祝!打ち上げ成功

本日、打ち上げの日。

大学衛星が4つも打ちあがる。
こんな日がくるなんて、信じられない。

そういう大事な日なのに、私は風邪でダウン。
熱があって、ふらふらする。今日は長い一日になりそうなので、午前中は布団にくるまってうつらうつら。
午後から事務所に行く。

ちょうど打ち上げが成功した直後。
打ち上げを見逃してしまった。

14時25分のパス。
東大ではとれなかった。
仰角が低いから、というものの、他の衛星がとれたという知らせはあちこちから来る。
東大以外の大学は、みんな受信できたそうな。。。

プロマネの小松さんの後姿が険しい。
この瞬間、どんなにか、背中に重荷がかかっていることだろう。きっと肩が凝っておられることだろう。背中をさすってあげたい気持ちをおさえながら事務所に戻る。

そして、18時過ぎ。
嬉しい知らせが入ってきた。

キルナ局でとれたというのだ。
スウェーデンでPRISMのビーコンがとれたという知らせ。

ほっとする。
こういうときにはホットチョコレート。

今晩22時と23時40分にまたパスがある。
23時40分のほうは、条件がよいパスらしいので、きっと東大局でも受信できるだろう。

今日はあちこちで祝杯があがるのだろう。
もちろん、これからが衛星にとっては本番なのであって、ビーコンがとれたくらいで喜んではいけないかもしれないけれど、まずはおめでとう!

風邪もふっとんでしまいそう。
ヨカッタヨカッタ。

PRISMのブログはこちら。

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祝!キューブサット5周年

2003年6月30日。
日本の大学生が作った小さな衛星、キューブサットがロシアのプレセツクから宇宙へ打ち上げられた。

あれから5年。
いまでも、そのときに打ち上げられたキューブサットXI-IV(東大)とCute-I(東工大)は、元気に地球を回っている。

1歳の誕生日を迎えることだって夢のような話だったのに、5歳の誕生日をお祝いすることができるなんて、素晴らしすぎて、何も言えない。。。

しかし、キューブサット開発の初代メンバーの一人で、今は中須賀研究室の助教(少し前まで助手といっていたが、今は、助手→助教、助教授→準教授と呼び名が変わっている)として活躍中の酒匂氏によると、

「2003年6月30日に打ち上げたから、2008年6月30日に5周年があるのではない。2008年6月30日のこの日があるから、2003年6月30日の打ち上げがあったのだ」そうだ。

Star
本日、東大中須賀研究室では、巨大なケーキでお祝い。
果物たっぷりで、とてもおいしくいただいた。

毎年、ケーキを用意するのは、酒匂さん。
星型のプレートには、東工大のCute-I の名もいっしょに書いてもらった。
大切なライバルであり、仲間でもある。
彼らがいたからこそ、前へ進むことができた。

Cake
大きなケーキの横に10センチ角(まさしくキューブサットサイズ)のチョコレートケーキ。
これは、やはり初代開発メンバーの一人で、衛星メーカーで数年仕事をした後に退職して大学に戻り、博士号を取得し、明日から東大岩崎研究室で助教となる宮村典秀さんのために用意されたもの。リボンが結んであるように見えるのは、実は全部チョコレートで作ってある。

宮村さんは、お子さんも生まれて、ハッピーづくし。
人生には、いろんなときがあるけれど、幸せなときは、素直に幸せを感じるといい。

梅雨時とは思えない青空が広がった午後だった。
天からの祝福をいただいた、と勝手に解釈しよう。

5年前の今頃、ドキドキしながら、たくさんの方たちといっしょに研究室にいたことを思い出す。

あれから5年。
この5年の間に、研究室の顔ぶれは大きく変わった。
(現在のメンバーはこちら
UNISECの学生さんは、ほとんど全員変わった。

これからの5年はどうなるのだろう。
本当に楽しみだ。

何はともあれ、キューブサット5歳の誕生日、おめでとうございます!

Cake1
ちなみに、これは、一人当たりのケーキの量です。
ちょっと食べすぎ。。。この研究室にそういう語彙はありませんが、、、、

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プラネタリウムという場

山梨県立科学館へ行ってきた。
結論からいうと、「行ってよかったー!」である。

歩いて行くという無謀なことはせず、甲府駅からバスに乗ることにしたのはよいけれど、乗客は私一人。。。。
なんだか申し訳ないような気持ちがしつつ、急斜面をバスで登る。(確かに急な斜面であった。。。徒歩で登るのはメタボ対策にはよさそうなので、今度余裕があって天気がよいときにやってみよう)

