« April 2007 | Main | June 2007 »

ガンダムエースに登場

恥ずかしながら、ガンダムエース7月号に写真入りで登場。
冨野監督との対談(恐れ多いことだが)の記事。
お送りいただいて、ありがたく読ませていただいた。

写真が大きい。
私の顔は、なんとN先生の顔より大きい。
まさかと思ってみていたら、もっとまさかのことが、、、。

私の名前が違っている。
「川島レイ」でなく、「川嶋レイ」さんになっている。

ご担当の方に連絡すると、たいそう恐縮したお返事が返ってきた。

何度見直しても、ミスはある。
これは私も経験があるので、とても人様を責められない。
しかし、たいそう目立つ場所でのミスなので、自分が編集の立場だったら、落ち込むだろうなあと思う。

私としては、冨野監督とお話できただけで感激なので、名前のミスなど、小さなこと。
どうぞ気になさらないでくださいね。

キューブサット物語~超小型手作り衛星、宇宙へ」の宣伝もしていただけて、感謝。

上がれ! 空き缶衛星」は、6月に再販されなければ、絶版になるらしい。(と新潮社さんから通知があった。お求めになりたい方はお早めにどうぞ)

初めてのカンサット実験から8年。
強烈な体験も、風化していくのだろうか。

登場人物たちは、もうみんなオトナになったけれど、あのころのキラキラした情熱は、まだ持っておられるだろうか。人生こんなものさ、という悪魔のささやきに耳を貸していなければいいけれど。

冨野監督との対談中、ずっと感じていたのは、「宇宙開発がこんなものであっていいわけがない」という監督の熱い想いだ。

その想いに応えることができるのは、GSE(Genuine Space Engineer)だろう。

ホンモノで居続けることは、どの世界でも難しい。できない言い訳はいくらでもみつけられる。志を持っていても、すぐにまわりに引きずり落とされる。志を持ち続けるには、孤高の人でいる覚悟が必要だ。

日本は、「成功したら妬まれ、失敗したら蔑まれる」文化を持っているのだそうだ。(加藤諦三氏の著書「格差病社会―日本人の心理構造」より)

だから、勝っても負けても幸せでない。うまくいっても失敗しても幸せになれない。

そんな文化はもうたくさんだ。
「成功したら祝福され、失敗したら励まされる」文化を持つ社会のほうが、どんなにか幸せに過ごせるだろう。

まずは、自分から。
人の成功を心から祝福し、失敗した人を暖かく励ます。(注:甘やかすのではない、念のため)
そんな温かな場を創れるといい。


| | Comments (2) | TrackBack (0)

地球交響曲第六番

恵比寿ガーデンプレイスへ。

お目当ては地球交響曲の第六番
一番から五番まで、すべて見ているが、見ながら眠ってしまうほどの気持ちのよい作品ばかり。(つまらないから寝る作品もあるだろうけれど、これは違う。あまりに気持ちがよいので、リラックスできるのである)

第六番のうわさは、かなり前から聞いていた。
シタールの巨匠、ラヴィ・シャンカール先生が出演されるとのことで、これは絶対に見たいと思っていた作品だ。

「虚空の音」を奏でる奏者がいろいろと出てくる。いろんなところで音を真剣に奏でている方々がいる。映像も美しいけれど、その音がいい。

ラヴィ・シャンカール先生の語りがいい。この方はやはりスゴイ方である。61歳のときの娘、アヌーシュカさんに稽古をつけている場面もいい。アヌーシュカさんは、現代インドっ子というふうにも見えるけれど、演奏の腕は確か。世界中で演奏活動をしておられるそうだ。巨匠をお父さんに持つのは、どういう気分なんだろう。

インド古典音楽は、譜面はなくて口伝。師匠から弟子に伝えられる。師匠が歌って、その音をシタールでひろって、その場で覚える。

詳細は、実際の映画で楽しんでいただくとして、私が一番感銘をうけた言葉。

インタビュアーが、「若者にメッセージをお願いします」といったときのことだ。

「最近の若い方は、みなさん賢くていらっしゃるから、私などが言うことはなにも、、、」と謙遜したあと、

I am still learning.

