ドアが開くとき
2週間ほど前のことになるが、懐かしい顔がたずねてきてくださった。しかも、彼女を連れて二人で。
こういうサプライズは嬉しい。
キューブサット物語の登場人物の一人。卒業してから、もう2年になる。
ブラジルからの国費留学生だった彼は、無事に修士号を取得して、今は浜松の会社に勤めている。
いろんなことを思い出す。
来日前にブラジルからかけてきた電話の向こうの不安そうだった声。
砂糖を大匙三杯も入れた甘いコーヒーを飲んでいたこと。
ブラジルに残してきた恋人にかける電話代の高さを嘆いていたこと。
彼の嘆きのせいか、ブラジルで栄養士をしていた日系人の彼女は、名古屋で仕事を得て来日。
今度は名古屋までの新幹線代の高さを嘆くようになった。
「二週間に一度は行っていたから」
今は、これまでで一番近い。名古屋と浜松。
就職して2年が無事に過ぎ、そろそろ3年目に入る。
最初の1年は必死だけれど、だんだん慣れてくると、このままでいいのだろうかという疑問が頭をもたげてくる。
これは、ごくノーマルなこと。
社会貢献をしたいという彼。
「ボーイスカウトをやっていたので」そういう気持ちが自然に沸き起こるらしい。
日系人だけれど、将来はブラジルへ帰りたいという二人。
二人とも日本語は流暢だが、二人の間の会話はポルトガル語なのだそうだ。
「だって、母国語ですから」
ブラジルは、ロケットの射場も作って、宇宙開発ではやる気満々に見える国。
新興国だからこそ、失敗を恐れずにやりたいことがやれるかもしれない。
「じゃあ、ブラジルで衛星を打ち上げることがあったら、現地で会いましょう」といったら、嬉しそうな顔をしていた。
人生のドアはたくさんあるように見えて、実は一つしか開かない。ブラジルに帰れば、日本でのキャリアはないし、日本にいればブラジルでの生活はない。
タイミングと縁と運と自分や周りの人たちの気持ちと、それからもしかしたら見えない何かの力と。
彼らの未来には、どんなドアが開くのだろう。
おみやげの浜松名物「うなぎせんべい」をおいしくいただきながら、ブラジルの宇宙開発に大きな影響を与えるかもしれない彼らの未来を考えて、なんとなく嬉しくなった。
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Comments
みかさん
扉は、きっといつも開いているのに、そのことに気づかないだけなのかもしれないですね。
赤塚様
コメントありがとうございます。それぞれの国や地域が自前で宇宙開発できるようになると楽しそうです。
Posted by: Re | 2007.03.24 12:49 AM
ほのぼのできるお話ですね。
本当の扉は希望なのかもしれないと思った。
Posted by: mika | 2007.03.23 09:14 AM
ブラジルの宇宙開発が進むといいですね。
Posted by: 赤塚 洋 | 2007.03.23 06:52 AM