アルケミスト
スウェーデンからお客様。Swedish Space Corporationの方。
東北大と千葉工大の方々がミーティングをされるというので、同席させていただいた。
スウェーデンは極に近い地理的条件を上手に生かして、衛星運用ビジネスではちょっと知られている。ホテルやレストランなども完備していて、世界中から衛星運用のために人がやってくるそうだ。まだ衛星を打ち上げてはいないそうだけれど、強みを知り、それを生かした宇宙開発に取り組んでいるあたり、さすがだ
大学衛星はお金がないので、このサービスを利用できるかどうかはわからないが、どこで何がつながってくるかわからない。
ミーティングが終わってから、お茶でもさしあげようと、お時間のある方々を事務所にお招きする。皆さん快くいらしてくださって、狭いながらも楽しいオフィスはあっというまに満員。皆さんがコーヒーとおっしゃる中、スウェーデンのお客様は日本茶がよいとのこと。なんとなく嬉しいのはなぜだろう。
日本の伝統菓子といって、「かりんとう」をお出しする。
彼女といろいろ話をする。ちょっとした偶然が楽しい。
ブラジルの作家でパウロ・コエーリョさんという方がいらっしゃる。ちょっと不思議な作風で、ファンが多い。かくいう私もその一人。童話のようでもありファンタジー小説のようでもあるが、たぶんもっと精神性に富み、深く、そして愛に満ちている。
彼の作品に、「アルケミスト」(錬金術師)という本がある。
話しているうちに、彼女が、その本のことを知っているかと聞いてきた。私が言ったことで、その本に書いてあることを思い出したのだという。
宇宙業界の方と、この本の話をしたのは初めてのこと。話ができる人が現れたことに驚いた。そういったら、彼女は「わかるわ」と一言。
主人公は羊飼いだった少年。宝をさがして旅に出る。そして、多くを学び、愛を知り、宇宙とつながり、宝をさがしあてる。こう書いてしまうと冒険小説みたいだが、一つ一つの言葉に深い意味があって、短い小説なのに、私は読み終わるのにとても時間がかかった。
主人公はアルケミストに会って、砂漠の旅を導かれる。最後のほうにアルケミストが実際に金を作る場面がある。そのとき、アルケミストは、少年にできるのだということを見せたかった、という。
「できるのだということを見せる」
この一文に、私はとても惹かれる。
本当にそうだ。できるのだということを見せられないアルケミストは、アルケミストでなくてただのほら吹きだ。
本の中で、アルケミストが少年に言う。少年が風になれなければ殺されてしまう場面だ。
「その時は、おまえは夢を実現する途中で死ぬのだ。それでも、自分の運命が何か知りもしない何百万人よりかは、ずっと良い死に方なのだよ」
続けて言う。
「しかし、心配することはない。普通、死の脅威は、自分の人生について、人に多くのことを気づかせてくれるものだ」
もうダメだと思うとき、知恵が湧き出してくることがある。あるいは授けられるといってもいいかもしれない。
UNISECの活動の中で、「ただの学生」が「すごい学生」に変わるのを何度も見てきた。
「普通の先生」が「すごい先生」になるのも見てきた。
今年は過去最高の180人近くが参加と聞いている。一人ひとりが「すごい人」になっていく場にいられるのは、本当に幸せなことだ。
明日はかなり早起きをして、仙台に行く。たくさんの元気な顔に出会うのが楽しみだ。
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