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ドイツの大学衛星

ドイツから友人が訪日。招待状をいただいて、ドイツと日本の交通関係のシンポジウムに参加。交通関係なので、鉄道や道路が主なのだが、なぜかセッションのひとつに「小型衛星」があった。彼はその司会役。

ISUでいっしょだった彼は、10年間の宇宙機関勤めを経て、いまはベルリン工科大の先生になっている。そして、今、キューブサットを作っているのだという。大きな衛星の経験はあっても、小さな衛星を作るのは初めてのこと。まだEM製作の段階だが、学生といっしょに作るのがとても楽しいらしく、その話になると、顔がほころぶ。

最初のミッションは、小さなリアクションホイールの宇宙実証だという。1キロの衛星用のリアクションホイールを開発中という、社員38名の小さな会社の社長さんのプレゼンはドイツ語。英語への通訳がついた。お値段を聞いたら、「まだ開発途中なので」と口ごもりながら、「ESAスタンダードを満たさないといけないなら、500万円程度」だそうだ。ESAスタンダードなんていらないと、ベルリン工科大の友人。

学生衛星プロジェクトの悩みはどこも同じ。
資金難と打ち上げ手段。
しかも、ドイツはロケットを持っていないから、自国ロケットでの打ち上げという選択肢はない。優れたロケット技術者を輩出した国が、ロケット設備を持たない歴史の皮肉。そういう点では、先人たちの努力の甲斐あって、日本は本当に恵まれている。

「日本のロケットで打ち上げてもらえないかな」とつぶやく彼。
そんなことが本当にできたら、どんなにいいだろう。キューブサットを大事そうに抱えて、次々に日本の空港に降り立つ海外の大学生たちの姿を想像するのは、楽しい。

ピギーバックの調整は、JAXA内では、かなり真剣になされているらしい。それと同時並行で、新しいコンセプトの小型ロケットの開発も、JAXA外で進んでいる。

打ち上げロケットについては、光が見え始めたといってもよいのかもしれない。関係者の皆様のご苦労には頭が下がる。

工夫を重ねて、苦労して、ものを作り、動かしていくのが、エンジニアの醍醐味らしい。「うまくいかないこと」にこそ、彼らの喜びの源泉がある。ここを理解すると、いろいろなことが見えてくる。

「簡単にできてしまったらつまらない。できてしまったら、そこで楽しみは終わる」という不思議なメンタリティを持つ人たちにとって、宇宙という世界は、チャレンジの種がつきることのない楽しい世界。しかも、一発勝負でやり直しがきかない厳しい世界。ふつうの研究者や技術者が身をおく世界とは、いささか趣を異にしている。

そんな世界で生きる人たちの思考は、基本的にボーダーレス。「うまくいかないこと」を「うまくいかせる」ことだけを考える。そこには、国際も学際もなく、ただ目的に向かってまっしぐらに突き進む魂がある。

そんな人たちが思う存分に力を発揮できる場があるといい。そんな場を作りたい。

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