ナノ・ジャスミンのPDR
ナノ・ジャスミンのPDR(基本設計審査)。
午後2時から6時過ぎまでびっちり。審査する側と審査される側の机は分けられ、別々にすわっている。その他大勢は、まわりにすわって見学。私もその他大勢に入れていただいて、見学。
関係者の皆さんは、ここ数日というもの、目の下に隈を作って、資料の作成に追われていた。卒論の締め切りを1週間後に控えた4年生の稲守さんは、卒論そっちのけで準備にあたっていた。今日から泊り込みで卒論にとりかかるらしい。
審査のために呼ばれた方々は、この世界ではよく知られた方ばかり。ついこのあいだまで学生だった方もまじっていて、懐かしい雰囲気。筑波JAXAからはN田さんとT木さん、NICTからはK村さんとM下さん、ISAS・JAXAからはM原さんとT田さん。
審査される側は、天文台の郷田先生をはじめとするジャスミンチームの皆さんと、中須賀研究室のナノジャスミンプロジェクトチームの皆さん。D2の初鳥さん、M1の田中さん、4年生の稲守さん。ミッションや設計について、次々と発表していく。
酒匂プロマネが仕切っているので、進行はきわめてスムーズ。本日は紺のスーツにネクタイでびしっと決めている。ヒゲはいつもどおり。進行を仕切りながら、お茶やコーヒーの気配りも忘れないのが酒匂流。スターバックスのコーヒーまでちゃんと用意されているあたりがすごい。
どんな厳しいことを言われるかと思っていたが、PDRは、Positive Design Review の略だったのかな、というくらいに前向きなコメントが多く、ちょっと拍子抜け。
2008年に打ち上げの希望。H2A打ち上げ公募でも、Aランクの評価をいただいているそうだ。
PDRの後に、ピザとビールで簡単な懇親会。
素人の私がコメントすることはないので、懇親会でうかがったコメントをいくつか載せておこう。
「ついに、ここまできたかという感じです。今まで、(大学衛星は)動けばいいというレベルだったのが、これは完全にオトナになって、このままではうかうかできないな、と思いました」(審査員)
「はしにも棒にもひっかからなかったら、誰も何も言わない。できそうだから、みんな言うんです」(審査員)
「難しいけれど、物理的に不可能とは思わない。2008年?うーん」(審査員)
「2個作るというのがいい。1個あげて、不具合を直してまたあげればいいからね」(審査員)
「大成功まちがいなしです」(天文台)
「Yくんがなんと言おうと、精度を下げてでもやる。やってみるということが大事」(天文台)
(注:Yさんは、この精度が出なければやる意味がないとずっと主張しておられる)
「PDRまで到達したのがすごい」(どなただったか記憶が不明)
懇親会のあと、ナノジャスミンの検討会が引き続き行われ、審査で指摘されたことについて、議論されたらしい。
PDRが終わって、これからがプロジェクトの本番。実際に衛星を作っていくフェイズに入る。
もし、これが成功したら、実はすごいことなのだそうだ。
天文台ミッションとしては、もちろん世界初の成果となるが、工学的技術的な成果としても大きいものになる。
なぜなら、このミッション要求にこたえるためには、超小型衛星での3軸姿勢決定・制御、温度制御が必要で、それを2年で実用化しなければならない。これは、普通なら、チャレンジすることも思いつかないような高い壁である。
「工」という字は、「天と地を結びつける人の営み」を意味するそうだ。天と地を結びつけるのは「人」。
(引用:「宇宙樹」p63、竹村真一著)
天と地を結びつけるには、そびえたつ高い壁があったほうが結びつけやすいのかもしれない。高い壁は、きっとそのために与えられるのだろう。
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