キューブサット物語のプラネタリウム版は、すばらしかった。
みなさんに見てほしいと、心から思った。

少なくとも、キューブサット関係者の皆さんは絶対に見るべき、と思った。
7月13日までの投影だそうなので、ぜひぜひいらしてください。

今回は、アマチュア無線家の岩下さん(わざわざ山梨までいらしてくださったそうだ)にお会いしたり、静岡から来たというグループの皆さんや、甲府工業高校の先生、キューブサットを作りたいという山梨大学の女子学生など、楽しい出会いがたくさんあった。

科学館のスタッフがまたすばらしい。
山梨の科学館には何か不思議な力があると思っていたが、たぶんスタッフに恵まれているのだろう。
このあたりは、いろいろお話をうかがったので、後ほど、ご本人の了承を得てからご紹介したい。

プラネタリウム番組の話に戻るが、最後の場面がとてもいい。

東工大の研究室(にしつらえた地上局)で、ファーストボイスを受信したときの喜びの様子。
松永先生が飛び上がらんばかり。
全員がこれ以上はないだろうというような嬉しそうな顔をしている。

そして、その場面の後に、地球を背景に二つの小さなキューブサットが、飛んでいる場面がくる。

それを見ていると、この5年間、休みなく飛んで、ずっと電波を送ってきている小さな衛星くんたちの働きに拍手を送りたくなる。

あのとき、Cute-Iにカメラは載っていなかったから、写真はとれなかった。
5年たった今、Cute1.7はこんなにすばらしい写真をとっている。

プラネタリウムという「媒体」は、実はすばらしい場のように思う。
映画よりももっと向こうから近寄ってくるように思う臨場感がある。
そして、丸い天井、丸い会場がかもし出すなんともいえない安心感がある。
そのすばらしい場に、キューブサットがつないでくれたご縁で、私もうかがうことができた。

世の中のご縁の不思議さ、出会いのすばらしさに、あらためて感謝。
みなさん、ありがとう!

Unisectshirts
科学館では、なんと、キューブサットTシャツを、こんなふうに展示してくださっていた。
嬉し恥ずかし、、、。

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山梨県立科学館へ

明日(6月21日)、甲府へ行く予定。

山梨県立科学館で行われる「星空トークショー」とキューブサット物語のプラネタリウムを見に行くことにした。

トークショーは、「キューブサット物語」の登場人物、というよりは、キューブサットの初代開発者の一人、永島隆さんがお話をしてくださるそうだ。

夜なので、東京に戻れるかと思ったが、9時過ぎのスーパーあずさに乗れば、新宿に22時37分に着くようなので、問題なさそう。


早めの午後に行って、科学館の展示などいろいろ楽しませていただいて、などと考えている。。。が、余計なストレスはかけずにのんびりいくことにしよう。

お時間とご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひ、山梨県立科学館にいらしてください。
現地でお会いしましょう。

※プラネタリウムの詳細は山梨県立科学館のHPをご覧ください。
http://www.kagakukan.pref.yamanashi.jp/cms/event.php?id=250

また、キューブサット物語の編集者、今村さんのブログで、とてもよくわかる内容紹介があるので、こちらもご参照ください。
(見ると聞くとはたぶん違うので、ぜひ、自分の目で見たいところです)


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ラストボイス

Ajisai
HITSAT のラストボイス。

本日13時13分に、北海道工業大学の地上管制局でCW受信。
HITSATの声はこちらで聞ける。やや弱々しいような気もするけれど、なかなかいい声。

14時40分のパスでは、本家の管制局では受信できなかった模様だが、アマチュア無線家の方は一部を受信したらしい。いつもながら、アマチュア無線家の皆様の実力と根性には脱帽。

好きでやる人たち、意気に感じてやってやろうという人たちの力を結集できると、相当にすごいことができると思う。

UNISECの学生さんたちは、誰に強制されているのでもなく、手伝う大人たちも誰に命令されているのでもなく、喜んでやっている(ように見える)。

喜びがなくなるほどに疲れたときは、休むといい。
喜びを感じられなくなったら、やめてみるといい。
やめてみると、自分にとっての意味がおぼろげにわかってくる。

日本初の大学衛星(東大XI-IV、東工大Cute-1)が打ちあがったのが2003年6月30日。
もうじき5年。投入軌道がよかったせいもあって、いまだに元気。

当時の関係者たちは、すでに、あちこちでプロとして活躍中。
みなさん、会うたびに立派になって、いつも嬉しい驚きをくださる。
卒業生の活躍のおかげで、大学の宇宙プロジェクトはけっこういいかもしれないという評判ができつつある。

