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MV-7 打ち上げ動画

編集者Iさんのおかげで、持参してまわしていたビデオが少しは役にたてるようになった。YouTubeという便利なサイトを教えていただき、感謝。編集者さんのさりげない気配り・心配りには、いつも学ぶところ大である。

まずは、打ち上げの動画。
これは、三脚を忘れたために、手で持って、ロケットを手動追尾したもの。手ブレもなんのその、かえってダイナミックな動きがよく撮れているように思うのは気のせいか。バリバリという音も入っていて、臨場感もたっぷり。(これぞ、破れかぶれの自画自賛)

それから、こちらは編集者Iさんの編集方針に従って、私が切り出したもの。新しいロケットにMの名前をつけたいか、という質問に対して答えた森田実験主任の感動スピーチ。記者会見の途中で大きな拍手が起こった。要旨は以下のような感じだが、やはりご本人の表情や言葉のトーンとともに映像で見ていただきたい。

宇宙ファンとしては、MVは世界一の固体ロケットだから、生かしていきたいが、ロケット技術者としては、いつまでもMVにぶらさがっているわけにはいかない。いつかはそこから巣立っていかないといけない。50年の歴史があるからこそ、雨が降っても動じずに打てた。MVを生かして、MVより立派なロケットを作りたい。皆さん、ぜひ応援してください。

応援したくなるところがたくさんあるのは、嬉しいことだ。
応援団も増えていきそうで、そちらも楽しみだ。

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MV後継機のポジショニング

MV-7号機の大成功。すばらしかったけれど、それだけで終わってはいけないような気がしている。

善き未来を創るための努力を惜しんではならない。今、しっかり考えて納得してコミットできる状況を作ったほうがいい。

MV-7号機の後のシナリオについては、笹本祐一氏が最悪バージョンを発表しておられる。(宇宙作家クラブの掲示板 #1077参照)このシナリオでは、日本は打ち上げ能力を失うことになる。一国ですべてをまかなえる能力を自ら手放すという、よくいえば国際協調型宇宙開発、悪くいえば他国依存型宇宙開発への移行という「悪い未来」を予見している。

悪い未来は、予見することによって、対応することができるので、防げる可能性が出てくる。だから、それを予見するのは重要である。

しかしながら、悪い未来の予見者は、あたってもあたらなくても不幸になるという宿命を持っている。悪い話を聞いて嬉しい人はいない。また、あたれば悪い未来が実現してしまうということであり、あたらなければ自分が間違っていたということになる。それをおして、あえて悪い未来シナリオを発表した笹本氏の勇気に敬意を表したい。

もうちょっと前向きなシナリオを作れないものかと思って、これまでの情報を整理しようと思う。整理にあたっては、マーケティングの手法を使ってみる。今回の決定には、どうやら「市場原理」的な論理がおおいに係わっているらしいので、分析もその手法を使うのは悪くあるまい。

(興味のある方のみ、続きをお読みください。)

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祝!HITSAT受信成功

HITSATもどうやら成功した模様で、ヨカッタヨカッタ。

午前9時43分に北海道工業大学の佐鳥先生からメール。

本日9月23日午前6時36分に鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所からM-Vロケット7号機のサブペイロードとして北海道初の超小型人工衛星「HIT-SAT」が打ち上げられました。

同日7時43分にアメリカのフロリダ州とアイオワ州のアマチュア無線家によりHIT-SATからの電波を受信したという連絡を受け、HIT-SATからのコールサイン(JR8YJT)に間違いないことを確認しました。

以上の事実により、HIT-SATが地球周回軌道上で正常に作動していることを確認できましたのでお知らせ致します。

午後4時22分に北海道工業大学管制局の武岡さんからのメールがUNISECのメーリングリストに流れた。

最初のパスで、無事にHIT-SATのCW受信に成功しました。 CWは現在解析中です。 皆様、ありがとうございました。

今回は、北海道周辺のみの通過でしたが、
次のパスは、日本全土が可視範囲になります。
よろしくお願いいたします。

地上局関連は、北海道工業大学の三橋研究室が中心になってやっているらしい。地上局での待機の様子の写真から、受信情報まで、WEBで公開されている。

明日は午前6時過ぎの運用とのこと。
衛星は打上げてからが本番。北海道の皆さんの活躍に期待。

こちらも本当におめでとうございます!

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MV-7、打ち上げ成功!

