« June 2006 | Main | August 2006 »

タンブーラ

日大のロシア遠征組は、無事に帰国した模様。まずはヨカッタヨカッタ。本当にお疲れ様でした!

日大4年の「ぐっさん」の言動はなかなかのもので、日大のブログを読みつつ、思わず吹き出してしまう。どんなときでもユーモアと笑いはとっても大切。深刻になったからといって、何か解決できるわけではないことは多い。彼が自分を「役者」だというのはたぶんあたっていて、そのキャラは、描き手にとってはありがたいだろうし、読み手にとっては楽しい。「意味不明」「理解不能」の注釈がまた楽しい。マンガのキャラになりそう。

7月をふりかえると、なんという一ヶ月だったのだろうと思う。ここ数年をふりかえると、ほとんどがそうなのだが、それにしてもこの一ヶ月はすごかった。こういうときは、忙しさにまぎれて、あちこちに不義理と失礼を重ねているやもしれず、もしそうだったら該当者の皆様、ごめんなさい。

今回のロケット打ち上げ失敗という残念な経験を経て思うのは、タンブーラ的存在の重要さである。前から少しそうかもしれないと思っていたのだが、ちょうど怒涛の1週間が終わってシタールのレッスンに行ったときに、タンブーラを弾かせていただいて、やはりそうだろうと思った。(打ち上げ失敗が起こる前のことだが、タイミングがちょうどよかった。めぐり合わせに感謝)

タンブーラというのはインド音楽ならではの不思議な存在。シタールはメロディーを奏で、タブラ(太鼓)はリズムを刻む。タンブーラは、メロディーもなくリズムもなく、ただ初めから終わりまで途切れることなく、その場というか空気を作る。(インドの楽器については、こちらのHPに詳しく紹介されている)

タンブーラはリズムを仕切ってはいけないし、メロディーにしゃしゃり出てもいけない。空気のようにそこにあることを感じさせず、しかしなくてはならない存在。シタールやタブラをよく見ていて、走りすぎていたら抑え目に、抑えすぎていたら少し走らせる。波の音のように、ずっと聞こえているが、ほとんど気にならない。そして、「基音」を常に奏でているので、シタールの音が狂ったりしたときには、すぐに元に戻すことができる。

UNISECは、つかみどころがないとかよくわからないと言われることが多い。もしかすると、タンブーラ的な役割を持っているのではないだろうか。

タンブーラ奏者は、「アノ人は何をしているのか」と知らない人には言われるのだそうだ。場を作るのはとても重要なことなのだけれど、「音楽にはリズムとメロディー」という固定観念があると、それ以外の大切な役割があることがなかなか理解できない。

宇宙プロジェクトには、いつも大きなリスクがある。ロケットの打ち上げ失敗は、確率が低くなることはあるだろうけれど、ゼロになることはきっとない。ちゃんと打上げてもらえたら、運がよかったのだと思ったほうがいい。

何年もの努力が水泡に帰すことは、きっとこれからもあるだろう。
そんなとき、タンブーラは黙って弾きつづけよう。そうして何事もなかったように、次の曲を始められるような場と空気を整えよう。

14個のキューブサットを失った10の大学の皆さんや、初めての衛星だったというベラルーシの方々など、何事もなかったかように次のプロジェクトに進んで、今度は大成功されますように。そうできるような物質的な恵みがありますように。もう一度打ち上げというのは、経済的にそれほど簡単なことではない現実が、少なくとも日本の大学にはある。失敗は「想定内」で、すぐに次の手をどんどんうっていけるような体制が望まれる。

そのためにできることは何だろう。タンブーラを弾くということは、ここでは具体的にどういうことだろう。
微力ではあっても、無力であることはありえない。痛みはいつも、何かを教えてくれているはずなのだ。

つらいときは、じっとしているのもいいが、動いてみるのもいい。「ひにちぐすり」(時の薬)がきいてくるまで、痛みにじっと耐えているのも悪くないが、痛みを忘れるようなことをしてみるのもいい。

おぼろげにすべきことが見えてきそうな予感。


| | Comments (0) | TrackBack (0)

SEEDS、次の一手

突然の、SEEDSの予期せぬ幕引きから一日。

打ち上げの現地(カザフスタン)で、「failure」の宣告を受けた宮崎先生が、そのときの様子をブログに書いておられる。写真満載で楽しい(内容が楽しければもっとよかったのだろうが)。同行の「ぐっさん」こと、4年生の山口さんがいい味を出している。

以下、一部抜粋。

今は,SEEDSが宇宙で動くってことを(あるいは動かないってことであったとしても)証明できなかったのが悔しい.

