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カムイロケットが夢の扉に

日曜日の昼下がり。上野公園の中にある奏楽堂で、パイプオルガンのミニコンサート。日曜の午後2時からと3時からの二回、芸大の学生さんが弾いてくださる。

奏楽堂の建物の雰囲気もよいし、パイプオルガンを聞くのも大好き。入館料300円なりで楽しめるのも魅力。一度行ってみようと思っていたのが、あっけなく実現。通りかかったらやっていた。黒いパンツ姿の芸大生が、そのかわいらしい容姿からは想像できないような荘厳な音を創る。

たいそう得をしたような気分で、花など買って帰る。
食事の前にメールのチェックをしようと思い、パソコンをあける。あけてよかったと思うことはときどきあるが、今回は特別。

なんと!
本日、カムイロケットがテレビ放映のお知らせ。これは見逃せない。

TBSの「夢の扉」がカムイロケットを取材しているのは知っていた。
打ち上げが延期になったので、放映も延期になるのかと思っていたが、これまでとりためた分だけ、先に放映されることになったらしい。

ともかく、間に合いそうなので、宇宙作家クラブのMLにもお知らせする。

見知った顔がテレビに出るのは不思議。ほぼリアルタイムのことがこうやって報道されるのも不思議。観客席と舞台がつながったような感覚。みなさん、やけにりりしくかっこよく映っている。俳優さんのようである。

打ち上げ延期にいたるまでのことが、丁寧に描かれている。うまくいったときの笑顔といかなかったときの苦渋に満ちた顔。

永田先生の大学時代の同級生、野口宇宙飛行士との電話の様子も映される。

「追い詰められてる・・・」
「シャトルもいつもそうだから」

そういえば、スペースシャトル・アトランティスの打ち上げも延期になった。

打ち上げ予定日から1週間前の燃焼実験。
伊藤さん(北大大学院生)は、一日延期したほうがいいと主張。永田先生は決行を主張。

「2秒だけ燃やそう」(永田先生)
「そんなのは意味がありません」(伊藤さん)

このやりとりが緊迫感があって、なかなかなのである。
結局、2秒だけでなくて全面的に決行した燃焼実験は失敗。よい燃焼は、炎がひし形になるそうだが、悪い燃焼はさまざま。今回はエンジンが爆発してしまった。

「・・・打つ手がない」

打ち上げを目前に控え、GOかNO-GOかの最後の決定を下すのは永田先生。3月の打ち上げを延期して、7月に予定した打ち上げ。

「二回も打ち上げ延期だなんて、屈辱的」

映画のセリフのようにつぶやかれる言葉は、映画ではなくて現実。
こんなふうにほぼリアルタイムに、一般視聴者に宇宙の現実が届くようになったのが不思議。宇宙はこれまで、手の届かない遠い人たちのものだったのに。

いまのところ、宇宙へは、魔法では行けない。
行くためには、一つ一つ技術を積んで、モノを創るしかない。
そして、その一つ一つがすべてうまくできて、なおかつ組み合わせたときにきちんと動いて、さらにたくさんの関門を無事に通過して、そして初めて宇宙に行くことができる。

雨ニモマケズ、雪ニモマケズ、カムイロケットを宇宙へ行かせるための努力は、今日も行われているのだろう。
こういう映像を見ると、日ごろ当たり前だと思っていることが、実は小さな努力の積み重ねだと、ほんの少しだけわかる。飛行機も新幹線も自動車も携帯電話も、当たり前のように思えているけれど、実はそうではない。毎日食べているご飯だってそうだ。

すべてのことは魔法ではなくて、誰かが何かをした結果。

カムイロケットは、勇気ある後退を決め、小さなエンジンからやり直すのだそうだ。

夢の扉は、もうきっと開いていて、ただ歩き続けることだけが必要なのだろう。

自分のペースで歩き続ける決心をした永田先生たちは、次の打ち上げ日を決めることはしない。打ち上げ準備ができたら打ち上げ日を決めるのだそうだ。

楽しみを先に延ばすのは、悪くない。
「2015年までにCAMUIロケットを実用化し宇宙開発をみんなに手渡したい」というのが永田先生の「My Goal」。

打ち上げ成功の興奮を想像しながら、楽しみに待つことにしよう。

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根津くらぶで食事

8月の最後の土曜日に、お料理を習っている根津くらぶで食事。
お客さんとしていくのは初めてのことで、ちょっと緊張。
予約の電話などいれて、おでかけの服をきて、いそいそと出かける。今日はエプロンなし。

