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カムイロケットが夢の扉に

日曜日の昼下がり。上野公園の中にある奏楽堂で、パイプオルガンのミニコンサート。日曜の午後2時からと3時からの二回、芸大の学生さんが弾いてくださる。

奏楽堂の建物の雰囲気もよいし、パイプオルガンを聞くのも大好き。入館料300円なりで楽しめるのも魅力。一度行ってみようと思っていたのが、あっけなく実現。通りかかったらやっていた。黒いパンツ姿の芸大生が、そのかわいらしい容姿からは想像できないような荘厳な音を創る。

たいそう得をしたような気分で、花など買って帰る。
食事の前にメールのチェックをしようと思い、パソコンをあける。あけてよかったと思うことはときどきあるが、今回は特別。

なんと!
本日、カムイロケットがテレビ放映のお知らせ。これは見逃せない。

TBSの「夢の扉」がカムイロケットを取材しているのは知っていた。
打ち上げが延期になったので、放映も延期になるのかと思っていたが、これまでとりためた分だけ、先に放映されることになったらしい。

ともかく、間に合いそうなので、宇宙作家クラブのMLにもお知らせする。

見知った顔がテレビに出るのは不思議。ほぼリアルタイムのことがこうやって報道されるのも不思議。観客席と舞台がつながったような感覚。みなさん、やけにりりしくかっこよく映っている。俳優さんのようである。

打ち上げ延期にいたるまでのことが、丁寧に描かれている。うまくいったときの笑顔といかなかったときの苦渋に満ちた顔。

永田先生の大学時代の同級生、野口宇宙飛行士との電話の様子も映される。

「追い詰められてる・・・」
「シャトルもいつもそうだから」

そういえば、スペースシャトル・アトランティスの打ち上げも延期になった。

打ち上げ予定日から1週間前の燃焼実験。
伊藤さん(北大大学院生)は、一日延期したほうがいいと主張。永田先生は決行を主張。

「2秒だけ燃やそう」(永田先生)
「そんなのは意味がありません」(伊藤さん)

このやりとりが緊迫感があって、なかなかなのである。
結局、2秒だけでなくて全面的に決行した燃焼実験は失敗。よい燃焼は、炎がひし形になるそうだが、悪い燃焼はさまざま。今回はエンジンが爆発してしまった。

「・・・打つ手がない」

打ち上げを目前に控え、GOかNO-GOかの最後の決定を下すのは永田先生。3月の打ち上げを延期して、7月に予定した打ち上げ。

「二回も打ち上げ延期だなんて、屈辱的」

映画のセリフのようにつぶやかれる言葉は、映画ではなくて現実。
こんなふうにほぼリアルタイムに、一般視聴者に宇宙の現実が届くようになったのが不思議。宇宙はこれまで、手の届かない遠い人たちのものだったのに。

いまのところ、宇宙へは、魔法では行けない。
行くためには、一つ一つ技術を積んで、モノを創るしかない。
そして、その一つ一つがすべてうまくできて、なおかつ組み合わせたときにきちんと動いて、さらにたくさんの関門を無事に通過して、そして初めて宇宙に行くことができる。

雨ニモマケズ、雪ニモマケズ、カムイロケットを宇宙へ行かせるための努力は、今日も行われているのだろう。
こういう映像を見ると、日ごろ当たり前だと思っていることが、実は小さな努力の積み重ねだと、ほんの少しだけわかる。飛行機も新幹線も自動車も携帯電話も、当たり前のように思えているけれど、実はそうではない。毎日食べているご飯だってそうだ。

すべてのことは魔法ではなくて、誰かが何かをした結果。

カムイロケットは、勇気ある後退を決め、小さなエンジンからやり直すのだそうだ。

夢の扉は、もうきっと開いていて、ただ歩き続けることだけが必要なのだろう。

自分のペースで歩き続ける決心をした永田先生たちは、次の打ち上げ日を決めることはしない。打ち上げ準備ができたら打ち上げ日を決めるのだそうだ。

楽しみを先に延ばすのは、悪くない。
「2015年までにCAMUIロケットを実用化し宇宙開発をみんなに手渡したい」というのが永田先生の「My Goal」。

打ち上げ成功の興奮を想像しながら、楽しみに待つことにしよう。

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