衛星や地上局をつくってきたOB・OGや現役の学生達の力を証明できなかったことが本当に悔しい.

この2年間,とにかく白・黒をはっきりさせたかった.

打上げ後,しばらくたって,BelKA・Bauman・Rome・Trino・P-PODのゆうに100名を超える関係者の前でKosmotrasがstatementを発表した際,"failure"の一言に場が完全に凍りついたあの状況は,忘れたくても忘れられません.

悔しい.その一言に尽きます.

OB・OGの皆んなには,こういう結果になって,言葉もないです.すまん.

そして、続けて次の一手について。

現役メンバーにとって,また振り出しに戻るというのはなかなかきついものがありますが,大事なのは,当然,「次にどういう手を打つか」.

UNISECのメーリングリストでは、たくさんの励ましメールが飛び交った。技術開発は楽しいけれど、しんどい。そのしんどさが身に染みてわかっている人たちからの励ましは、きっと心に届いただろう。

SEEDSの「次の一手」は、どうやらもう始まっている様子。
宮崎先生が日曜日に帰国されるころには、次のスケジュールが出来上がっているのかもしれない。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

SEEDS2号機

日大の木下さんからの個人メール。許可をいただいたので、そのまま転載。

今回は、悔しい結果となりましたが、次こそは成功させたいです。 これは、先程のメール(注:UNISECメーリングリストへのメール)に流そうか迷いましたが、

「14機のCubesatを失ったことが原因で世界の大学がCubeSat開発を諦めてしまわないかが心配です。とくに、Cal Polyの学生たちは自分たちのCubeSat2機が失敗に終わってしまっているのに、世界からロケットトラブルについて質問攻めであまりにも不憫でした。
彼らが、この逆境を乗り切ってくれることが、これからのCubeSat開発にとって大きなポイントになると私は考えています。彼らは、本当にがんばってくれました。」

実は、もう先程、SEEDSの2号機電池の充電を始めました。この2号機をどうにか打ち上げられる状態にしたいと考えています。

正直、SEEDSって名前をつけた先輩はすごいと感じました。SEEDSは宇宙工学教育衛星という意味で、私たちに、宇宙工学における様々な苦い経験をさせてくれました。
この話は、ブログでいろいろとお話して行こうと思っています。

この経験をUNISECでシェアできれば、SEEDS1号機のミッション(衛星自体のミッションではなく衛星開発としてのミッション)は達成されたものと考えています。

長々と書いてしまいましたが、これからも、ご支援よろしくお願いいたします。

言ってもどうにもならないことに、いつまでも執着しているのはつまらない。学べることを学んで、さっさと次に進もう。Calpolyは12月に別の打ち上げを控えている。SEEDSの二号機も飛び立てる用意をしておけば、いつどんなチャンスがくるかわからない。

木下さんは、某有名自動車メーカーH社に就職が決まっているそうだ。あそこは飛行機まで自力で作っているくらいで、技術者魂をゆさぶられるところらしい。学生時代にここまでの経験をした彼なら、これまでにない素敵なものを作ってくれるに違いない。楽しみにしていよう。


| | Comments (0) | TrackBack (0)

日大地上管制局から

日大の学生さんたちは強い。
こんな状況なのに、まわりの人たちに気を使い、感謝を表せるなんて、すごい。SEEDSのブログを読むと、不覚にも涙が出てきてしまう。

宮崎先生には、ついこの間、UNISECの総会のときに、SEEDSのご発表をいただいた。どんなにかこの日を待っていたかが伝わってくるすばらしいお話だった。そして待ちに待ったその日に受け取った最悪の結果。

以下、UNISECのメーリングリストに投稿された木下さんのメール。ご本人の許可はいただいていないが、転載させていただく。

UNISECの皆様

こんばんは。
木下延昭@日本大学地上管制局です。

本日4時43分(日本時間)に行われました、"SEEDS"を含めた14機のCubeSatと4機の小型衛星、計18機の衛星の打ち上げは、ロケットのトラブルにより、失敗に終わりました。現在、トラブルの原因はわかっておりませんが、8月末までには詳しい報告書が上がってくる予定となっております。

