ムンク展
国立西洋美術館でエドヴァルド・ムンクの展覧会。
ノルウェーの画家。19世紀末から20世紀初頭に活躍。
絵から異様な雰囲気が漂ってくる「叫び」という作品は有名。
この絵の印象が強かったので、気分が暗くなることを予想して、けれど何かひきつけられるように美術館へ。
子供のころに母と姉を亡くしていて、それが作風にも影響しているとのこと。
「病気の子供」の絵など、救いようがないほどに表情に諦めがにじみ出ている。
「不安」「絶望」というタイトルの絵は、「叫び」によく似て、空は不気味に赤く、人の表情は暗い。
ああ、もっと明るい展覧会へ行くべきだった。。。と後悔するのは早い。
ムンクは、作品を一点ずつ鑑賞するというよりは、並べて鑑賞するものとして考えたらしい。
「生命のフリーズ」というのは「全体として生命のありさまを示すような一連の装飾的な絵画として考えられたもの」だと、パンフレットに書いてある。
並べて鑑賞するには最適なのが壁画。彼はあちこちに壁画も残している。
チョコレート工場の食堂には彼の壁画がある。こんなところで食事ができるなんて、なんて幸せな人たちだろう。
今回、最高に印象に残った作品は「太陽」。オスロ大学の講堂の壁画の正面に描かれたもの。この壁画は7年の歳月をかけて一人で描いたのだそうだ。
その「太陽」。
寒色を中心に描かれているのに、明るいのである。
なんともすがすがしくて、光がこちらの心の中までさしこんでくるような作品。
10分くらいボーっと見ていた。至福。
ああ、これに出会うためにここに来たのだなあと勝手に納得する。
芸術鑑賞は「思い込み」で楽しむに限る。
悲しい子供時代を経て、悩み苦しんだ時期を経たからこそ描けるこの太陽。
その太陽の光を時代を経て、海を越えて受けることができる幸せ。
こういう企画展の作業は気を使うことが多くて、相当に大変らしい。
けれど、こういう幸せな時間を作ってくれるのだからすばらしい。ぜひぜひ気合をいれた企画展をどんどんやっていただきたいものだ。
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