と一言。

86歳(撮影当時なので、今は87歳)の、世界的に有名な、Established と思える演奏家が、そういうのである。

言葉は、誰が言うかによって、重みがまったく違ってくる。意味の深みが違う。

ああ、もう、本当に、私なんぞ、学び始めたばかり、いや、学ぶということを学んでいる最中かもしれない。
心の中にあった、学びをせきとめていた余計な想いはすべてふっとび、ただただ、学ぼう、学びたいと思った次第。もちろん、帰宅してから、シタールの練習に勤しんだのは言うまでもない。

シャンカール先生のほかに、ケリー・ヨストさんというピアニストとロジャー・ペイン氏(鯨の歌を生物学者として研究)が出演されている。

ケリーさんのピアノは、奇をてらわず、丁寧に、丁寧に音をつむいでいて、聞いていて涙が出てくるくらい美しい。演奏会などの華やかな活動は一切せずに、ただひたすらに、「光の音」を紡ぎだすことだけを考えて生きてこられたのだという。

サウンドトラック版CDが販売されていたので、購入。
美しい音楽は、魂を洗ってくれるように思う。鯨の歌も美しい。

5月27日まで、東京都写真美術館ホールにて特別上映中だそうだ。
(その後も、6月8日までは、一番から六番まで上映しているので、時間帯によって見ることができる)

東京に来るのは大変という方には、自主上映会が各地で開催されている。

お疲れの方、美しい音楽の世界に身を浸したい方には、オススメの映画である。

Beauty will save the world.  美しいものを見よう、聞こう、感じよう。
(ロジャー・ペイン氏の言葉)


| | Comments (6) | TrackBack (0)

ベルリンその8

4月26日(木)

最終日。飛行機は夜なので、少し時間がある。
Imgp2988
ベルリンには、寿司レストランがたくさんあるとのことで、連れていっていただく。
味噌スープには蓮華がついてきて、ちょっとびっくりしたけれど、味は、そんなに悪くない。
おすしは、少し変わっていて、海苔巻きなのだが、その海苔に衣がついていて、油でかりっとあげてあるのである。不思議な感じはしつつ、意外においしいことに驚く。

Imgp2997
アレキサンダー広場へ。ここは、旧東ドイツ。
ここと、ポツダム広場を比べると、東西ドイツの違いがよくわかる。
ポツダム広場は、華やかで消費を刺激するような店がたくさん。
アレキサンダー広場は、大きな噴水があって、そのまわりにみやげ物を売る店が立ち並んでいる。

案内してくださった方は、旧ソ連の出身。
西の世界の生活を謳歌しながらも、東の世界を否定することもない。
「ソ連時代は、必要なものはみんな手に入ったし、自分はとても幸せだった」

生まれたときから、信じるべきものを与えられていれば、精神的には安定する。きっと、家族も社会も安定していたのだろう。西側とは「違っていた」だけ。

そして、急激な変化と価値の崩壊。そこにいた人たちの心はどうやってそれに耐えてこられたのだろう。

小さな痛みを感じながら、そこで別れる。

その後、一人でタワーに上る。
Imgp2998
Imgp3004

ゆっくりと回るレストランがある。
外の景色を楽しみながら、ゆっくりとコーヒーを楽しむ。
ああ、こういう時間もいい。

降りてから、近くのショッピングセンターへ。
しかし、ここで購入したワインは、結局は持って帰ることができなかった。(顛末はこちらをお読みください)


| | Comments (0) | TrackBack (0)

ベルリンその7

4月25日(水)

シンポジウム最終日。

Imgp2964
裏方の方々全員に、花が贈られた。こういう気配りは、本当におしゃれで素敵だ。

会議の裏方の仕事は、けっこうきついのである。朝早くから夜遅くまで、準備に追われ、うまくいって当然、うまくいかなければクレームの嵐というプレッシャーに耐えなければならない。一度でも自分で責任を持ってやった人であれば、その苦労はたぶんわかるだろう。

私のホテル予約のミスについても、丁寧にお詫びをしてくださって、恐縮。ベルリンの写真集までいただいてしまった。

今回お世話になった会社の方と最後の打ち合わせ。

東ドイツ出身の社長さんは、会議会場の向かいにある荘厳な感じの音楽堂のほうがよいといい、西ドイツ出身の若い女性社員は、ベルリンフィルの現代風の建物のほうがよいという。