非常に多くの方々に支えられて、今回の打ち上げまでこぎつけましたが、失敗に終わり非常に残念(悔しい)です。できることなら、落下したSEEDSを自分の手で回収しに行きたいです。
SEEDS開発のために努力を重ねてきた先輩方のことを思うと、くやしくて仕方ありません。。。
自分たちの地上局で自分たちの衛星のテレメトリをとりたかった。僕には、今の気持ちは、これ以上、言葉では表現できません。

しかし、
SEEDSには、予備機があります。どうにかして、この予備機を今度こそ、「人工衛星」にしたいです。絶対に。

皆様、これからも、日本、そして、世界のCubeSat開発にご支援いただけますようよろしくお願いいたします。

木下さんは、現在修士課程の2年生。
SEEDS製作に関わった最後の学生さんだ。
彼の卒業前に、予備機を打ち上げてくれるロケットはないだろうか。

「本当だったら」、今頃、たくさんの笑顔と忙しく立ち働く人たちでいっぱいのはずだった日大地上管制局。
「本当だったら」、今頃、ロシアでウォッカの洗礼を浴びてひっくりかえっているはずだった宮崎先生たち。
「本当だったら」、今頃、夜のパスを受信して、情報交換に忙しくしているはずだったアマチュア無線家の方々。

・・・・でも、本当に、ロケットは打ち上げに失敗したのだ。どんなことをしても、もう戻らない。

キューブサット物語の続編は、苦い経験を経て、どんな風に展開していくのだろう。

すべてのことは善きことにつながっていると信じるのが難しいときもある。
今はかなりしんどいけれど、それでもやっぱりそう信じよう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

SEEDSのこと

日大SEEDSは、ほかのたくさんの衛星とともに、ロケットから分離されないままに25キロほど離れたところに落ちた模様。

以下、14機のキューブサットのとりまとめをしているCubeSat Communityのサイトから引用。このサイトでは、打ち上げの動画も見られる。

"The State Launch Committee continues their work to investigate what happened. We have some preliminary information of the cause [of the failure]. They have an idea of what might have happened. They know the location of where the rocket fell. They are performing the debris recovery plan. [They] always have that plan for such cases. As soon as tomorrow morning, the rescue team will be in the debris area... We will have more feedback from [them], but I'm not sure that it will be at exactly 10 o'clock [Thursday morning] when they'll tell us something. We'll do our best to keep you updated as much as possible as soon as possible. As soon as we have any specific information of when the debriefing will take place, we will inform you immediately. All we can say right now is that it's a pity, and we're really sorry. "

以下は、別の方から送っていただいたニュース(送ってくださった方、ありがとうございました)

Report: Dnepr Rocket Crashes Shortly After Launch

Russian rocket fails 18 satellites destroyed

地上局ワークショップが終わったところで、受信体制はバッチリ。東大地上局でもみんな張り切って夜から詰めていた。打ち上げ時は成功したかに見えて、乾杯の準備をしたところに、「失敗した模様」という連絡があったとのこと。

9時に東大地上局へ。
SEEDSの初めてのパスが来る時間。こないとわかっていても、受信準備をしている。
「絶対あきらめない」という言葉も出てくる。
SEEDSをモールス信号で聞くと、Sがツツツ、Eがツ なので、ツツツツツという感じになるらしい。

九大とチャットしているパソコンの画面をのぞいてみる。九大でも受信の手順をふんだけれど、もちろん音は聞こえない。

東大の地上局ホームページから、軌道計算ソフトウェアがダウンロードできる。ちゃんとSEEDSも入っている。

「本当だったら」という言葉は禁句だけれど、いまごろこのあたりを飛んでいた「はず」だったのだと思いながらぼんやり画面を見つめる。「本当だったら」、いまごろ世界中のアマチュア無線家の中で、誰がどこのビーコンを一番に受信したとか、この衛星はどこの衛星かという楽しい議論が巻き起こっていただろうに。

この感じは、たぶん喪失感というのに一番近い。
生まれ来る赤ちゃんを待って、ベビーベッドやベビー服や小さな靴、靴下もみんなそろえて、「オギャー」というのを楽しみにしていたのに、赤ちゃんが何かの具合でこなかった、というような感じに近いだろうか。

そういうとき、親御さんの悲しみはどれほどだろう。
SEEDSの開発者の皆さんの落胆はどれほどだろう。
自分たちの手を離れたところで、自分たちにはどうすることもできないところで、生まれる前に消えてしまった命。

SEEDSは、韓国とノルウェーのキューブサットと同じP-PODに入っていた。
韓国の記事によれば、韓国航空大学の張泳根(チャン・ヨングン)教授チームではもう二号機を開発中という。

喪失感は、二号機の成功で埋められるかもしれない。10大学14機のかわいそうなキューブサットたちを失った悲しみは、もっとたくさんのキューブサットの成功があれば、乗り越えられるだろうか。

ロシアに行っておられる日大チームの皆さんが、まずは無事に帰国されることを祈ろう。
そうして、私たち皆が、喪失感を乗り越える強さを持っていることに気づけますように。


| | Comments (0) | TrackBack (1)

SEEDS、打ち上げ失敗か?