ちょうど先生は、タイに出張中とのこと。もうじき、タイでも根津くらぶの料理が味わえるようになるらしい。それも楽しみ。<注:タイのお話はペンディングになったとのこと(9月11日)>

一度お客さんとして行ってみたいと思っていたのだが、なかなか機会がなかった。
たまたま母が遊びに来ていたので、いっしょに行く。

ディープな根津の路地をはいったところに、ひっそりと根津くらぶはある。
玄関は引き戸。黒い格子戸。シックな暖簾がさらっとかけてある。

中に入ると、そこから、お店の中にまた路地がある。そして入ると、なんとも居心地のよい空間ができている。

たいそう入りにくく見えるお店に、勝手知ったる顔をして入っていって、見知った顔が笑顔で迎えてくれるのは、なんという快感だろう。

同じ空間ながら、お料理教室のときとは雰囲気が違う。ああやっぱりここはお料理やさんなのだと改めて思う。

メニューはお任せコースのみ。
スープから前菜からデザートまで、ひとつひとつ「選ぶ」ことを強いられる西洋料理と比べて、なんと楽なのだろう。もちろん、おまかせしますとも。絶対においしいものが出てくるという確信があるので、安心して料理を待つ。

ちょっとだけ、冷酒も頼んでみる。父がC型肝炎なので、アルコールは実家ではご法度。こんなふうにお酒を飲むことはまずない。

まずは、あなごのにこごり。それに、茶豆と里芋の衣かつぎにピクルス風の野菜。枝豆はちゃんと両端を切っている。お料理教室で習ったとおりで、嬉しくなる。

おつくりはこち。ぷりぷりというか、コリコリというか、おいしい。

その後、何かぬけているような気がするが、以下のようなメニューが続く。
なすと魚の揚げ物
夏野菜の煮物(冷やしたもの) トマト、レンコン、冬瓜、ズッキーニ。
黒豚の照り焼きマスタード添え
貝ごはんとお味噌汁(中身はこち)
おつけもの(なす、かぶ、きゅうり、きゅうりの古漬け)
白玉あずき
(おまけに美しい透明なようかん風のもの)

お食事を楽しむことに全身全霊をかけていた(?)ため、写真を撮るのを失念。

サービスで出してくださった「骨せんべい」。魚を三枚におろしたあとの骨の部分を塩水につけて干した後に、焼いたもの。カリカリで本当においしい。
骨粗しょう症と診断されたという母が、喜んで食べていた。人間はやっぱり単純なのがいい。この作り方は、教えていただいたのだが、作ったことはない。やれるのにやっていないことの、なんと多いことだろう。

いつもお料理教室で教えてくださっている助手の先生に、母はご挨拶。
「まあ、本当に何も知らない娘で、お世話をかけております」

助手の先生たちはお若いのだが、確かに私よりはるかに料理や食事の常識をご存知だ。もちろん、かつらむきもスイスイだ。知らないことがたくさんあるのは本人は楽しいのだが、親としては冷や汗ものらしい。

Nezuclub060716

ゆっくりお食事をして、デザートを頂いて、大満足で帰宅。

先生はいらっしゃらなかったので、以前に撮った先生の写真を載せておこう。

おいしいお食事と楽しいおしゃべり。
夢のような夜だった。

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能代宇宙イベント無事終了

Genba
能代から無事生還。
大げさに聞こえるかもしれないが、気持ちとしてはそういう気分。もちろん、いい気分。

現地入りした17日はフェーン現象で、気温は36度。新聞ネタになるくらいの暑さ。東北地方は東京よりは涼しいのではなかったかと思いながら、まずは飲み物を購入。現地へ行って、状況を見る。草はすっかりなぎ倒されていて、いい感じ。(うつっているのが、草ふみ用に使われたものらしい)夜は冷房なしでも寝られたので、やはり東京よりは過ごしやすい。