「ほら、東西対立は続いているのよ」

みんなで爆笑。
こんな冗談が言えて、笑いあえる関係になっているのはいい。
つらい過去をなかったことにするのでなく、そのままにおいておいて、笑い話にできるといい。


Imgp2978
プログラムはドイツ語だったので、購入せず。
何の曲目かよくわからないけれど、どちらかというと現代音楽風。

美しい女性がチェロを持って登場。
チェロって、こんな楽器だったのだと思うようなすばらしい演奏。すごい!の一言。
指揮者兼第一バイオリンの方と結婚されているとかで、アンコールのときの二人の合奏がとても素敵だった。あんなふうにアンサンブルができたら、どんなにいいだろう。

ここで演奏しておられる方は、全員が一流なのだと思う。しかし、一流の中でも、第一バイオリンを弾く方と、後ろのほうで弾いている方とは、弾き方が違う。第一バイオリンの方は、体全体が楽器になっているように見えるのである。

Imgp2981
休憩時間。
このホールは、うまく設計されていて、どこにすわっても、演奏がよく見えるようになっているそうだ。

今回のベルリンは、オペラも室内楽も存分に楽しめて、本当によかった。

明日は帰国。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

相乗り衛星決定

H2Aの相乗り衛星が決まった。
JAXAのホームページによると、東大阪宇宙開発共同組合、東北大、ソラン株式会社、東大、香川大、都立産業技術高専(元の都立航空高専)の6つが選ばれた模様。

H2Aの相乗りなんて、夢のまた夢だったのに、たくさんの方の努力によって、実現した。隔世の感がある。

選ばれたところは、打上時期(たぶん来年夏くらい?)までに、JAXA標準の試験にすべてパスすれば、GOSATといっしょに、H2Aで打上げられる。パスしなければ、地上においていかれる。

打上基準をクリアするのは、相当に大変らしいので、選ばれたところはこれからが勝負。皆さん、からだを大切にして、がんばっていただきたいものだ。

選定結果について、評論家だったら、いろいろとコメントをつけたいだろうけれど、私は評論家ではないので、来年の結果をただ楽しみに待ちたい。打上が決まってからの「がんばれる度」は、桁違いに大きくなるから、開発が間に合わないように思えても、信じられない力が出て、間に合うかもしれない。(もちろん、技術開発の世界はそんなに甘くないが)

今回選ばれなかったところも、たくさんある。
残念という言い方もできるが、別のチャンスができたともいえる。どちらがよかったかは、たぶん最後までわからない。

打上スロットのリサーチは、着々と進行中。
リサーチしなくてもよい時代(つまり、自前のロケットがポンポンと打ちあがる、という状況)がくるとよいのだけれど、そのような大それた夢は夢として楽しく絵に描いておき、今は目の前のことに集中しよう。

まずは、選ばれた皆さん、おめでとうございます!
元気な衛星たちの誕生を心待ちにしています。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ベルリンその6

4月24日(火)

シンポジウム二日目。
セッションが続く。

Imgp2874

昨日、会場の近くに素敵なチョコレートショップを発見していたので、お土産を購入するために再度行ってみた。
チョコレートで作った歴史的建造物が飾られている。ホンモノのチョコレートで作ったものではなさそうだが、よくできている。

広い店内のいたるところにチョコレートが売られている。
ふつうのおしゃれなものもあれば、カカオ何%入りと明記されている板チョコもある。
動物をかたどったものも種類がいろいろあって、楽しい。普通のチョコレートといっしょに、小さなブタちゃんチョコをいくつかカゴに入れる。

夜は、豪華ホテルでのディナーに参加。
食事はすばらしくおいしくて、満足。

Imgp2879
学生発表の順位が発表される。
きっちりと順位が出て、ちゃんと賞金も出る。2位でも2000ユーロ(30万円くらい)というから、かなりの大金だ。
今回の一位は、ミシガン大学。

日本からも優勝者が出たことはあるそうだけれど、このシンポジウムの存在自体を知らない人が多いかもしれない。小型衛星を研究開発しているなら、このシンポジウムはお得と思う。優勝すれば、滞在費くらいは出るわけなので、ぜひ挑戦していただきたいものだ。

成果をしっかり出して、自信を持って発表できる大学が増えていくといい。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ベルリンその5