長い一日。午後2時にして、すでに本日活動を始めてから、12時間経過。早朝の打ち上げに向けて、2時半には宿を出発して、3時過ぎには現地でスタンバイ。ランチャーが整備等から出てくるのを眺める。大粒の雨がぽつぽつと降ってきて、車に退避。その直後に冷たい風が吹いてきて、打ち上げ延期も心配されたのであるが、夜明けごろにはすっかり雨もあがり、予定どおりの打ち上げ。

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ロケット打ち上げは美しい。
美しいという言葉を超えた何かはもちろんある。その瞬間、すべてが震えて、その振動が伝わってくるとでもいったらいいだろうか。言葉で伝えられる自信は毛頭ない。その場に来て、全身で感じる以外に、何か伝える方法があるとは思えない。

今回は、宇宙作家クラブの取材班にいれていただいて来たので、「報道陣」として、記者会見等の一部始終を見ることができた。なかなかの収穫。

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記者会見は二部構成。一部は、理事クラスや文科省の方など、フォーマルな感じ。二部はプロマネのお歴々がずらりと並び、成功の誇らしさをにじませながら、技術的な質問に嬉々として答える。

森田ロケット主任によれば、雨にも風にも「動じずに」、無心に打ち上げられたとのことであるが、その裏では気象班が心配そうにウロウロしていたとの情報もある。この方の前向きな態度は本当にすばらしくて、元気を頂いた。技術者・研究者は、どんな状況にあっても、こういう態度でいてほしい。そうしたら、まわりは喜んで協力するだろう。

今回のSOLARーBのプロマネである小杉先生は、なんと、打ち上げ直前に、平らなところで転んで骨を折るという、「8年間の骨折りを形にして、厄落としをする」という役を買って出た(?)そうである。松葉杖姿で、ニコニコと歩く姿はなかなかユーモラスでいい感じ。

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今回はMVが最後ということもあったのか、広報は大サービスをしてくれた。打ち上げ後には、ランチャー班のご協力をいただいて、整備塔からランチャーが本番どおりに出てきて、82度に傾くところまで、再演していただけた。打ちあがったばかりの焼けたような匂いが残る中で、それを見せていただけるなど、めったにないことだそうだ。

MVロケットは廃止だそうなので、もうここに主が戻ることはない。せっかく作ったのにもったいないことだと思いながら、その大きなロケットの家(?)を見上げる。

長い一日は、まだ続く。

これから、港で地元の方々との交流会があるとのことで、お出かけ。

この成功が、いろいろなよい方向に向かっていけますように。
ともかく、おめでとうございます!

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内之浦へ

鹿児島内之浦へ。

19日に鹿児島市内のビジネスホテルに午前1時までいて、それから1時半発の桜島フェリーに乗って、内之浦へは未明に到着。片道航空券より安い格安パックで来るために、こういう旅程となった。普通なら、鹿児島空港から内之浦へ直行するところなのだが、おかげでいろいろ楽しい初経験ができた。寄り道バンザイである。

まず、鹿児島駅前のホテルの横にあった居酒屋。深夜1時の出発だから、ささっと食べることにして、近くの店へ。これが大当たり。9時まで料理は全品半額。そしてこれがおいしい。料理の腕もあるのだろうけれど、たぶん素材がいい。

お刺身類はもちろんすべてマル。ブタもトリも、味が濃くてしっかりしている。「きなこ豚」をその場で焼いていただく。脂身がとろけるようにおいしい。トンカツのまあジューシーなこと。そして、かかっているデミグラス系のソースが絶妙。トリのお刺身に、この地方特有の甘い醤油がよくあう。

野菜もすごい。トマトサラダのトマトときたら、トマト嫌いのイラストレーターNさんが、追加注文をしてパクパク食べるほどのおいしさなのだ。

「野菜嫌いの子供には、おいしい野菜を食べさせるに限る」

同行者が3人。歯医者さんにしてイラストレーターでもあるKさんは、お酒は飲まないがグルメ。

その彼が、「もうここで帰ってもいい」というくらいだったので、いかにおいしい店だったかがわかろうというもの。

この経由のツアー提案者にしてドライバーでもある編集者Iさんに感謝。この方は、「キューブサット物語」を世に出してくださった方。企画がいいと、できあがりもよくなるのは、ツアーも本つくりも同じらしい。

夜の桜島フェリーはなんともロマンチックで素敵だった。二十四時間運行というのがいい。船室にいるのがもったいなくて、外で風に吹かれる。こんな時間でも、ちゃんと船内のうどん屋さんは営業している。(さすがに食べられなかったが)