18日は午前中はよい天気だったが、午後から台風の影響で豪雨。こんなにひどい雨は生まれて初めて見た。どれくらいひどい雨だったかというと、数時間で電車がとまり、高速道路が閉鎖されるくらいの雨。車で来た人は、前が見えないような道路をノロノロ運転し、電車で来た人は途中でおろされてバスで代替輸送。九州から参加の学生さんは、なんとか飛行機には乗れたものの、到着が夜中の1時。お疲れ様でした。

全員が当日無事にそろったのは奇跡的。みんな参加できてよかった。

Kikyu
19日の本番は、暑かった。
前日に降った雨がじわじわと足元から蒸発し、草いきれがムンムンするような暑さ。ビニールシートで屋根を作ってくださっているのだが、透過率がどうやら高いようで、相当に暑い。

私のお仕事はカムバックコンペのカンサットの計量と時間チェック。1050グラムを越えても、5分遅れても失格という厳しい条件なので、よけいなこととは知りつつ、「●●大学~!あと○分ですよ~!!」と叫んで回る。

詳細は、別途UNISECのホームページにアップすることとして(といって、実は1ヶ月前からアップすべきものがたまっているのであった。。。。反省)、まずは無事に終了したことに感謝しよう。
(アップしました。こちらをどうぞ)

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日ごろ会えない方にお会いできたり、ゆっくりお話したいと思っていた方とお話できたり、こういう「非日常」でないと起こりえないことが、あちこちで起こる。野尻抱介さんまでいらしてくださって、楽しくおしゃべり。この方はやはりタダモノではない存在感がある。ちなみに一緒に写っているのは、内之浦から視察にこられたM山さん。(野尻さんのすばらしい能代宇宙イベントレポートは必見)


普通のお仕事と同様に、研究や技術開発は、ほとんど毎日が「ケ」。イベントはたまの「ハレ」。
暑い中、必死に調整を繰り返し、不具合を直し、走り回る学生さんたちの顔を見ていると、やっぱり「ハレ」の日も必要だと思う。

「ハレ」を作るための裏方がどれほど大変かは、やった事のある人ならわかる。けれど、裏方は同時に場のクリエイターでもある。そして、やったことがなければ決して理解のできない醍醐味もある。

能代宇宙イベントの立役者であるakiakiさんからのメール(あまりにいいので、勝手に転載します、ごめんなさい)

ところで能代イベントの一番の醍醐味って知ってますか?片付けがすべて終わった後で、風車の音を聞きながら、誰もいない会場を眺める瞬間なんですよ。まるであの熱狂が幻だったかのように、静かに能代の風が草原を駆け抜けていきます。<中略>その感じを味わいたいが為だけにイベントをやってるようなものなんです、ホントは(笑)

忙殺されることがあるのは、実は幸せなことかもしれない。
いつか、そうやって風を感じるときがあると思って、この山積みの仕事を、嬉々として片付けよう。

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週末は能代!

週末は能代で過ごす予定。
のんびり夏休み・・・・ではなく、今年も能代宇宙イベント(クリックして、最初に出てくる写真にカーソルをあわせると、あら不思議)が行われるのである。

すでに、先発準備隊は能代入りしているし、地元秋田大の皆さんは、もう2ヶ月前からこれにかかりきりといってもいいくらいに準備に没頭しておられる。テストは大丈夫だったのかな、などとつい心配してしまうのであるが、優秀な皆さんのことだから、きっと大丈夫だったろう。akiaki先生は、会場の草刈(草ふみ?)から、渉外から、学生の指導まで八面六臂の活躍をしつつ、前向きで建設的な妄想もちゃんとたくましく育てておられる。このバイタリティはすばらしい。

私も17日(明日だ!)には現地いり。
それまでにやらなければならないことのリストをみると、愕然とするのであるが、いつものこと。だいたい皆さん似たり寄ったりと思うので、気にせず、ただひたすらに片付けよう。