4月23日(月)

Imgp2774
これから3日間にわたり、小型衛星シンポジウムに参加予定。

ベルリンの音楽堂の向かいにある、由緒正しそうな建物が会場。(写真は音楽堂)

ホテルからは、地下鉄で3駅。
初めてのところだから、少しはやめにいく。
朝のお茶サービスがある。コーヒーをいただきながら、旧知の方々にご挨拶。

「髭剃りが壊れたの?イギリスでは、ヒゲはそらないの?」と、10年来の知人をひやかす。
「朝一番に、女性にそんなことを言われるなんて!」と、寝過ごしてヒゲを剃れなかったらしい英国紳士は笑う。
10年前には、学生だった人が、今はこうして第一線で活躍している。今、学生をしている人たちは、10年たったらどんなにりっぱになることだろう。

オープニング。
基調講演は、小型衛星の世界では有名な英国サレー大学のSweeting教授。
80年代の初頭から、小型衛星の開発を手がけ、いまや社員は250名。

Imgp2686
小型衛星の強みを生かすには、コンステレーションが有効だとのこと。
確かにそうだけれど、そのためには、軌道が選べないといけない。主衛星の「お気に召すまま」に打上げるしかないピギーバック頼みでは、思うようなコンステレーションは難しい。うーん、ロケットがほしい。

この会議は、朝のお茶サービス、午前中のコーヒーブレイク、そして豪勢なランチ、さらに午後のコーヒーブレークと、いたれりつくせりのサービスがある。

ランチのあとのコーヒーは、展示コーナーにおいてある。
だから、コーヒーを飲みたい人は、展示コーナーに移動する。そして、自然の流れで、展示を見ながらコーヒーを楽しむことになる。この動線の作り方はなかなか。

そして、午後の開催時間には、展示コーナーと会場との仕切りにさーっと幕がおりて、切り替えがぱっとできるようになっている。

「はじめますから、席にすわってくださーい」と叫ぶ必要はない。このあたりも、なかなかいい感じ。

Imgp2772 
この日の夜、懇親会。貸し切りバスで移動。

隣にすわったオランダの方といろいろ話す。
彼曰く「画期的な」スタートラッカーを開発中とか。スタートラッカーといえば、デンマーク工科大学のが有名だが、あれは大きすぎるとのことで、「画期的技術」で、小型化を目指しているらしい。ヨーロッパは、けっこう元気な開発者があちこちにいるらしい。

Deutsches Technikmuseum Berlin という博物館が会場。
飛行機やら舟やらが展示してある。おもしろいのは、失敗してめちゃめちゃに壊れた飛行機も丁寧に展示してあるところ。いいところだけを見せるのでなく、すべてを見せているあたりがすばらしい。失敗したらどうなるのか、ということを知っていることは大切だ。失敗しないようにするにはどうすればいいのか、真剣に考えるようになる。

ここでも楽しいおしゃべりとおいしいお料理の合間に、しっかり情報収集もして、収穫は大。
やっぱり、動いてみるものだと思いながら、ホテルに戻る。部屋を変えてもらったので、本日よりバスタブにつかって疲れもとれそう。

| | Comments (7) | TrackBack (0)

ベルリンその4

4月22日(日)

本日もオフであるが、ポツダム観光に連れていってくださるというので、ありがたくお言葉に甘える。

Imgp2625
まずは、ツェツィーリエンホーフ宮殿へ。かのポツダム会談が行われたところ。爆撃でどこも焼けてしまっていた中で、ここだけが残っていたので、この場所になったという。今はホテルになっているというのだが、かなりお高いらしい。美しい湖(川?)のほとりにあって、お散歩には最適。1945年の夏、ここに集まった人たちは、この水辺の景色を楽しむことができたのだろうか、などと考える。