朝起きて、日大SEEDSのページをあける。

なんと・・・・打ち上げ失敗の報が。
ロケット自体の失敗ということのようであるが、状況がわからないので、またわかり次第アップしたい。


<以下、WEBの記事より>
Russian rocket fails
18 satellites destroyed
BY STEPHEN CLARK
SPACEFLIGHT NOW
Posted: July 26, 2006; Updated @ 8 p.m. EDT with more details

A flock of small satellites for a diverse group of international organizations was lost Wednesday after a converted rocket from Russia's strategic missile arsenal fell back to Earth moments after launch.

The three-stage, 111-foot tall Dnepr rocket fired out of an underground missile silo at 1943 GMT (3:43 p.m. EDT), or in the late-night hours at complex 109 at the Baikonur Cosmodrome in the arid grasslands of Kazakhstan. The Dnepr is a decommissioned R-36M ballistic missile - also called the SS-18 Satan in Western circles.

Information suggests something went wrong early in the launch sequence. Various Russian news reports say the rocket's first stage engine was switched off 86 seconds after liftoff. This was about ten seconds before the powerplant was to have shut down before giving way to the Dnepr's second stage.

The booster and its paying cargo crashed some 16 miles south of the launch pad, but no damage or injuries have been reported, according to the Interfax news agency. An investigation into the accident is underway, and recovery forces are being dispatched to the debris area.

A four-chamber RD-264 engine powers the Dnepr's first stage, which is unmodified from the version used by the R-36M missile.

"The State Launch Committee continues their work to investigate what happened," a senior Kosmotras manager told payload officials. "We have some preliminary information of the cause (of the failure). They have an idea of what might have happened. They know the location of where the rocket fell. They are performing the debris recovery plan."

"All we can say right now is that it's a pity, and we're really sorry."

The launch had been postponed from last month due to problems found while preparing the Dnepr rocket. Officials opted for a one-month delay to replace the booster with a back-up before proceeding with launch operations, news reports said last month.

The Dnepr carried 18 satellites in all, including a remote sensing spacecraft for Belarus, a Russian student-built satellite, two Italian university microsatellites, and 14 palm-sized CubeSat payloads housed inside five portable deployment devices.

The destination for the launch was a Sun-synchronous orbit about 325 miles high with an inclination of 97.4 degrees.

The largest payload lost in the launch accident was BelKA - the first orbiting satellite for Belarus. The Earth observation platform was built by Energia in Russia to carry out a robust remote sensing campaign for Belarus and other users worldwide. Major objectives of the five-year mission included mapping, climate observations, and tracking geological processes.

BelKA's manufacturer says the satellite was designed to capture both visible and infrared images in high resolution. These pictures were then to have been digitally sent to communications stations scattered across Russia. Plans then called for the images to be sold commercially. The project cost approximately 230 million rubles, which converts to around $9 million, media reports said.

A Russian microsatellite built by a group of students at the Moscow State Technical University was also aboard the doomed rocket launch. Called Baumanets, the small spacecraft was to have operated in space for at least one year as an educational tool and technology pathfinder for students.

The Dnepr rocket also carried two Italian student payloads. UniSat 4 was the fourth member of a series of microsatellites managed by professors and students at the University of Rome. Another - called PICPOT - was designed and developed by engineering students in Torino, Italy.

Fourteen tiny CubeSat spacecraft mounted atop the failed launcher were to been deployed from five carriers shortly after reaching orbit. Students at universities around the world provided most of the four-inch wide, two-pound craft. Contributors for this launch included teams from the Universities of Arizona, Illinois, Kansas, Hawaii, Montana State University, Cal Poly, Hankuk Aviation University in Korea, Nihon University in Japan, the Norwegian University of Science and Technology, and The Aerospace Corporation.