5年の間に、7基の大学衛星が軌道投入に成功している。
そして、これから、もっといろいろなプロジェクトが立ち上がろうとしている。

宇宙基本法が制定されて、新しい宇宙大臣(正式名ではないが)も誕生した。
日本の宇宙開発もこれから大きく変わっていくのかもしれない。

本質的な価値を持つものは、語らずとも価値がある。
言葉でデコレーションしなくても、価値があるものは、それ自体で光る。

そして、何事でも、誰でも、何でも、「ラストボイス」のときはやってくる。

衛星は、物理的存在としては、なくなったら新しいのを打ち上げればいいと思われるかもしれないが、自分が全身全霊をかけて関わった衛星は特別な存在。その人にとっては、ずっととっておきたい永久欠番として記憶に残るのではないだろうか。それは、中途半端に関わった人や、外から見ていた人には、たぶん決してわからない気持ちだろうと思う。

HITSATのラストボイス
最後の声を聞くと、何かを感じ取れるかもしれない。
ぜひ、聞いてみてほしい。

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HITSAT、大気圏へ

HITSATは、明日、大気圏に突入して、その命を終えるらしい。北海道工業大学の佐鳥先生からメールを頂いた。

2006年9月23日にM-V型ロケット7号機のサブペイロードとして打ち上げました北海道 初の超小型人工衛星HIT-SATは、明日18日(水)夜に大気圏に突入することがほぼ確 実となりましたのでお知らせします。

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SpaceTrack予測: 2008-06-18 09:32:00 GMT +/- 24 Hours
         = 2008-06-18 18:32:00 JST
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HITSAT関係者の皆さんは、どんなお気持ちなのだろう。
日本の大学衛星では、初めてのこと。
大気圏突入ということは、この小ささであれば、ほぼ燃え尽きてなくなるということを意味する。
デブリにならない模範的な衛星とも言えるけれど、いつもいたものがなくなってしまうのは、やはり「喪失感」を伴うのだろうか。

機会があれば、うかがってみたい。

私はといえば、今は、父のこともあって、センチメンタルな気持ちがいっぱいなので、やはりそういうふうに思えてしまう。「命には限りがあるのだなあ」というような。

想いをこめて作ったものには、命が宿るような気がする。
そういう意味では、衛星には確かに命が宿っているように思えてならない。

運用の手間がなくなって、楽になるという考え方もできるけれど、「入院患者の家族」から「遺族」になった経験からすれば、単純にそういうものでもなさそうだ。

手をかけた人ほど、想いが強かった人ほど、寂しさは大きいと思う。
けれど、なくしたものを嘆くよりは、そこにできた大きな空っぽのところに、もっといいものが入ってくるのを楽しみに待ったほうがいい。

各地で、どんどん衛星ができつつあって、今年の末か来年には、香川や仙台生まれの衛星が打ちあがる予定。

北海道の次の衛星は、どんな衛星になるのだろう。
楽しみに待ちたいと思う。

最後のCW受信。。。。うんと楽しめますように、お祈りしています。


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星空トークショー(山梨)

「キューブサット」をプラネタリウム番組にしたものが、ただいま山梨県立科学館のプラネタリウムで放映中。
なかなかの人気だそうで、ヨカッタヨカッタ。

そして、その上に、星空トークショーというのまで行われるのだそうだ。
トークするのは、「キューブサット物語」の登場人物の一人、永島隆さん。

プラネタリウムも上映されるとのことだし、土曜の夜なので、お時間のある方はぜひご参加ください。

星空トークショー「超小型衛星が拓く"みんなの宇宙"」

日時:2008年6月21日(土) 18:30~20:30(受付18:00~)
場所:山梨県立科学館 スペースシアター
対象:小学生以上
費用:一般・大学生500円 高校生300円 小中学生200円
申込:電子メールまたは往復ハガキに、代表者の方のお名前、ご住所、お電話番号、参加人数を明記の上、下記あて先にお申し込みください。5月21日(水)より受付を開始します。定員に達しましたら受付を終了いたします。

〒400-0023 山梨県甲府市愛宕町358-1
山梨県立科学館「星空トークショー」係
E-Mail:starmail@kagakukan.pref.yamanashi.jp
(@を半角に変えてください)

※詳細はHPをご覧ください。
http://www.kagakukan.pref.yamanashi.jp/cms/event.php?id=250


本日の衛星くんたちはますます好調のようでよかった。
ただし、受け手の側がちょっとうまくいかないようで、アマチュア無線家の皆様のご協力に支えていただいている様子。本当に、皆さんありがとうございます。。。。

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コミュニケーション

本日の衛星くんたちの様子。

日大SEEDSは、やっと、見つけてもらえた様子。
アマチュア無線家の方から、「オブジェクトJがSEEDSではないか」と連絡を受け、Jを追いかけるようにしたら、かなり通信がうまくいくようになったとのこと。これまで、いろいろ試した中では、一番反応がよいらしい。