Imgp2654
ここは前座で、ポツダム観光の目玉はサンスーシー宮殿。
サンスーシー(Sans Souci)とは、フランス語で「憂いのない」という意味だそうだ。

Imgp2633_1Imgp2643

「憂いのない宮殿」では、入り口でスリッパが用意されていた。やけに大きいと思ったら、靴のまま履くのであった。豪華絢爛の室内で、しばし目の保養をする。

Imgp2648
新緑が目にまぶしい。
庭には花が咲き乱れ、気持ちのよいことこのうえない。
素敵な季節に来ることができてよかったと思う。

それから、ポツダム近郊の小さな村へ。
Imgp2664
この日は、ランチはなしだったのだが、それでちょうどよかった。
川べりのレストランへ。

すばらしくおいしいプラムケーキを、心行くまで堪能。こんなにおいしいプラムケーキは初めていただいた。大きなプラムがたくさん入っているパウンドケーキという感じなのであるが、プラムはもちろん、ケーキの部分は、どうやって作るのかレシピがほしいと思うくらいのおいしさ。それに生クリームがそえてあるのだが、なんともいえない味なのであった。感激。

Imgp2658
この川には橋がない。
それほど大きな川ではないのだけれど、フェリーが両岸をつないでいる。
人も車もフェリーで行き来するらしい。

そのゆったりさがいい。
この国で、橋など作るのは簡単だろうけれど、あえて作らないところがいい。

Imgp2671
それから、アインシュタインの別荘へ。
ユダヤ迫害が始まる前の、幸せだった時期に、3年ほど夏を過ごしたところだという。

少し高台にあるので、とても景色がいい。
日当たりもよく、緑も多く、気持ちのよい場所だ。
ここで、アインシュタインは何を考えていたのだろう。
Imgp2672
ノーベル賞級の各界の学者と議論をしたのだという部屋の椅子に座る。政治的な話をすることがだんだん難しくなっていった時代。言論の自由がない状況は、人の気持ちを小さくしていくから、悪いスパイラルに入っていくのかもしれない。

彼の部屋、奥様の部屋、お客様の部屋。どれもあまり大きな部屋ではない。

Imgp2674
こじんまりとして、居心地のよさそうな家だった。

バスタブは、アインシュタインが使ったものだというので、さわってみた。(もちろん、何の変哲もない、ただのバスタブであったが)

夕暮れ時。
ゆったりと楽しんでいるうちに、時間は過ぎていった。
Imgp2678
帰りの高速で、「恐竜」を発見。
なぜか、とてもスリムな恐竜であった。

夜は、明日から始まる小型衛星シンポジウムのパーティ。
すっかり忘れており、少し遅刻して、(またしても、ほこりっぽいジーンズで)パーティの会場へ。
ボロは着ていても心は錦、とまたしても心の中で唱える。明日からはきちんとスーツで来よう。

そのパーティで、たいへん懐かしい顔に出会った。
九大の卒業生で、今はシュットガルト大学で勉強しているという。
国際派の彼は、中国の方と結婚して、ドイツで暮らしているのだという。

Kuwa_1
(九大の先生経由で写真掲載のご許可をいただいたので、写真を掲載します。見覚えのある方、彼は元気でがんばっていますよ。やせたそうなので、太るものを贈ってあげましょう)

頭脳流出、という言葉がかすめる。
優秀な若い人が、海外に行って学ぶのはいい。
しかし、そのまま海外にい続けてしまうとすれば、それは頭脳流出であろう。

卒業後、彼がどうしても日本に帰りたくなるような場ができるといい。海外の優秀な人材が、ぜひ日本で仕事をしたいと思うような場があるといい。

そのためには何が必要だろう。
まずは、妄想をたくましくしてみよう。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

ベルリンその3

4月21日(土)

Imgp2575
本日はオフ。
歩いて博物館島へ。シュプレー川の中に島があり、そこに博物館が建っている。

有名なペルガモン美術館に、まず入る。ここだけなら8ユーロ、博物館島のすべての博物館なら12ユーロという値段設定。単純に考えても、2つ以上いくなら、もちろん12ユーロ払ったほうがお得。

Imgp2579
ペルガモン美術館は、中にはいると、一瞬、美術館にいることを忘れてしまう。
入るとすぐに、ペルガモンの大きな祭壇(階段になっている)がどどーんとあって、「見ている」というよりは、「そこにいる」という感覚になってしまうのである。
そして、美しい門がそのままに再現されている。きれっぱしを展示しているのでなく、そのものずばりを作ってしまっているのは、さすがである。

Imgp2593
その後がいけなかった。ここには5つの博物館があり、そのうちの1つは改装中。そして、私は開いているすべての博物館をはしごしてしまった。もちろん、一つ一つはさらりと見ることになってしまう。ああ、なんというもったいないことをしてしまったのか。。。。これは、再訪するしかない。