The CubeSat program - developed and run by officials at Cal Poly and Stanford University - offers opportunities for colleges and other low-budget groups to build miniature spacecraft for roughly $40,000. Customers then deliver their completed CubeSat satellites to integration teams at Cal Poly, who load them into their protective launch containers before shipping the payloads to the launch site. The project currently consists of over 40 universities, high schools, and private companies, according to its web site.

The next CubeSat launch was scheduled for this fall using another Dnepr rocket to deliver seven of the diminutive satellites into orbit.

Six previous space launches of the Dnepr all ended in success, most recently two weeks ago when the Genesis 1 inflatable space habitat was hauled into orbit for U.S.-based Bigelow Aerospace. A total of 23 spacecraft have also been successfully released into orbit since commercial launches began in 1999.

Another Dnepr rocket was slated to launch a follow-on Genesis module by the end of this year. However, the schedule for future flights of the Dnepr will likely remain in flux until an investigation determines the cause of Wednesday's failure and any necessary fixes.

The Dnepr launcher is marketed by ISC Kosmotras, an international company formed in 1997 by Russia and Ukraine.

ロシアのロケット打ち上げ失敗 日大の衛星消える 2006年07月27日http://www.asahi.com/science/news/TKY200607270591.html

 カザフスタンのバイコヌール宇宙基地で27日未明、ロシアのドニエプルロケットの打ち上げが失敗し、ベラルーシ初の地球観測用衛星「ベルカ」や日大が開発した一辺10センチのサイコロ形衛星「キューブサット」など、搭載されていた18個の小型人工衛星が失われた。

 イタル・タス通信によると、打ち上げ後約30秒に第1段のエンジンが停止。カザフスタンとウズベキスタンの国境地域に落下した。けが人は無かった。

 「ドニエプル」は、大陸間弾道ミサイル「SS18」を平和転用したロケットで、昨年8月には日本の光通信実験衛星「きらり」を打ち上げていた。ロシア宇宙庁によるとミサイル実験で160回以上、宇宙ロケットとして6回の発射実績があり、信頼性が極めて高いとされていた。

 今回の打ち上げには、ベラルーシのルカシェンコ大統領が立ち会っていた。日大の「キューブサット・プロジェクト」のホームページによると、同大が99年から開発してきたFM送受信機などを搭載した重さ1キロの小型衛星が積まれていた。

日大の超小型衛星搭載、ロシアロケットが打ち上げ失敗(読売新聞)
 日本大学が作成した超小型衛星「キューブサット」14基など計18基の衛星を搭載したロシアのドニエプルロケットが27日未明、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられたが、エンジンが直後に停止し、失敗に終わった。

 キューブサットは一辺10センチの立方体。同大の学生らが2001年から3年がかりで開発した。姿勢をモニターする磁気センサーや地上から音声を受信する機器を搭載していた。

 開発者の一人、同大大学院理工学研究科の木下延昭さん(23)は「これまでこのロケットの打ち上げはほとんど成功していたので、失敗するとは考えていなかった。信じられない」と話していた。

(2006年7月28日10時31分 読売新聞)

日大の衛星打ち上げ失敗 ロシアのロケットに搭載 (東京新聞)
 【モスクワ27日共同】カザフスタンのバイコヌール宇宙基地で27日未明(日本時間同日午前)、ロシア宇宙庁のドニエプルロケットの打ち上げが失敗し、日大が開発し同ロケットで打ち上げを目指した一辺10センチの小型衛星「SEEDS」(シーズ)や、ベラルーシ初の人工衛星「ベルカ」など計18個の衛星が失われた。

 インタファクス通信によると、打ち上げから約1分半後にエンジンが停止する事故が発生。ロケットはカザフとウズベキスタンの国境付近に落下した。地上の民家などに被害はなかった。

(2006年07月28日 00時02分)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

SEEDS、今度こそ打ち上げ

日大のキューブサット、SEEDSが打ち上げを待っている。あと6時間で打ちあがる。
先月の打ち上げが突然延期になってのこと。14機のキューブサットがいっしょに打ちあがる。

以下、日大地上局リーダーの木下さんからのメール。

カザフスタンに行っているメンバーからの情報によりますと、 現在、インターネットに接続ができない(接続できる環境が ない)以外、問題はないとのことです。

このまま、予定通り打ち上げが実行されるようです。

打ち上げ予定時刻
2006年7月26日 19時43分00秒 (UTC)
2006年7月27日 04時43分00秒 (JST)

打ち上げ場所
カザフスタン バイコヌール宇宙センター

日本大学地上管制局での初パス(AOS時刻)
2006年7月27日 09時04分36秒 (Max. EL 5.4)

打ち上げまで、あともう少しです。。。
みんなで、力をあわせてがんばります!!!