今年は、カムバックコンペは14チーム・ローバーコンペ6チームと、20チームが出場。それぞれに工夫を凝らしたカンサットを持ってきてくれることだろう。ロケット打ち上げもある。学生さんたちにとっては真剣な実験なのだが、見ているほうにとっては、なかなかおもしろい。

心配なのはお天気。土曜日は雨が降るかもしれないとの天気予報。どうぞあたりませんように。
ロケット打ち上げに対応できるような超巨大ドームでもあれば別なのだが、いまのところ屋外でやる以外の選択肢はない。

なんとかお天気がもってくれますように。
天気予報がはずれるのは、こうやって、天気予報を覆すような祈りがあちこちで行われているからかもしれない、などと非科学的なことを考えるのは、なかなか楽しい。

秋田近辺の皆さん、ぜひ見にいらしてくださいね。
遠い皆さんも、よかったらいらしてくださいね。


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日大プレスリリース

日大キューブサット「SEEDS」の報告と今後について、プレスリリースが出た。メディア関係者にはお知らせのメールを打ったが、ここでもご紹介しておこう。

Continue reading "日大プレスリリース"

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HITSAT、9月に打ち上げ

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日曜日(6日)の午後、北海道工業大学(佐鳥研究室)へ。
HITSATという名前のキューブサットが、9月23日の打ち上げを目指して、最終製作中。

2003年にここでワークショップをしたときに訪れたことがある。そのときは冬だったから白いイメージが残っている。今は緑豊か。いまや北海道で乗降客数は第二位を誇るという手稲駅におりる。

北海道がこんなに暑いなんて、信じられないくらい暑い。大学は寒冷地仕様だから、冷房はない。佐鳥先生の部屋でお話をうかがう。扇風機の風がゆったりしていていい感じ。


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いろいろと興味深いお話をうかがった後で、研究室を見学させていただく。
道工大の学生さんばかりか、北大の先生や学生さんもいらしている。日曜日というのに、皆さん熱心だ。
冷房のないクリーンルームで、手袋に長靴に帽子にマスクを着こんでの作業。これはかなり暑いに違いない。今まで見せていただいたクリーンルーム衣装(?)の中で、ここが一番厳しく管理されているように見える。
しかし、皆さん、嬉々として作業をしている。
この類の人たちは、世の中にはけっこうたくさんいるようである。

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これがフライトモデル。二機同時に作っている。
これから宇宙へ行くという緊迫感のようなものはあまり感じられないが、着々とできている模様。
こんな光景を北海道で見ることができるのは、道産子の私には嬉しい限り。こういう感情は理屈抜きのもの。住んでいるところ、住んでいたところ、旅行で気に入ったところ、友人や家族が住んでいるところには何か理屈抜きの愛着のようなものがある。また、行ったことがなくてもなぜか心引かれる場所もある。

これからは甲子園のごとくに、都道府県ごとに衛星を作って競い合うくらいになるといい。それぞれが、それぞれのベストを尽くす中で、技術も精神も高まっていくといい。


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実は、研究室も見学させていただいたのだが、厳重管理のクリーンルームと比べて、あまりに散らかっていたので、写真には撮ったものの、研究室の皆さんの名誉と将来を考えると、とてもブログには掲載できない。「20人が使っているのでこうなる」のだそうで、それはわからなくもないのだが、今頃は少しは片付いているだろうか。

地上局の部屋につれていっていただいたときは、とてもきれいにしてあったので、ほっとした。HITSAT専用の地上局設備がそろえられ、打ち上げを待っている。

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午前中に行った北大のポプラ並木。台風で片側のポプラが倒壊し、もう、「並木」ではなくなってしまった。さびしい限りであったけれど、台風で倒れた木のあとに、若い木が植えられている。
古いものが倒れても、一度イメージができると、またそれは復元されるらしい。この木はいつか堂々たる大木になって、新しいポプラ並木となるのだろうか。

HITSATを打上げてもらうMVロケットは、残念ながら、これが最後なのだそうだ。
自由度の大きいロケットで、衛星側にとってはとてもありがたい存在らしい。そのイメージをしっかり持っておこう。そうすれば、MVがなくなっても、そういうものがきっとできていくだろう。