そう思いつつも、12ユーロを有効に使ったという妙な満足感もあり、人間の心の不思議さを実感しつつ、シャルロッテンブルグ宮殿へ。

Imgp2611
プロイセン王国の栄華がしのばれるような豪華な宮殿。
お庭をゆっくりと散歩して、いい気分にひたる。シンメトリーに作られた庭園と、その後ろに広がる林と池。お花がとてもきれいに咲いていて、心が和む。

天気のよいことといったら申し分なく、こういう幸せな時間を過ごせることに心から感謝。

Imgp2613
そして、夜は、オペラへ。
一日観光して、ホコリだらけになったジーンズでノコノコとチケット売り場へ。なんと、一番よい席があいているという。迷わず購入。優雅にお茶を飲みつつ開演を待つ人たちの装いの美しさに比べると、なんとも場違い。しかし、ホテルに戻る時間はなかったのだからしかたない。ボロは着てても心は錦、と心の中で繰り返す。

この夜は、たまたま「マダム・バタフライ」だった。

Imgp2618
イタリア語の歌劇に、ドイツ語の字幕。
全くお手上げなのであるが、筋は大体知っているので、想像しながら楽しむ。

着物姿は、やや妙な具合なのだが、最後のほうではもうまったく気にならなくなるくらい、すばらしい舞台だった。

芸術の力の大きさを知るのはこういうときだ。

これまで私は、蝶々夫人の物語を知っていたが、彼女の気持ちはずっと理解できなかった。
不実な夫を持ったからと言って、なぜ、彼女は自殺しなければならなかったのか。

劇中では、かわいらしい子供の存在が涙を誘う。
自殺を決意した蝶々夫人は、子供に目隠しをして、そして自分は泣きながら「ハラキリ」をする。

それを見た瞬間、私の長年の疑問は氷解した。ああ、そうだったのか、と思えた。すっと腑に落ちた。それは理屈ではなくて、「ああ、そうだよね」という共感といってもいい。

蝶々夫人には、死ぬ以外の選択肢はなかった。
こうすることが、彼女にとって「生きる」ことだったのだ、と。
彼女は弱かったから死んだのでなく、逆に強かったから死んだのだと。

Imgp2615
満場の客席からの割れんばかりの拍手に、何度も出てきてお辞儀をする蝶々夫人と登場人物たち。オーケストラもすばらしかった。

興奮をさましつつ、ホテルまで歩いて帰る。
月が出ていて、しばし見とれる。

小さな幸せがたくさん続いた幸せな一日。
晩御飯を食べ損なったことくらい、どうってことはない。お店は早くに閉まってしまうらしく、コンビニがちょっとだけ恋しくなる。持っていたチョコレートをかじって眠りにつく。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ベルリンその2

4月20日(金)

本日は、Astrofein社へと向かう。8時半の電車に乗ると、最寄駅にどなたかがお迎えにいらしてくださっているとのことで、指定の電車に乗る。なんとありがたいことよ。

ホテルから電車の駅までは少し歩く。ベルリンの街は、どこもかしこも工事中で改築中。この駅も、すぐそこに見えているのだが、道路が工事中なので、かなり遠回りをして到着。

ドイツ語はわからないので、やや緊張して電車に乗る。アルファベットなので、駅名は読めるから、ひとつずつ確認していく。なんとなく楽しい。

駅には、昨日の方とは別の方が迎えにいらしてくださって、そして会社まで歩く道すがら、いろいろ教えてくださる。

「今日は長い一日になるので、始まりの時間を少し遅く設定しました」

「遅い」といっても、9時5分には最初のミーティングが始まったのである。どうやら、本日は一日びっしりと予定が組まれている様子。

Imgp2534
Astrofein社は、1993年設立。DLRから独立したエンジニアたちが作った会社。東西ドイツの統一により、旧東ドイツの宇宙機関the German Academy of Sciences は、the Berlin- Adlershof center of the German Aerospace Research Establishment (DLR)となった。DLRはサイエンス中心なので、エンジニアとしてはいまひとつだったので、起業することにしたとのこと。社長をはじめ、ほとんどが東ドイツ出身のエンジニア。