明日の朝起きたら、もうSEEDSは宇宙にいるのだ。

日大の皆さんは、今夜は寝るどころではないだろう。
東京上空に来るのは9時過ぎ。明日の朝は早めに起きよう。

SEEDSのブログも必見。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

CAMUI実験中止

7月末に予定されていたカムイロケットの打ち上げ実験が中止となった。
技術開発というのは、一筋縄でいかないものらしい。だからおもしろいのだという声もあるが、当事者はつらいだろう。あとになったら笑い話になるかもしれないけれど、そのときはとても笑えまい。

以下、HASTICのホームページから引用。

CAMUI ロケットを応援してくださる皆様へ


 7/30(日)に実施を予定していた打上げ試験ですが、7/22(土)の実験で起動時に再度異常燃焼が発生し、解決の見通しがつかないことから中止することと致しました。3/18 の燃焼実験成功から 3回連続して定常燃焼に成功し、自信を深めた上での打ち上げ計画再開でしたが、その後、今回を含めて 5 回連続の異常燃焼発生となりました。異常燃焼の原因は元より、当初の燃焼実験で 3 回続けて成功した理由すら判然としなくなったという状況です。

 ぎりぎりまで判断を延ばした結果、直前の中止となり、各位にはご迷惑をおかけすることとなってしまいました。心よりお詫び申し上げます。

 今後は 1/2 スケールの小型モータによる実験に立ち返り、起動時の信頼性を確保するための起動シーケンスの開発を行う予定です。起動さえできれば安定燃焼をしてくれるモータであることは判っています。また、同スケールの水冷式モータでは高い信頼性を示していますので、特徴的な燃焼方法に起因する問題ではないことも判っています。学生達は本日も赤平市の植松電機に残って既に小型モータでの燃焼実験を始めています。打上げ計画の再開がいつになるのかは判りませんが、諦めたわけではございませんので、今後も引き続きご声援頂けますようお願い申し上げます。

平成 18 年 7 月 24 日

永田 晴紀(Harunori NAGATA)
HASTIC 理事、CAMUI ロケット WG プロジェクトリーダー
北海道大学大学院工学研究科機械宇宙工学専攻 

「引き続きご声援」、はい、もちろんまかせてください。
と書いて、考えてしまった。

技術的な応援ができるとよいのだけれど、それはちと難しい。
では、精神的な応援ならできるのだろうか。精神的な応援とはいったいなんだろう。目に見えないもの、形にならないもの、それでいて感じ取れるもの、だろうか。言葉だろうか、差し入れだろうか、何かほかのものだろうか。

もし祈るとしたら、何を祈ればよいだろう。
「開発者の皆さんに、乗り越える強さと知恵をお授けください」

できるかどうかわからないことを自らの判断で行うとき、いつも私が祈ることを、そのままカムイロケットの開発者の皆さんのために祈ろう。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

怒涛の1週間

UNISEC総会やら国際GSN(地上局ネットワーク)ワークショップやらが立て続けにあった怒涛の1週間。

自らがこの日程で企画したものばかりなので文句は言えないけれど、さすがにちょっときつかった。多くの方の献身的なご協力とご助力によって、なんとか無事に終わったようで、ヨカッタヨカッタ。

16日は日曜日だったけれど、スタッフが集まって準備三昧。皆さん、よく気がついてクルクルと働く方ばかりで、気持ちがいい。軽口をたたきながら、総会とワークショップの準備をいちどきに行う。名札やら受け付けリストやら配布物やら、用意するものがたくさん。

東北大の坂本氏は、1時に到着するなり、配布資料やProceedings等の製作作業。彼はGSNワークショップのプログラム委員長。この4月に九大から東北大に移ったばかり。仕事が丁寧で正確。それから大量のコピー作業。その合間に、海外参加者のお迎え。学生さんたちに手分けしてお願いしていたところ、全員が上野駅から東大まで荷物を抱えて徒歩で来られた。