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旭山動物園

未来に近い人たちからパワーを頂いた翌日、旭山動物園へ行きませんかというお誘いを頂いた。
週末は札幌で過ごすつもりでいたので、渡りに舟とばかりに二つ返事でOK。
旭山動物園は、前から行きたかったところなのである。

うわさには聞いていたが、確かにすばらしい。9時半開園だが、9時前には着いて列に並ばないといけないという話だった。あっという間に長蛇の列。そして、開園と同時にアザラシ館に突進。

大きな水の筒がある。
アザラシがその中を泳いでいくではないか。なかなかの泳ぎっぷり。日ごろ、陸をのたりのたり移動しているのんびりアザラシくんの面影はそこではない。スピーディに自由自在に泳いでいく。アザラシくんのおなかを見ることなどあまりないのに、目の前にそれがあるのだ。もっと見ていたいところだが、「立ち止まらないでください」の声にしぶしぶと移動。

Photo_7ちょうどチンパンジー館がオープンする日で、セレモニーがあるとのこと。1時間も待つのは遠慮して、すいているところへ。
鳥たちがまたいい。フラミンゴがとても近い感じがする。もちろんフェンスはあるのだが、すぐそこに、同じ地面に私たちといっしょにいるという気になるから不思議。この色は、神様が作り出したとしか思えない。微妙なピンクで、一羽ずつ違っている。

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ペンギンは定番でかわいい。冬はペンギンの行進が外で見られるらしいが、夏なのでそれはなし。ペンギンが泳ぐのは見損ねたので、また来なければなるまい。何かしそこねたことがあるときは、再び来なさいということかもしれない。

園内のいたるところに、ここの人たちの動物たちへの愛情を感じさせるものがある。手書きの説明もそうだが、ゾウのナナちゃん(故人、いや、故象)がいたところに「喪中葉書」がはってところなど、うなってしまう。動物を見世物にするとかしないとか、そういう議論のレベルを超えて、ひとりひとりの純粋な愛情がこの動物園にはつまっている。それを感じられるから、こちらも癒されるのかもしれない。

そして、この景色。それほど大きな動物園ではないのだが、雄大な景色をバックにしているので、目が喜ぶ。広がる大地のかなたに連なる山なみ。こういう景色は久しぶり。園内に遊園地の乗り物もあって、そちらでも遊べる。入場料は子供は無料、大人も580円也。お得感、おおいにあり。

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動物園を堪能した後、竹村健一さんの別荘に連れていっていただいた。ご本尊はいらっしゃらなかったが、この管理人さんがまたすごい方でびっくり。夏は南の海で漁師をして、冬はカナダでプロスキーヤーとして活躍していたというこの方は、野菜も手作りなら、家も手作りである。現在お住まいの家も当然手作りなのだが、その向かいに円形の家を作っておられる。

「四角い家だから簡単に作れるんだろう、学校みたいだって言われたんで、丸い家を作ってやろうと思って。そしたら難しくってなかなか進まないんですよ」と屈託なく笑う。

その家には、トラックの窓がはめこまれている。そして、その窓にはなんとワイパーがついていて、飾りでなく動くのだという。この遊び心がいい。

自然豊かなところに奥様とお子さんと暮らしておられる。近くの小学校が閉鎖になってしまったので、遠くの学校まで通っているそうだ。とりたてトマトで作ったという、甘くておいしいトマトジュースを頂く。うーん、これはおいしい。このジュースやとりたて野菜の発送もしてくださるそうだ。

それから、富良野のラベンダー畑へ。途中で赤平の植松電機さんに寄って、ご挨拶。Y中さんに手作り真空槽を見せていただいた。手作りとはいっても、工場レベルの手作りなので、もちろん本格派。HITSATの試験もこれを使って行うそうだ。

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そして、ラベンダー畑。
私は実はあまり期待していなかった。写真でよく見る景色だとたかをくくっていた。
しかし、ここはすごい。色鮮やかな斜面が美しいというのは、たぶん写真でもビデオでもわかる。しかし、一帯に漂うほのかな香り。たぶん、香りだけではなくて、これを作ろうと思った人たちの想いや、ここに来て感動した人たちの想いや、いろいろなものがここの空気には含まれていて、それに包まれると、瞬間的にモードが切り替わるのである。抱え込んでいたたくさんの余計なものが落ちていく快感。

