に盛られたほんの一品にしかならない。

「家だったら、絶対にこんなことしないわ。全部いっしょに煮ちゃうわ」という、生徒の声に先生はさらりと答える。

「三品できて、いいでしょう?」

確かに、それぞれを別のお皿に盛れば三品になる。一品で三品分学んだ気分。料理屋さんで頂くときには、こんなに手がかかっていることだけ、覚えておこう。

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料理を作る最中も楽しいけれど、できあがって、皆さんで頂く時間がまた楽しい。
里芋はちょっとぬるぬるしているので、うまくお箸でつかみにくい。さりとて、グサッとさして食べるのもあまり美しくない。

初級の生徒なので、遠慮なく初級の質問をする。
「先生、こういうとき、つきさして食べたらダメですよね」

「一本で手前側をつきさして、向こう側からははさむようにするといいのよ」

なるほど。相手からは、つきさしているようには見えない。

食器はどれもとてもおしゃれで、料理をぐっとおいしそうに見せる。どこにこんな食器があるのかしらというような食器のオンパレードだ。

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お茶を入れてくださった急須は、朱の塗りで、木の蓋。
「この蓋、すてきですね」と言ったところ、先生はくすくす笑いながら、
「それ、割れてしまったので、自分で作ったのよ」

このおしゃれ心というか、もったいない精神というか、ここに一つ秘密があるのかもしれないと思ったけれど、たぶんこれは表面的な理解だろう。氷山の一角を見て氷山を見たと思ってはいけない。

築地で仕入れたという「上マンゴー」(ドライマンゴー)を試食。ドライとは思えないしっとりとした食感。少し余分があるというので、お持ち帰り用に購入。本日のお土産用いなりずしとともに、帰宅。

最近、根津くらぶの隣の家が突然なくなり、更地になったところが売りに出されているらしい。「根津くらぶ別館」ができたら素敵なのにと思うけれど、とってもお高いのだそうだ。グルメのお金持ちで投資したい方がいれば、オススメである。


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