この日は、全国から集まったUNISEC加盟団体の学生代表が集まっての会議も行われ、OBの打ち合わせ兼飲み会も行われ、いずれもおおいに盛り上がっていたらしい。

17日は、午前中にUNISEC初のOB企画イベント、午後に総会。午前中の裏番組で理事会。どれもこれも大切なものだけれど、体は一つしかない。うーむと思っていたら、akiakiさんの姿を会場で発見。ビデオ撮影に加え、臨場感にあふれるレポートをアップしていただいて、感謝。ご本人は悲鳴をあげておられたようであるが、余力で総会のレポートまでアップしてくださっているくらいだから、大丈夫だったに違いない。

総会の後の活動報告会は、学生理事たちの大活躍で、ラクチンをさせていただいた。申し込みをはるかに超える参加者の数で、懇親会は立つ場所もないくらいの大盛況。こんなにたくさんの大学・高専が参加するようになるなんて、設立当初は考えてもいなかった。当時、中野富士夫さんに、「たったこれだけ?工学部のある大学はすべて参加するくらいじゃないと」と言われた記憶があるのだが、少しずつその方向に動いているようにも見える。

18日は、午前中は衛星打ち上げ説明会。
衛星打ち上げ説明会では、総務省・JAXAからご担当者が多数いらしてくださった。総務省からは、衛星打ち上げで一番の法律的難関である周波数について、JAXAからは、H2Aによる小型衛星打ち上げ機会の提供についての詳細な説明。さらに、学生団体SDFが昨年まとめた衛星打ち上げにかかる法的リスクについての発表もしていただいた。

この日程になったのは、17日の総会に来られるUNISEC関係者が出席しやすいようにとのささやかな配慮。遠方から飛行機代を払ってくるのは、やはり負担が大きい。ついでに参加していただけるように、こうなった。しかし、これだけのために北海道から駆けつけたという方もいらっしゃった。午前中だったので、前夜からいらしたとのこと。いらっしゃった甲斐はあっただろうか。

18日の午前中には、裏番組が二つあって、一つは日本語でのチュートリアル。実際にコーディング作業を行った。時間がかかる作業なので、午前中では終了しなかったのだが、この日の夜、懇親会の後で全員が戻って作業の続きを行っていたというから驚きである。最近の若者の根性と責任感には驚かされることが多い。

もう一つの裏番組は海外ワークショップ参加者のテクニカルツアー。N研究室の地上局設備にご案内。四年生のIさんがお迎えに来られて、参加者をご案内し、向こうでは大先輩のFさんが待機して、地上局の説明。ESAで学生プロジェクトを率いている方が、「とてもいいツアーだった」と言ってくださった。やはりホンモノは強い。本当に衛星が飛んでいて、運用ができているのだから、それだけで大きな説得力がある。

18日午後からは、いよいよ発表セッション。この日は、香川大と九大の学生さんが、ビデオ録画を手伝ってくださった。感謝。夜は学食で懇親会。

19日午前中の発表セッションの間に、Proceedings製作作業を行う。後で送るのは大変だしコストもかかる。当日渡してしまうのが一番ということで、参加者から発表パワーポイントをご提出いただき、変更不可のPDFにして、地上局用のソフトとともにCD-ROMに焼いていく。強力なチームワークで、19日午後には、全員分ができあがった。

19日午後は、実習と議論。
議論はあとでじっくりとビデオを見返そうと思うような白熱した議論となった。ESAも地上局ネットワーク構想を出しているので、そことどう協調していくか、発展途上国をどう巻き込むのかなど多くの論点がある。

実習は、機器を会場に持ち込んで行った。ソフトウェアを実装して実際に運用してみる。
東工大の最初の衛星CUTE-Iの音が聞こえた。モールス信号で、CUTE、CUTEといっているそうで、わかる人にはちゃんとそう聞こえるのだそうだ。

20日はキューブサットミーティング。これはオプショナルで企画。裏番組で、いろいろミーティング。ちょっとしたことが大きく歴史を変えるのだろうなあと思ったりする。

怒涛の1週間はこうして過ぎていった。後はお金の締めと残務処理。まずは事故もなく無事に終了したことに感謝しよう。

終わりよければすべてよし、という。
これはいったい終わりなんだろうか、それとも始まりなんだろうか。
もし始まりなのだとすれば、これから起こることはいったいどんなだろう。

怒涛の1週間が創り出す未来はどんなだろう。見えないところで、たぶんもう変化が起こっている。よき変化であることを祈ろう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

my journey

人様のお話をいつもうかがっていて、自分の話はあまりしたことがなかったのだが、ありがたいことに、短い文章をまとめる機会をいただいた。

AIAA衛星通信フォーラムがオンラインで出している「Space Japan Review>」。編集部の方が書いてくださった紹介文を載せておく。

スペースジャパンクラブ 「よりローカルに! よりグローバルに!」 NPO法人大学宇宙工学コンソーシアム 川島 レイ    (PDFサイズ:124kB)