1994年には5人だった従業員が、2002年には25人になり、現在は52人。Adlershofというサイエンスパーク(450社くらいが集まっていて、DLRもそこにある)に会社はある。

ミーティングルームには、美しく飾られた果物とクッキーが。
こういうセンスは日本もほしいものだと思いながら、朝食バイキングで食べ過ぎているので、お茶だけを頂く。

Imgp2536
ここの社長さんには、来日された折に一度お会いしたことがある。この方は、英語をあまり話されないので、通訳を介してお話する。

一日びっしりと施設の見学と、入れ替わり立ち代りの説明をうかがう。この会社は、Quality Assurance に配慮しており、多くのCertificateをもらっているらしい。

「顧客の標準が、我々の標準」がモットーだそうだ。

そして、超小型衛星用のホイールの実物を見せていただく。本当に小さい。


Imgp2544
姿勢制御のシミュレーション設備を最近作ったそうだ。
BIRDの姿勢制御のシミュレーションをするときに作った設備をもとにして、姿勢制御に関するすべての試験が自動でできるようなものを作り上げたとのことだ。地下には、たくさんの精密加工機械があって、何でも自社で作れる。

うーん、こういう中小の会社がドイツにはいくつもあるのだとすると、けっこうな底力だ。

産業として成功するには、層の厚さが必要だ。
日本には、そういう層の厚さがあるだろうか。

たいへん残念ながら、日本の宇宙機器輸出高は減少の一途をたどっている。世界の市場は右肩上がりだというのに、そして、円がこれほど安くなっているというのに。

うーんとうなりつつ、夕方から市内観光に連れていっていただく。

Imgp2557
ベルリンの壁はもうないのだが、記念のために、一部だけが残っている。意外に低くて、簡単に超えられそうに見える。当時は、その上に鉄条網がはりめぐらされていたし、決して超えられない壁になっていたのだろう。

壁はたぶん、まず人の心の中にできて、それが現実化しただけのこと。壁があると思うときには、まず自分から壁を壊すことが必要なのかもしれない。

Imgp2562
壁があったことを忘れないために、道路には印がずっとつけられている。

あったことを「忘れない」ような努力がずいぶんとなされている。

なんでも水に流してしまいたがる日本とはずいぶんと違うように思える。どちらがいいのか、本当のところは、わからないけれど。

Imgp2561
ユダヤ人虐殺の悲しい歴史も、忘れないように、モニュメントが作られている。
棺を思い起こさせる形のものが、たくさん並べてある。

忘れないように。
自分たちがしたことを、忘れないように。

それが、ごく日常の風景になっている。

何かを感じながら、おいしい料理とワインで、楽しい夜を過ごす。
Lutter und Wegener というレストラン。現代絵画が壁にかけられていて、美術館の中で食事をしている感じ。
すすめられるままに、イチゴの食前酒を注文。甘くておいしい。

巨大なわらじのごときシュニッツェルと、白いアスパラガスが絶品。
アスパラガスはシーズンだそうで、太くて長くて白くて、そしておいしい。

このディナーは、忘れない。
幸せな食事は、いつもどこでも心を満たしてくれるものらしい。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

ベルリンその1

4月19日(金)

朝9時にベルリンに到着。パリ乗り継ぎだったが、時間通り到着し、しかも荷物もちゃんと出てきた。何があるかわからないのが飛行機なので、それだけで感謝。

Imgp2468
空港に迎えに来てくださっていたのは、スラリとしたドイツ美人。笑顔がとってもキュート。空港にお迎えにきていただけるなんて、なんという光栄。まずはホテルへということで、ホテルへ直行。

しかし、彼女に迎えに来ていただいていてよかった。ホテルに着いたら、なんと私の名前の予約はないというのだ。ホテルのアレンジをしてくれた彼女は青くなって、あちこちに電話。どうやら、旅行社とホテルの間でミスコミュニケーションがあったらしい。結局、私は別のホテルに予約されていた。まあ、どこでも泊まれればよいとしよう。

Imgp2463

その日は、ベルリン工科大へ。そこで教えている友人がホテルまで迎えに来てくれて、「観光案内」。ホテルはとてもいい場所にあって、しかも地下鉄の駅前。ブランデンブルグ門に着くまでに、博物館やらオペラハウスやらフンボルト大学やらがあって、お天気もよくて、気分は最高。

