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カンサットワークショップ

2月23日と24日、International CanSat Workshop開催。かわいいロゴは、UNISECのWEBマスター氏の作。海外参加者にも大好評で、Tシャツも作ることになった。(予約受付中!

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朝から大雨。
そういえば、UNISECのイベントは、雨や雪のことが多い。いつぞやの総会では、地震まで起こった。

ものは考えよう。すべては気づきと学びのため。

宇宙技術開発は、雨でも雪でも台風でも、そのためなら喜んで出てくるような人でなければ、続かない。

この世界では、何かをしようとすれば、どちらを向いても、壁だらけなのである。技術開発だけを一生懸命やっていればいいというわけでなく、打ち上げ手段の確保、インターフェイス調整、そして周波数の国際調整、法的問題のクリアなど、実際に何かをしようとすると、面倒なことがたくさんある。協力していただかないといけない人がものすごくたくさんいる。やりたいと思ったからといって、簡単にできるものではない。(ということを身にしみて理解するまでに、何年もかかる)

技術開発では、目立たない地味な努力を恐ろしいほど積み重ねることが必要。今の技術の世界は、作ってしまってから不具合を直せばいいというのが主流。しかし、宇宙の世界は根本的に違っている。宇宙へ行ったら、もう手が届かない。その場へ行って、修理することなど不可能だから、あらゆることを想定して、すべてに対応できるところまで徹底的に作りこむことが要求される。どんなことがあっても壊れないように作るのが使命でもある。

そうやって考えられる限りの努力を積み重ねても、成功するかどうかはわからない。自分がどんなに一生懸命やっても、何かの具合ですべてがパーになってしまう世界でもある。そうなっても、人を恨まず、そこからまたやり直すだけの精神力が必要とされる。

カンサットは、エントリーレベルの衛星トレーニング。
失敗しても、回収できるので、何が悪かったのかがわかる。この段階で、うんと失敗して、悔し涙を流して、それでもやっぱりやりたいと思う人だけが、宇宙開発の世界に行くといい。夢やあこがれだけでできる世界ではない。

こう書いてきて、この世界は、かつて私が関わっていた会議通訳者の世界に似通っているような気がしてきた。

会議通訳者養成所のマネジメントをしていたころ、「英語が好き、あるいは”できる”」という理由で会議通訳者を目指そうとする人にどれだけ会ってきたことだろう。そして、彼らのどれだけが挫折していったことだろう。いや、挫折という言葉は似合わない。もっと別の道を選んだ、ということだ。フリーランスの会議通訳者をし続けるには、相当に強靭な精神力というか、これを天職あるいは自分のミッションと思うような何かが必要らしい。でも、そういう人たちが確かに存在するのも事実だ。

宇宙エンジニアであり続けることは、それが職務の上では公務員であれ、会社員であれ、厳しいことだ。良心を持ち続けることで、その人はずっと矛盾に悩み続けることになる。エンジニアとしての良心と、組織の論理は違う軸の上で動くからだ。そうでない場を創れないものだろうか。

ここで、私の役割は何だろう。それは、いったい私が進むべき道だろうか。私が背負うべき荷物だろうか。

そんなつまらぬ思考を吹っ飛ばしてしまうメールをちょっと前にもらった。日大の学生さんからのメールだ。

彼は素直にカンサットワークショップが作り出した場について感謝を述べ、そうして、
「Twiggs先生に日本で会えるなんて!」と書いてくれた。

まったく同感。
1999年以来、カンサットの発案者であるTwiggs先生にはお世話になるばかりで、何ひとつお返しができなかった。今回、日本にいらしていただくことができて、カンサットの広がりを実感していただくことができて、本当によかった。Twiggs先生もアマチュアロケットグループの方々も、初来日だという。初めての日本を楽しんでいただけただろうか。

Twiggs先生のすごいところは、いまだに自分でレンタルトイレを手配したり運んだり、当日の参加費や打ち上げ費を自ら集めたりするのを全く厭わず、軽々とやってのけるところだ。そろそろ引退というご年齢なのだが、決してえらそうにすることなく、自分が手を動かして活動を続けているという姿勢には、頭が下がる。そして、日本の学生の成功を、自分のことのように喜んでくれるのも素敵だ。自分がこの年齢になったとき、そんなふうに軽々と動けているといいなと思う。

そうだ。
ものごとは、すべからく単純に考えたほうがいい。複雑に考えるから、複雑になるのかもしれない。先を心配するから、心配な未来が出現するのかもしれない。

そうして、何事もやらないより、やったほうがいいのだろう。

やってみよう。
心の声を聞きながら。
その声にノイズが入らぬよう、気をつけながら。

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Comments

赤塚様

コメント、ありがとうございます。

素敵な喫茶店ができますよう、お祈りしています。
おいしいクッキーやケーキもあるといいなあ(スミマセン、個人的な好みでした)

Posted by: Rei | 2007.03.05 at 09:11 PM

今まで、先のことを心配しすぎてきました。
そうです。
やらないよりは、やったほうがいいですよね。

Posted by: Hiroshi Akatsuka | 2007.03.05 at 07:38 PM

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