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カムイ君のメッセージ

12月8日にカムイロケット打上。
8日と9日は、ちょうどUNISECのワークショップの日で、多くの大学が「ロケット打ち上げ」についても発表をしていた。各地で大学生がロケット打ち上げに挑戦している。

今回、カムイ君は、「失敗」したそうだ。

新聞記事をよく読むと、カムイ君としては、打上には成功したようなのだが、パラシュートが開かずにおりてきてしまったらしい。さらに、おりた場所がたいそう気まずく、カムイ君のために仕事をしている人たちのいるテントだったらしい。

幸いなことに、狭いテントに8人もいたのに、誰にもあたらなかったのだそうだ。怪我がなくて何よりだが、カムイ君はいったい何を言いたかったのか。同じ日に、宇宙工学を学び、宇宙ものづくりに勤しむ学生たちが集まるワークショップを開催していたのは、偶然だったのか?

モノは正直。決してウソをつかない。間違ってプログラムされたら、正しく動くことはない。
ヒトは誠実。間違ってプログラムされても、良心に従って、正しく動こうとする。

リアルなプロジェクトには、リアルな問題が発生する。
光をあてれば、影ができる。光と影はいつも表裏一体。

すべてのことは、絶妙のタイミングで起こる。

何を学べといわれているのか。
何に気づけといわれているのか。

9日のUNISEC教員会議では、実験の安全対策について議論になった。「ヒヤリ集」を作ろうという具体的な提案もなされた。ワークショップの最後の挨拶(東海大の遠山先生=UNISEC副理事長)でも、カムイ君のことについての言及があった。すでに、安全対策について、UNISEC内では具体的に動き始めている。

メッセージは、受け取る側によって、全く異なる意味になる。受け手の心情や状況や知識がメッセージに影響を与えるからである。意識が高い人は、意識の高いメッセージを受け取る。「やめたい」と思っている人は、「やめなさい」というメッセージを受け取るだろう。

私は、何のメッセージを受け取ろうとしているだろう。

「危ないから、もうやめたほうがいい」だろうか。
「もっと真剣に取り組んだほうがいい」だろうか。
「とまって考えたほうがいい」だろうか。
「多少の犠牲が出ることを覚悟したほうがいい」だろうか。
「方法論を考え直したほうがいい」だろうか。

あるいは、もっと何か別のメッセージだろうか。
「はやく、カムイロケット物語を書きなさい」
という声も聞こえないわけではない。なんとか時間をひねり出したいものだ。

大学生の宇宙開発は、いまのところ極めて脆弱な基盤の上に成り立っている。
支えているのは、学生さんたちの意欲と頑張りと先生たちの熱意と誠意、そして卒業生や支援をしてくださる方々のサポート。

宇宙開発で食べているプロの人たちは知っている。
夢や気合いだけでは、宇宙へいけないということを。

確かな技術力があって、はじめて宇宙へ行けるものが作れるのだ。
では、そのような技術力はどうやれば持てるのか。

たぶん、今、選別の時期にきている。
続けられる人と、そうでない人と。
続けられる体制と、そうでない体制と。

「宇宙基本法」が制定されたら、宇宙の世界は大きく変わる。
そのこととは別に、法律とは関係のないところで、これまでの宇宙コミュニティは、崩壊しつつある。

人の為と書いて、「偽」という字になる。
今年のキーワードの一つといわれている字だ。
うそをつくとき、たいてい、人は誰か別の人の為にそうする。

誰かの為でなく、自分の為にどうなのか。
一人ひとりが、そのことを真剣に考えるときなのではないだろうか。

組織のためでなく、家族のためでなく、会社のためでなく、地域のためでなく、国のためでなく、人類の未来のためでなく、いま、自分の為にどうなのか。

誰かに刷り込まれた「信念」あるいはプロパガンダを反芻するのでなく、自分はそれをしていて幸せなのか、本当に幸せなのか。しっかりと自分の頭で考え、見極め、そして決めていくことだ。そうすれば、何が起こっても、後悔することはない。

カムイ君のメッセージを真摯に受け止めたいと思う。

カムイ君を支える人たちが、カムイ君といっしょにいて、とても幸せなのであれば、きっと次回は大きな喜びに包まれることだろう。3月の打上げに期待しよう。


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Comments

apogee_matic660さま

もういらしたかもしれませんが、もしまだでしたら、ぜひカムイの打上げを見にいってくださいませ。あの緊張感は、なかなかですよ。

カムイロケット物語は、本当は小説で書きたいんですが、事実は小説より奇なりといいますし、やはりノンフィクションで書こうと思っています。楽しみです。

Posted by: Rei Kawashima | 2007.12.17 at 01:22 AM

レスの方、ありがとうございます。
>相当なお方
・・と、いうことですが、実はただのファンだったりします。
宇宙開発の現場には(ほとんど)かかわりを持っていない
分野で仕事をしています。いや、間接的には宇宙開発に役立っているようです。