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ラベンダー畑の斜面には、リフトがあって、簡単に上り下りができる。登っていくときに眼下に広がる景色がどんどん変わっていくのを見るのは楽しい。

登っているときに見える景色と頂上で見る景色は違っていて、一般的には頂上で見る景色のほうがきれいだけれど、もしかすると登っているときの景色は、ワクワク感の分だけ、内的感動は大きいかもしれない。

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未来に近い人たち

札幌の「こども未来博」へ。

涼しい北海道を満喫・・のはずだったが、何かが違う。いつもなら、ついたとたんに「ああ、空気が違う」と思って深呼吸したくなる札幌と少し違う。

北海道とは思えない暑さ。乗ったタクシーは冷房なし。窓からの風は熱風。ここはいったいどこだろうとクラクラしながら会場に到着。

講師控え室に通していただく。
ここも冷房はない。
私はこの日、ノースリーブの薄いワンピースを着ていた。この服でよかったと思ったころに、暑そうな一団が到着。

的川先生と山崎直子宇宙飛行士の宇宙対談が予定されていて、JAXAご一行様が到着。的川先生は、91キロに減量されたという巨体をゆすり、汗をふきふき、いつもの笑顔。いっしょにお弁当をいただきながら、楽しく談笑。

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会場をぶらぶらみてまわる。
北海道衛星もブースを出していた。9月に打ち上げ予定のHITSATのEMやカンサットも並べられている。当然のことながら、子供がいっぱい。楽しい展示や催しがあって、ワクワクする。ああ、子供だったら、これに乗ってみたいのになあと思いながら、楽しく見て回る。お店もたくさん出ていて、アイスクリームやジンギスカンもある。


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「未来」がテーマの場所に、昔のシーンが繰り広げられる不思議な展示館があった。
昭和のこどもが人形になって復活している。
昭和といっても、かなり初期の昭和のこどもに見えるが、いい感じ。
「昭和の子供から平成の子供へ」
ああ、そういうことかと思いつつ、このセンスに感心。
人形の表情もいい。


Photo

2時からと4時から、2回、お話をさせていただくことになっている。
1時半すぎに会場へ。
確かに涼しい。氷柱をおいて、そこに風をあてる仕組み。エコを意識しているのかもしれないが、目にも涼しく、嬉しくなった。涼しい部屋で、プロジェクターとマイクを使えるようにするのに、ちょっと汗だく。
先に来てチェックすればよかったと反省。
しかし、スタッフの皆さんが奮闘してくださって本番には間に合った。

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こどもは、未来に近い人たち。
彼らといるとどうして元気がもらえるのかといえば、たぶん未来との接点だから。
元気な笑顔にたくさん出会った。
質問が楽しい。

「衛星は宇宙でとけてしまわないの?」
熱でとけてしまうと心配したらしいが、大丈夫、とけませんよと太鼓判。

「土星はどれくらい遠いの?」と聞かれ絶句。
キューブサットは低軌道までしかいっていないので、突然遠い惑星の話になると、無知が暴露されてしまう。あわてず騒がず、「後で調べてね」などと言える自分がいることに気づいて、ちょっと安心。

未来に近い人たちへ、老婆心とは思いつつ、最後によけいなことを言ってみた。なぜか、「未来に近いひとたち」の付き添いの大人たちがうなずいていた。大人も未来との接点を持っているのだから、当然かもしれない。せっかくなので、ここにも書いておこう。

● うまくいかないことがあったら、こだわっていることから一度離れてみよう。
 
 「宇宙」にこだわっていたら、空き缶衛星からは何も生まれてこなかった。こだわりを捨てて、今自分にできることをやっていけば、そこに つながっていく。

トィッグス教授の見事な「発想の転換」がなければ、宇宙へ行くロケットが見つからない時点でプロジェクト自体が消えていたかもしれない。

● 「壁」にぶちあたったときには、あきらめるのでなく、これは神様があなたにくださったものと考えよう。

まずは、乗り越える方法を考えよう。それができないなら、利用法を考えよう。

  はしごをかける
  ぶち破る
  迂回する
  壁に絵を描いてみる

最近、絵を描くくらいしかできないのかなあと思う壁がたくさんあって、ちょっとお疲れ気味だったのであるが、未来に近い人たちにたくさんエネルギーを頂いた。ほかの方法も考えられるかもしれない。