朝6時にMV-7号機の打ち上げリハーサルがあって、プレス説明会があるとのことで、それに間に合うように来た。MVロケットの最後の打ち上げ。あのはやぶさも、これで深宇宙へと旅立ったのだと思うと、なんだかもったいないような気もする。

射場プレスツアーのあとの質疑応答が宇宙作家クラブの掲示板にアップされている。

MVは、やっと安定してきて、これからが本番というところなのだという。現役真っ最中に引退しろといわれたようなものなのだそうだ。MVを廃止して、2010年を目処に新小型ロケットを開発するらしい。このあたり、なぜこうなったのかはよくわからないが、大学衛星にとっては、打ち上げ手段が減ることになるので、痛手。大学生の寿命は短いから、4年間打ち上げがないというのは相当に痛い。H2Aの打ち上げ公募はありがたいけれど、すでに21件もの応募があるから、全部載せてはもらえまい。

今回は、HITSATもいっしょに打上げてもらう予定。北海道で作られた初めての衛星が宇宙へ行く日はもうすぐ。道工大と北大の皆さんも現地入りして調整に励んでおられる。今は、先のことをあれこれ心配するより、まずはこの一歩を着実に進められることを祈ろう。

いつも、未来は、今ここから始まるのだから。

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芸食の秋

芸食(つまり、芸術と食欲)の秋にはまだ間がありそうだった暑い日曜日。

横浜は本郷台のギタリストさんのお宅で、音楽とお食事を楽しみつつ、未来を考える会があって、参加。

この会は、ずいぶん前から、「サステイナブル」に続いている。つまり、鳴かず飛ばず大きくならず、でも続いている。

11時に駅で待ち合わせして、スーパーで買い物。私はなぜか10時過ぎに着いてしまって、駅前の小さな公園にすわって本を読む。いつもは出会わないタイプの方々がすわっていて、ほんの30分の間にいろいろドラマがある。
暑いのだが、風が気持ちよく吹いている。すぐそこで大声が聞こえていても、動じないで本を読めるというのは進歩なのか鈍化なのか。

この会は、おいしいものとお酒と音楽、それに楽しいおしゃべりで構成。しかし、廊下で寝ている人がいたり、外にお散歩に出かける人がいたり(すぐそばに、気持ちのよい遊歩道が川沿いにある)、各自、気ままに過ごす。

たいそう贅沢なことに、プロのギタリストやらオルガニストやらがいて、ごく普通に演奏をしてくださる。オルガニストさんは、80日間のドイツ研修が決まっていて、その壮行会も兼ねてのこと。アマの笛吹きさんやギタリストの生徒さんなどもいらして、演奏してくださる。

すばらしい料理の数々を作ってくださるシェフさんは、謡もお上手。

ゲストも歓迎されるので、今回は知人を二人、お誘いした。
知人は洗い物が天才的に上手であった。お皿もグラスもピカピカになる。おかげでシェフは料理がどんどん進んで、メニューはフルコースの最後まで達成。こんなことは、いまだかつてなかった。誰かの小さな貢献は、見えないところで別の人に大きな影響を与えるらしい。

メニューは全部は覚えていないのだが、たぶん以下のような感じ。

トマト&豆サラダ
ソーセージ盛り合わせ
チーズ
生しいたけのソテー
ホタテのバター焼き

このあたりからパフォーマンスタイム

生春巻き(ピリ辛トマトソース)
マレー風(だったかな?)焼き鳥
ポーク肩ロースのトマト煮
里芋(あら塩をつけて頂く)
浅漬け
おにぎり(大葉とにんにくをつけこんだ醤油で味をつけたものを握る、大葉でまいて頂く。美味!)
実だくさんのお味噌汁
二種類のブドウ
デザート(桃のコンポート・サイダー割り)
マロンケーキ

私は歌を歌いたい気分だったので、歌ってみた。なんと、ピアノ弾き語りに初挑戦。ピアノが家にないので、空想の中で練習していたが、指はうまく動かず、歌とピアノの両立も難しく、度胸のみで演奏。しかし、拍手は暖かい。調子にのって、オルガニストさんの伴奏で、アメージンググレースを歌う。(たいそう気持ちよかった。)みなさんやさしくて感謝。

お皿を洗ってふいて食器棚にしまって、ゴミをまとめて、後片付けをして帰路につくと、もう深夜。

会場のオーナーであるギタリストさんは、こういった会をすると、次の日の午前中をつぶして、片付けと掃除をされるそうだ。食器棚の配列もぐちゃぐちゃにしてしまっているし、これを元に戻すのは大変なことだろう。素直に感謝。