「ウチの子はどれ?」なのかを突き止めていく作業がまた楽しいのだそうだ。

東工大では、またまた地上局のアンテナ改修をしたもよう。
大学の屋上のアンテナに登って作業している図はなかなか。今回は、夕方バージョン。(前回の写真は暗闇バージョンだった)

コミュニケーションが重要なのは、衛星も人間も同じ。衛星と地上との通信がうまくいかないと、他のすべてがうまくいっても、意味がなくなってしまう。

地上のアンテナが衛星のほうをちゃんと向いていないと、いくら衛星が話しかけても聞き取れない。会話が成立しないと、お仕事をするどころではない。

ノイズが大きいと、聞き取るだけで時間とエネルギーを使ってしまう。聞き取れないこともある。都会は違法無線が多く、宇宙からの衛星の声ではなく、地上の話し声が聞こえてきてしまったりする。

スイスイとコミュニケーションがとれるようになるといい。
地上の違法無線によるノイズがちょっと遠慮してくれるといい。

明日も元気にコミュニケーションがとれますように。


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連休終了

なんだか、バタバタとしているうちに、連休終了。
病院と事務所と自宅と実家を行き来しているうちに終わってしまった感じ。

衛星くんたちは、ちゃくちゃくと成長を遂げている様子。

東工大のCute1.7は、もうミッション部分のAPDモジュールの電源をいれたらしい。そして、すでにデータがとれはじめているとか・・・・
もうじき「定常運用」に移行するのだそうだ。写真も「ジグソーパズル」のように現れつつある。いったい何が見えているのだろう。ジグソーパズルの完成が楽しみ。

日大のSEEDSは、うまく受信できたりできなかったり、の様子。
日大地上局大改修も行われるのかもしれない。

それにしても、今、宇宙で飛んでいるSEEDSくんは、もともと予備機だった。2年前のロケット失敗のときに、製作したOBの方が「これもいらなくなったね」といって、手で気軽にいじっていたものだという。それが、いまや「押しも押されもせぬホンモノの衛星」さまになって、宇宙を飛んでいる。

開発者の皆さんは、どんな気分なのだろう。

「自分たちの衛星が、そこ(軌道上)にいるっていうだけで、なんか、嬉しいんだよね」というようなことを以前に聞いたことがある。

こういう不思議な感覚を皆さんは味わっておられるのだろうか。
あるいは、そんな気分を味わう暇もなく、運用計画を練り、ノイズに頭を悩ませ、その一方で大学の勉強をこなし、論文も書き、次の衛星を考えたりしておられるのだろうか。

連休が終了して、これからが「子育て(?)」の本番。
衛星のお父さん、お母さんたちの奮闘にエールを送りたい。


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つつじ祭り

Tsutsuji
午前中、けっこうな雨だったが、午後にはあがってきて、夕方には晴れていた。
ゴールデンウィークなのだが、入院患者の家族としては、病院に行かねばならず、仕事もせねばならず、なかなかお休みの気分にならない。父はちゃんと息をしてくれているだけでも嬉しいのだが、今日はおかゆを少し食べたとのことで、よかった。

病院から帰るとなぜか、何もしていないのにけっこう疲れているのに気づく。
こういうときは、気分転換に限る。ちょうど晴れてきたので、根津神社のつつじを見に行く。
うーん、やっぱり素敵。とてもきれいで、目の保養ができた。

昨日は、自分を元気づけるために、バラの花を買って帰った。
Rose
一輪挿しにさすだけで、なんとなく気分がよくなるのはなぜだろう。
幸せな気分で花を眺める。
状況がどうであっても、心は自由であっていい。

ゴールデンウィークと関わりなく仕事をしている人たちは、たくさんいらっしゃるだろう。休日というのは、実は電話もなく、メールも少ないので仕事ははかどるのだ。

日大と東工大の衛星運用メンバーの皆さんは、たぶん連休とは無関係。連休の意味があるとすれば、「授業がなくて運用に専念できて助かる」という感じなのではなかろうか。

東工大ブログによると、今日も地上局の大改修を行ったとのこと。各種センサー(たくさん積んでいらっしゃる)もきちんと動作しているみたいで、ヨカッタヨカッタ。

日大ブログによると、6回のパスをすべてしっかり使って、いろいろ試しておられる様子。アップリンクが通ったり通らなかったり、電波の状況もあって、なかなか一筋縄ではいかないらしい。

「ハンディー八木アンテナ」での受信も試されたようだ。ハンディーといっても、ちょっと外でやるには目立ちそう。
もっとおしゃれで目立たないアンテナがあるといいのに。。。(どなたか作ってくださいませ)

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