今は平和な街にしか見えないのだけれど、ほんの15年前には冷たい壁があったのだ。一夜にして築かれたという壁に引き裂かれた家族がいるとか、壁を越えようとして殺された人がいるとか、壁がなくなった今は、そんな歴史があったのだということが信じられない。その当時のこのあたりの空気はどんなだったのだろう。重苦しかったのだろうか。悲しみに満ちていたのだろうか。あるいは、その日の生活に精一杯だったのだろうか。

Imgp2475
私の友人は、東ドイツの出身。東西の壁がなくなった日のことを、それは嬉しそうに話してくれた。それは本当に唐突に起こった(と東側の人は感じた)らしい。東西ドイツの分裂と統一。その歴史をくぐりぬけてきた人たちとベルリンの街。そこにいなかった人には決してわからない深い悲しみと、それをはるかに超える大きな喜びを経験してきたのだろう。

そんな話をしながら、ベロタクシー(Velo Taxi)に乗る。これは自転車のような形で後部座席が二人がけになっている。自転車の速度でゆっくり走る。まわりの景色を楽しみながら、運転手さんとのおしゃべりを楽しみながら、風に吹かれて優雅に後部座席に座っているのは、王侯貴族にでもなった気分。

Imgp2479
ベルリン工科大に到着。ここは、相当に広いキャンパス。いくつ建物があるのか、ちょっと見当がつかない。しかし、目指すはカフェテリア。航空宇宙学科のビルのすぐそばのちょっと高級だというカフェテリアにつれていっていただく。

「スープの小」と「サーモンのクリームソース」を注文。
スープの小というのは、コーヒーカップくらいだろうと思っていたら、堂々たる量。トマトシチューといってもいいぐらい実だくさんのスープ。これとパンくらいでよかったと思いながら、意外なおいしさに、サーモンとほうれん草の炒め物にポテト(いずれも大量)のかなりの部分を食べてしまった。

Imgp2477
この建物のエレベーターが傑作。8階のボタンだけ、8の字が横になっている。「無限大」と形が似ているから、無限大としゃれているんだとの説明に思わず拍手。なんと楽しいエレベーターだろう。そういう遊び心を大切にするなんて、なんと素敵な大学だろう。

Imgp2481
航空宇宙の建物は、なぜか水色。研究室でキューブサット(こちらではパイコサット=PicoSatと呼ばれている)のEMを見せていただいた。超小型のホイールを使って、姿勢制御の実証実験をするのだそうだ。

Imgp2498
彼は、もともとDLR(ドイツの宇宙機関)の小型衛星BIRDのプロマネをやっていたので、衛星に関してはプロ。しかし、学生とのプロジェクトが楽しくてたまらない様子。いっしょに教えているという同僚の先生も実に熱心。整然とした研究室に驚愕。来年くらいには打上げたいとのことだが、打ち上げロケット不足の悩みはどこも同じ。

昨年7月のGSNワークショップに参加した学生さんに再会。とても元気そう。日本の修士号にあたるディプロマを取得して、今は教える仕事をしているそうだ。この方は、実はドイツ人ではなくて、ウズベキスタンの出身。ウズベキスタンのメロンと桃がいかにおいしいか、収穫の季節には、あたり一面がどんなによい香りに包まれるかを教えてくださった。ウズベキスタン・・・一度行ってみたいものだ。

Imgp2510
ここの地上局は、彼が中心となって作り、もう完成していて、東大や東工大のキューブサットの電波もとっているとのこと。

晩御飯は、なぜかイタリアン。おしゃべりしながらの楽しい時間。しかし、さすがに眠くて、私の口数は少なくなる。

ホテルに着いて、ショックなことが二つ。
私のリフレッシュの元であるバスタブがない!こちらの方は、シャワーで十分なのだろうけれど、私はお風呂が大好きなのだ。温泉大浴場というような贅沢は言わないが、お風呂につかりたい。そして、インターネット接続が有料(1時間8ユーロ=1300円くらい)だということ。ネット接続にお金を取るなんて、なんとがめつい。しかも、毎回クレジットカードの入力が必要。かなりショックを受けたが、この日のところはもう仕方なく、シャワーを浴びて眠る。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

« April 2007 | Main | June 2007 »