地球交響曲を1万人に
地球交響曲(ガイアシンフォニー)という映画のシリーズがある。
龍村仁さんが作り続けている映画で、5作目まで完成している。
この映画は、普通の映画と違って、有名映画館で上映されることはない。自主上映をあちこちでやっている。人に寄り添って作ったドキュメンタリーといったらいいだろうか。響く人には響く、不思議な映画だ。
この映画を1万人に見せるという目標をたてた方がいる。
青樹洋文さん。2年半ほど前のこと。ガイアシンフォニーのブログにも記事が載っている。
彼の上映会は、いつもKNOBさんのディジュリドゥで始まる。その演奏がまたすばらしい。ディジュリドゥというのは、シロアリが木の中を食べて空洞になったユーカリの木を利用した楽器で、口で吹く。しかし、口でずっと吹いていて、鼻で息をする演奏法なのだそうで、音が途切れることはない。アボリジニの楽器だそうだ。
そして、3月11日の土曜日、第四番の上映会で1万人を達成した。記念すべきその上映に、私は立ち会うことができた。彼のこれまでの歯をくいしばっての努力をほんの少しだけ知っていたので、そこにいて、祝福してあげたかった。
何不自由ない大企業のエリート駐在員からの転身。右も左もわからない中で、お金もなくコネもなく、何をしたらいいかもわからず、手探りで進んできた彼の「旅」。1万人達成したから何かが大きく変わるわけではないけれど、「やろうと思ったことができた」というのは、たぶん、何にも代えがたい収穫だろう。そして、旅で出会う人たち、触れ合う心。本当の旅をしている人なら、誰もが共感できるであろう「奇跡」の連続。
龍村監督ファミリーも駆けつけて、祝福。
龍村監督のヨチヨチ歩きのお嬢さんが、自分と同じくらいの大きさの花束を持って、青樹さんに手渡した。かわいらしいことこのうえない。彼女は、第五番に誕生シーンで赤ちゃん役(役といっても、演技をしているわけではないが)で登場している。あの赤ちゃんがこんなに大きくなって、と不思議な感慨。ここでは、観客と映画が一体になっている。
龍村監督と青樹さんの座談会が上演後行われた。
龍村監督は、「生活のため」に、地球交響曲を製作したという。青樹さんは、その話を聞いて、「生活のため」に上映していいんだ、と思ったという。
この映画は確かに人に感動を与え、崇高なる何かを感じさせるのだけれど、その舞台裏はやはり人間の営みがあるわけで、もちろんお金の苦労もある。
「聖なるものは、最も俗なるものから生まれる」と監督。
俗なるものから聖なるものを生み出せるのが、本当の人間の力なのかもしれない。俗なるものから俗なるものを生み出しているのでは、単細胞の分裂と変わらない。
今、撮影中の第六番は、響きあう音がテーマだそうだ。そして、シタールのラビ・シャンカール氏が登場するという。彼は私の師匠の師匠。恐れ多く、また自分の腕を考えると、とてもそのようなことを口には出せないが、事実関係はそうなっている(のが我ながら信じられない)。第六番を見るのが今から楽しみだ。
青樹さん主催の地球交響曲の次回上映は3月25日。青山の東京ウィメンズプラザで。詳細はこちら。
「映画・テレビ」カテゴリの記事
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 母の言葉(2016.01.21)
- いつか、誰かのために(2012.05.21)
Comments
コメント、ありがとうございます。
どの回もそれぞれに感じるものがありますね。そして、見るたびに少しずつ違って感じることがあるのも、楽しみです。
自主上映の企画をたててみるのも、もしかしたら楽しいかもしれないですね。
Posted by: Rei Kawashima | 2006.03.16 11:19 PM
#1と#4を見そこねた状態のまま、はや、十ん年
折に触れ(話題に乗るたびに)、上映予定をチェックしてます。なかなか、来ないなあ、とも^^;
Posted by: take | 2006.03.16 04:20 PM