でも、心意気は川島さんの仰るとおりです。(それだけで
行動に移せない自分もナンですが)この失敗がケガの
功名と言われるか否か、場合によっちゃ日本がもっと
元気になる源にもなれるかもしれないという期待も
込めつつ、これからも陰ながら応援させていただきます。

ちなみに、K-8の事は的川先生(またの名をYM氏)の著書で知りました。
今回の件で真っ先に思い出した次第。

で、「カムイロケット物語」も期待しております。

Posted by: apogee_matic660 | 2007.12.17 at 12:08 AM

apogee_matic660さま

コメントありがとうございます。
道川海岸でのK-8の大事故を引き合いに出されるところをみると、相当な方とお見受けいたします。
そんな方に応援されているカムイ君は、幸せ者ですね。

Posted by: Rei Kawashima | 2007.12.15 at 11:23 PM

今回の失敗は、ロケット工学者にとって避けては通れない「痛み」なのかも
しれませんね。もうエンジンについては(しばらく)何もする必要は
無くなったという証なのかもしれません。次の段階へ進むべきだという
メッセージだと思います。

かつての道川海岸で、K-8が大事故を起こしたときも、死傷者ゼロという
(こちらはさらに奇跡的なこと)事だったのですから、CAMUI君に
新たなスタートラインが設けられたと、一ファンとして信じたいです。

Posted by: apogee_matic660 | 2007.12.15 at 07:06 PM

ぐさま

>PS:「カムイロケット物語」楽しみにしています!

ありがとうございます。私も書くのをとても楽しみにしています。
ぐさんもぜひ、ご登場くださいませ。
物語はこれからどんなふうに展開していくんでしょうね。

今回のことは、たぶん、「3日で立ち直ったメンバーたち」みたいな感じで書くのかなと思っています。

本当に楽しみです。

Posted by: Rei Kawashima | 2007.12.15 at 05:30 PM

> やっぱり痛いのですけどね
いや全く。(^^;
ロケットモータ改良に至る去年の苦闘があるとはいえ安全や人命に関わるような
「痛み」は初めてだったわけで、大変失礼な言い方をすればCAMUI君に一番
欠けてたものだったのかもしれません。
あのような幸運な結果でそれを通過できたのはなんとお優しい神様であるかと・・・

「やめる自由」のお話興味深いです。
あのお二方は「天命」か「お告げ」ぐらいに思ってらっしゃるかもしれませんが・・・

長くなってしまいました、すみません。
ありがとうございました。

PS:「カムイロケット物語」楽しみにしています!

Posted by: (ぐ)こと のざき | 2007.12.15 at 10:33 AM

ぐさま

コメント、ありがとうございます。

失敗したときの「痛み」はとても大きいのですが、その痛みを持っていることは、実はとても大事なことのように思います。その痛みをたくさん持っている技術者は、あらゆることに目配りをして、同じ失敗を繰り返さないようになるだけでなく、別の失敗も想定して先に手を打つようになりますから。。。

痛みの重要性は、ロケットや衛星だけでなく、人生のすべてに言えることのように思います。(しかし、やっぱり痛いのですけどね)

当事者の痛みは、ファンであってもやっぱり100%は理解できないので、ここは静かに見守りたいところです。

「やめる自由」をいつももっていることも重要なことと思います。やめる自由を持っていて、でも、やっぱり続けたいと思うかどうかは、当事者が決めることですよね。まわりがとやかく言うことではないと思います。「やめる自由」を持たない関係や仕事は、奴隷と同じです。

自由に羽ばたくには、自由な心が必要と思います。
植松さんも永田先生も、自由に羽ばたいていただきたいなと思います。ぐさんもね!


Posted by: Rei Kawashima | 2007.12.14 at 10:44 PM

過激な表現ですが、神様が贄を求めなかった(お弁当すら!)からには、罰でも「やめろ」でも無いと思っています。

仰るとおり神様が彼らに突きつけたのは「覚悟」なのかも知れません。
1ファンがこんな書き方をするのはエラソーで恐縮なのですが・・・

「覚悟」を突きつけられ、さらに「腹を括った」CAMUIチームはさらに素晴らしいロケットを飛ばしてくれるものと信じています。

Posted by: (ぐ)こと のざき | 2007.12.14 at 12:32 PM

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