キュート1.7の双子の弟
東工大松永研究室にお邪魔した。
Cute1.7が復調したようなので、見学と取材を兼ねてのこと。
プロマネの宮下さんをはじめとする松永研究室の学生さんや、理学系の河合研究室の皆さんからお話をうかがうことができた。ドラマがありすぎて、簡単には書けない感じがする。ほんの数時間でこれだけ濃い話が聞けるとは思わなかった。もっと取材を重ねて、整理をしたいと思う。
ここでは、Cute1.7の双子の弟くんをご紹介したい。今回のCute1.7の危機的状況を打開した「特殊リセットコマンド」は、この双子の弟くんの働きによるところが大きいそうだ。アポロの事故のときに、NASAの人たちがやったように、運用メンバーはこの弟くんを使って、宇宙にいる双子の兄が直面している状況を再現して、解決策を探った。
リセットコマンドが通らないのが問題だったのだが、あることをすればすべてリセットできることを、弟くんをいじっているうちに発見し、さっそくそのコマンドを実行したら、危機一髪のところで間に合ったのだそうだ。
衛星は、手の届かないところに行ってしまう宿命を持っている。けれど、連絡はとれるし、指示を送ることもできる。だから、地上に同型機をおいて、何をすれば問題が解決するのかがわかるようにしておくことが大切、とのこと。
Cute1.7の二機目を打ち上げるとしたら、新たに製作するとのことなので、双子の弟くんがこのまま宇宙へ行くことはなさそうだけれど、すばらしい働きをしたことに違いはない。
午後の運用。
軌道の関係で、8分から10分程度しか運用できないそうなので、2003年に打ち上げたCUTE-Iのときよりも、ずっと短い。当然、緊張感はたっぷり。理学系の皆さんもいっしょに運用練習。
皆さんの表情がとてもいい。
私は、こういう表情をする人たちが大好きなのだと改めて実感。
的川先生のような方ですら、「毎回薄氷を踏む思いでやっている」とおっしゃるのが宇宙開発の世界。しかし、だからこそ、味わえる醍醐味もある。
険しい道を苦労して登って、高い山から見る景色を楽しむか、なだらかな道を楽に登って、低い山から見る景色に満足するか。いつも選択権は自分にある。
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