未来は、いつも、今ここから始まる。よき未来は、幸せな今からだと作りやすいように思う。幸せは自分が決めるので、「楽しいねー」とつぶやくだけでいい。楽しい未来があちこちにできていきますように。


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ローズマリーの戦い

ベランダでハーブをほんの少し植えている。
ときどき料理に使えればいいといったくらいで、ほとんど手入れをしていない。これまではそれでもスクスクと育っていた。

それが、最近、虫がついて、葉っぱが次々とやられる。殺虫剤を噴霧すればよいのだが、それでは食べられない。といっても、売っているものは、そういうものなのだろうが、自分の手で自分が食べるものに有害物質を噴霧するのはやはり気がひける。

3種類あったハーブのうち、ひとつは完全にダメとなり、もう一つは、もともとの葉っぱはすべてダメになったが、新しい芽が果敢に出てきた。これはたぶんいけそうだ。

そして、これまで、虫などついたことのなかったローズマリーが、現在戦っている。点のような小さな黒いものがついたと思ったら、葉っぱがくしゃくしゃとなくなる。無害な対処法があれば、実践したいところであるが、いまのところ、ローズマリーの生命力に期待して見守っている。

生きようとする力は、どこから来るのだろうか。
舗装道路のほんの少しのすきまに花が咲いているのを見たりすると、ちょっと感動する。あの生命力はすばらしい。

消えていくか、消えたように見えて新しいものが出てくるか、そのままで生き抜けるか。

ローズマリーの戦いを、なにやら格闘技のように見ている自分がいるのがまたおかしい。

神様がいらっしゃるとしたら、上のほうから、我々人間の奮闘ぶりを見て、「おお、みんながんばって生きようとしとるのぉ。どうなるかのぉ」と見ておられるかもしれない。

生きているという、ただそれだけのことがとてもすばらしくてありがたいと思う今日この頃である。

いろいろあるけれど、まずは生き抜くこと、サバイバルが何よりも大切だ。
生き抜くためには、息抜くことが必要。というわけで、今日も明日も楽しい予定をいれた。

真っ白な論文もたまった仕事も気になるところではあるが、大丈夫。
神様は、人にそれぞれあたわっていると思うことだけをお与えになる・・・に違いない。

ローズマリーの奮闘をちょっとだけ手助けしようと思って、ネットで調べて、木酢液なるものを注文してみた。どうなるか楽しみ。がんばっていると、こんなふうに、きっと神様か隣人かどこのどなたかわからぬ方から、手助けをいただけるのかもしれない。

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メディアの力

東京新聞に、大学の衛星開発の記事が掲載された。

たくさん取材をしてくださったようで、大学の名前もたくさん出ている。日大メンバーの写真が出ている。知った顔がいるのが楽しい。彼らのコメントがかっこいいが、実物もなかなかである。かつて、工学部の学生というのは見かけにはあまりかまわないというのが標準だったのに、最近の学生さんはみなこぎれい。

木下延昭さんは「失敗から立ち直るという経験は貴重」と前向き。宮崎康行助教授は「宇宙へ行くのは大変なことだとあらためて感じた。学生は毎年入れ替わる。続けていくことが大事」と意欲を見せている。

UNISECの贅沢な悩みは、がんばっている大学が多いので、お話しても、全部書いてもらいきれないことが多いこと。名前が出ていない大学について、書いた記者さんにうかがうと、スペースの問題で他意はないとのこと。

JAXAの打ち上げ機会公募には、21件も応募があったそうだ。2008年には何基載せてもらえるのだろう。もれてしまった場合に備えて、代替案も考え始めておかないといけないだろうか。宇宙開発は、うんと心配性でちょうどいいくらいだから、たくさん心配しておこう。

それにしても、メディアの力は大きいと思う。

何が大きいといって、大学生の場合は、親兄弟や親戚縁者・友人が、突然理解を示してくれるようになるのである。これまで、宇宙開発はとても遠いものだったから、自分の息子や娘や隣の研究室の人がやっているといっても、にわかには信じられないのが普通だろう。新聞やテレビを通してその情報を受け取ると、これがにわかに本当だと思えるらしい。

メディアの方々に取り上げていただけるような開発があちこちでできていくといい。
等身大で報道されて、皆さんが「やるじゃない」といってくださるようなことができていくといい。

ほんの少しだけ背伸びして、地に足をつけてやっていこう。
ジャンプするのは、本当に宇宙に飛び上がるときだけでいい。


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