「世界のあちこちで、大学生たちが自分たちの手作り衛星からの声を聞いて、感激する姿を想像するのは、なんと楽しいことだろう。その瞬間に、「細胞のひとつひとつから涙が出る」ような強烈な喜びを感じるという体験を、多くの若い方々が持てるようにしていくことは、善き未来につながっていく細い道の一本につながっているのだと信じている。」大学・高専学生による手作り衛星やロケット等の実践的な宇宙工学プロジェクトの支援、促進を目的として設立されたNPO法人大学宇宙工学コンソーシアムの川島レイさんに、国際宇宙大学から始まりカンサット、キューブサットへいたる、ご自身の衛星への関わりを書いていただきました。

(注:2009/3/10 リンクが切れているようなので、載せていただいた原稿をこちら

にアップしました)

英語版もあるとのことで、英語でも作成。ついでに、こちらも紹介文を載せておこう。

Space Japan Club "Expand Locally and Globally" University Space Engineering Consortium Rei Kawashima


I am pleased to imagine that university students all over the world will jump with deep emotion when they hear a voice from their hand-made satellites. At the unforgettable moment upon receiving a signal, one student said that he felt impressed "as if tears were coming from each cell in his whole body." I believe that facilitating young people to experience such glorious moment leads us along a narrow path to a better future." Ms. Rei Kawashima, University Space Engineering Consortium, which was established to facilitate and promote practical space development activities in universities and colleges, describes her experience from the International Space University to student's micro-satellite projects such as CanSat and CubeSat..

(Note: Please click here

for reading the whole paper. I uploaded it as the link did not seem to be available any more.)

ただいま、総会やワークショップの準備で、TO-DOリストが山のようになっている。ひとつひとつは小さいことだが、どれひとつをとっても大切なこと。

そして、やることがあるのは、とても幸せなこと。
日々の忙しさは、この「真実」を少しもゆがめることはない。

本日、どうやらとても暖かいようだ。33度との予報。

水分をしっかりとって、元気に一日を過ごせますように。


| | Comments (3) | TrackBack (0)

祝!キューブサット三歳

2003年6月30日に打ちあがったキューブサットが、とうとう3歳のお誕生日を迎えた。なんと嬉しいことだろう。

N研究室では、盛大にケーキでお祝いをしたようである。M研究室ではどうだっただろう。

いったん何かを見たり持ったりしてしまうと、それがなかった時代のことを考えるのは難しくて、それは当然あるものだ、という意識を持ちやすい。学生が衛星を作って打上げるのは、それはそれは大変なことだったのだけれど、研究室に入ったときから衛星運用をしていれば、それほどすごいこととは思えないかもしれない。

ライト兄弟が飛行機を作るのは大変だったろうが、今、飛行機に乗るのは、ごく普通のことになっている。自分で飛行機を作れといわれれば、もちろんできないのであって、飛行機を作るのはすごいことなのに、飛行機というものの存在に対して、特別な感情を持つことはあまりない。

8月19日に行われる予定の能代宇宙イベント
去年が第一回で、今年は第二回目。第一回は、秋田大の秋山先生の奮闘で、まわりの協力を得て、なんとか開催にこぎつけた経緯がある。第二回目ができるようになったのは、実はすごいことであって、第三回はあるかどうかはわからないのだが、「当然あるもの」として、「来年の能代コンペを目指します」などという言葉がもう聞こえている。

来年も、それがあるかどうかなど、ほんとうは、誰にもわからない。そういう認識を持っている人はあまりいないけれど、本当はすべてがそうなのだ。

そんな中で、キューブサットが三歳の誕生日を迎えたのは、本当にすばらしい。文字通り「手作り」の衛星が、あの厳しい宇宙環境の中でちゃんと生きて動いているのだ。ふりそそぐ放射線に強烈な太陽光。大気に守られている私たちには想像もできない世界で、毎日元気に電波を出して、地上とコミュニケーションをとっている。

ただ、拍手。きらびやかな言葉も大上段にたった物言いも、キューブサットには似合わない。
何もいわず、ただ、心からの拍手を贈ろう。

三歳の誕生日、おめでとう!

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« June 2006 | Main | August 2006 »