未来はよくなる、と思うことで、よい未来が生まれてくる、と思う。

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5年目の決断

5年前に卒業された方が久々にいらっしゃった。キューブサット物語の登場人物たちだ。

皆でピグへ。ここは、N研究室御用達のステーキ・焼肉のお店。質も量もなかなかのもの。この値段を保つのは並大抵なことではないと思うくらいに良心的。

IさんとAさん。二人とも宇宙関係の仕事についている。

Aさんは、すでに二人のお子さんのパパ。学生時代とちっとも変わらないように見える。

Iさんのサプライズ発表があるというので、楽しみにしていた。
「結婚することになりました」
やっぱりねえ。お年頃なので、それは想定内。

しかし、続きがあった。
「結婚のために、転居・転職」

これには一同あんぐり。
中学時代の同級生と結婚することになった彼は、彼女の勤務先に近いところに転職するのだという。
「両方の実家もそっちだし」
もう新しい勤務先も決まったのだという。

この方は、潔いというのか、こだわらないというのか、合理的に物事を判断される。
本の中でもそういうキャラで、けっこう隠れファンがいる。

一世代上の男性だったらありえないような決断をさらりとやってのける。
女性の私から見ると、まったくもってすばらしい。

よきパートナーを得て、これからの人生をますます輝かせていってほしいと思う。

そうして、いつかまた、「新キューブサット物語」か「続キューブサット物語」に、何かの役で出てくれることがあったら嬉しい。

新しい家族とともに新しい未来を創る。それだけで十分に素敵だけれど、その未来に、キューブサットが作っていく未来がほんの少しでも重なることがあったら、なんと素敵だろう。

就職5年目の彼の決断に、拍手を送りたい。
おめでとうございます!


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こども未来博

8月4日は、札幌へ行く。
札幌で、こども未来博というのが開かれていて、そこでカンサットやキューブサットのお話をさせていただく機会を頂いたのである。カンサットもキューブサットも自分が作っていることではないので、うまくお話できるかどうかはわからないのだけれど、本を書いたくらいだから話もできるだろうと思っていただいた次第。

信じてもらえないことが多いが、実は私は口下手なのだ。しかも内向的ときている。人前に出るときは、たくさん準備をして、意識のスイッチの切り替えをしないと何も話せない。小学校2年生のときに、これでは人生渡れないと思い、性格改善をはかったのだ。その決断をした子供の私には拍手をしたいのあるが、過ぎたるは及ばざるがごとしともいう。謙虚に、十分準備をして、人様の前でお話をさせて頂こう。

中高生が主と聞いている。大人向けの話は少しは慣れてきたが、青少年向けの話をするのは実は初めてのことで、ちょっとドキドキ。どんな準備をすればいいのだろう。1時間も時間があるけれど、そんなに注意をひきつけておけるだろうか。動画があったほうがいいだろうか。何か楽しい仕掛けがあったほうがいいだろうか。こういうことを考えるのはけっこう楽しいものだということを発見。

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おみやげは、東工大のキュートI。

ホンモノもEMももちろん無理だが、紙細工の素敵なのを東工大で作っている。2分の1サイズ。
松永研究室のホームページからダウンロードもできる。実寸大のもあるそうで、そちらも送って頂いたのだが、作ってみると2分の1サイズのほうがかわいい。写真にとると、ホンモノそっくりで驚く。

本を書いているときにはたぶんきちんと理解していなかったであろうアンテナの作りがとてもよくわかった。あのとき、いろいろ教えていただいて、図面も見せていただいて、わかったつもりでいたのだが、自分で紙細工で作ってみると理解の度合いがまったく違う。そうか、こうなっていたのかと改めて納得。

当日受付もあるらしいので、夏休みの中高生の皆様、ぜひ月寒ドームにお越しください。


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