鴨ネギの夜
鴨が葱をしょってきた。
いや、正しくは、富山のシェフが鴨を捕獲して、東京の根津くらぶにて鴨料理の会を開いてくださった。
鴨料理が楽しめるのは、鴨の捕獲が解禁となる秋から冬にかけてだけだそうだ。
網で捕獲する伝統技術があるそうで、銃で撃たれた鴨よりも、ずっとまろやかな味になるらしい。
どうやって捕獲するか、捕獲してどうするかなど、熱弁をふるってくださる。
こんなに情熱をこめて料理されたら、鴨も本望かもしれない。
この会の主催は、根津くらぶの山田悦子先生。
お料理教室もしておられるので、この日20人限定で集まったお客さんは、ほとんどがお料理教室関係者。
料理を習ってよかったと思うのは、ひとつひとつの料理がこんなにも手をかけられているのだということがよくわかったこと。その手間を知っていると、お料理はいっそうおいしく感じられる。
鴨料理の前に、先付。
すでに美しく盛られて、私たちを待っていてくれた。
見ているだけで嬉しくなるようなお料理。
これはお正月風。もちろん、すべてが絶妙の味。
「自家製からすみ」(写真右端)など、思わずうなってしまった。。。
引き続いて、寒ブリの刺身。
うーむ、さすがにおいしい。
富山はお魚がすばらしくおいしく、さらに種類が多いところなのだそうだ。
鴨に行く前に、胃袋は満足してしまいそう。
これはすばらしくおいしいが、前座なのだと胃袋に言い聞かせる。これからが本番なのだ。
そして、出てきた鴨。
塩とわさびと辛子大根が薬味としてついてきた。
とてもきれいな肉。
食べるのが待ちきれない。
鴨がねぎをしょってやってきた、という言葉はよく使う。
けれど、その本当の意味は、この鴨焼きを食べないとわからないに違いないと思う。
太いねぎをドンドンとまわりに置いた真ん中に、鴨の脂身をおいて焼く。そうすると、その脂がねぎに染みて、それはそれはおいしいねぎになるのである。
その同じ鍋で、鴨肉をさっと焼いてお好みの薬味でいただく。
うーむ、なんというおいしいお肉!
やわらかくてジューシーで、臭みはまったくない。
薬味はそれぞれに味わいがあっておいしいが、塩が一番自然でいい感じ。
そして、鴨鍋。
しゃぶしゃぶの要領で、野菜を入れた鍋で、さっと鴨を熱して、表面の色が変わったくらいのところで頂く。これもまた美味。
同じテーブルになった方がたとおしゃべりを楽しみながら、すっきりした日本酒をいただきながらの鍋は、ことのほかおいしい。なぜか爆笑続きの私のテーブル。楽しいと胃袋の働きもよくなるに違いない。
写真は、せりの根をいれていただいたところ。野菜は、水菜、せり、極細のしらたき、ごぼうのささがき、ねぎの5種類。あとで「せりの根もおいしいのよー」と先生が各テーブルに配ってくださった。確かにこれはおいしい。普通は捨ててしまうところだが、新鮮なせりの根はなんともいえない食感で、満足度高し。
スタッフののりさん。
今日も元気いっぱいにニコニコくるくる動いてくださる。
忙しい中でも、ちゃんとカメラ用ポーズはとってくださった。
最後の締めは、おそば。
鴨せいろのような感じになって、これもなかなかいける。
そして、お漬物に柚子のシャーベット。
お茶を飲んでほっと一息。
鴨ネギの夜。
言葉の本当の意味を、しっかりと胃袋で学んだ貴重な一夜であった。。。。
この夜を創ってくださった方々と鴨さんたちに、心から感謝。
次回企画は6月の「鮎祭り」らしい。楽しみがまたひとつ増えた。
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