スマちゃん設計会議

先週(10月6日)、スマートサットの1-bの概念設計のミーティングに出席した。
出席した大学は、7大学。12人+オンライン参加の1人。東大、東工大、東北大、日大、創価大、香川大、それに、道工大だ。

私の役割は、ここではアドミなので、契約や経理関係の説明をする。経理処理のしかたは、最初にきっちり言っておかないと、あとで大変なことになる。関係者がたくさんいる場合には特にそうだ。優秀なアドミの助っ人がいたら、どんなにか助かるだろうと、いつも思う。誰かいい人がきてくれないだろうか。きっちりしていて、気配りができて、きれい好きで、細かい作業が苦にならない人がいい。

先生の都合がつかなくて出席できなかった大学は、学生が代理できている。高度な技術用語が飛び交う真剣な場に身をおく彼らの表情はきりりと引き締まっている。口がぎゅっと結ばれ、眉間にしわを寄せて、一心にメモをとっている。こんなに若いときに、こんな場所にいられるなんて、なんと幸せな人たちだろう。

「キューブサットを作るのとは、わけが違いますよね」

皆が、そのことを認識している。自分たちのために衛星を作るのと、大きなプロジェクトの一部として衛星を作るのとでは、プレッシャーが違う。調整も大変になるし、気楽にひょいひょいとできるようなものではない。

「たいへんなのは明らかですので、それぞれ検討していただいて、おりたい大学は、おりてください」

まずは展開物の機構や構造を決めることになり、25日の夕方から、「大検討会」をすることになった。遠方の方も多いので、ホテルを確保して、深夜か朝方までみっちりとやることになりそう。

翌26日は、ドニエプルロケットのコスモトラス社がプレゼンテーション。その次の27日は、いよいよキューブサットXI-Vの打ち上げ予定が入っている。

この目白押しのスケジュールを見ると、何かの加速度を感じずにはいられない。最近、とみにスピードアップしているように思える。そのうえ、来週は福岡でIACが開かれる。

1ヵ月後に起こっているであろう状況を考えると、ワクワクする。あちらこちらで花開いていく物語のストーリー展開を想像するのは実に楽しい。

たくさんの心からの笑顔が満ち溢れていきますように。

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スマートな衛星

スマートサットという、相当に野心的な衛星の開発計画がある。静止遷移軌道まで行くというのもすごいし、二つの衛星がランデブーしてフライアラウンドするというのもすごい。しかも、静止遷移軌道でランデブーさせるのは、よけいに難しいのだそうだ。当初は、静止軌道の外に、という目論見もあったらしいが、それは断念。

ミッションは3つ。

●宇宙天気観測実験
●軌道上保全システム先行実証実験としてランデブ及びフライアラウンド/検査実験
●再構成通信機実験

いったいスマちゃん(なれなれしい?)が宇宙で何をするのか、これだけではよくわからないが、ともかく、これまでできなかったようなすごいことができるのだということは確からしい。

これは、NICT(総務省系の研究機関)と某民間企業がボトムアップで練ってきた計画で、実現すると相当なインパクトがある。もちろん、技術的にもチャレンジングなことはいうまでもない。

このすごい計画に、なんとUNISECが参加することになった。1-aというのが大きな本体の衛星で、小さなターゲット衛星が1-bと呼ばれている。この1-bの概念検討を受注したのである。

スマートな衛星の契約は、スマートな方が担当しておられるようで、契約に要した時間はほんの15分。競争入札とはいえ、まことにスピーディで効率よく進められるのにはビックリ。

打ち上げまでの道のりは、スマートにエレガントに進むことを祈ろう。打ちあがってから、やっと衛星はお仕事を始めることができるのだから。

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宇宙天気予報

宇宙天気予報」というのがある。
登録しておくと、宇宙の天気、つまりは太陽活動がどうかというのをメールで送ってくれる。といっても、専門知識がないとほとんど意味不明のデータ情報が届くだけである。

私はその無味乾燥のデータが何を意味しているのかわかっているわけではないのだが、「読書百遍、義自ずから見(あらわ)る」こともあろうかと思って、来るたびに興味を持って眺めている。太陽フレアによって、宇宙空間にいる衛星たちに影響があるらしいことくらいはわかるが、どの数値だったらどうなのかなどはよくわからない。

しかし、宇宙天気予報という言葉が楽しい。調子が出ないのは太陽フレアのせいか、などと怪しい似非科学者を気取るのも悪くない。医学的調査によると、太陽フレアと体調の間に相関関係はないらしい。しかし、調査とか統計とかいうものは、100%信用することはできないし、もしかしたら、特に鋭敏な体内センサーを持っていれば、太陽の変化に感応することもありえるかもしれない。

その宇宙天気予報に深く関わっている方とお話する機会があった。
太陽活動について詳細がわかってきたのは、つい最近のこと。ここ20年くらいの進歩が著しいのだそうだ。ということは、今活躍中の研究者たちが道を開いてきたわけである。すばらしいことだ。私の目の前にいる人もその一人。

その方(仮にA氏としておく)の驚くべき発想力と行動力にびっくり。やはり、できる人間は違う。

私:「こういった活動はすばらしいですから、やはり、テレビなどでお話されたらよいのでは」
A氏:「テレビは出たくないんです。一度、テレビに出演させられたことがあるんです。そのときに、自分の顔を見て、すごくショックだったんですよ。こんなにブツブツがあるのかと思って」
B氏:「あ、それわかりますよ。僕も同じ経験があります」
A氏:「それでね、一生懸命石鹸を探したんです。やっといいのにめぐりあってね」
一同:「せっけん?」
A氏「マルセイユ石鹸っていってね、大きいのを切って使うんですが、これがいいんですよ」

一同、A氏の丸い顔をまじまじと見つめる。ごくごく普通の顔に見えるが、その特別な石鹸の効果はあったのだろうか。

A氏:「え、その・・・顔はあんまり変わらないですけど、手足はスベスベになりましたよ」

なるほど。手足がスベスベになるのか、と妙に納得。しっかりホームページでチェックしてみた。(が、気鋭の研究者ではないせいか、購入にはいたらず)

やはり、未知の分野を切り開く人というのは、通常の発想をしていてはいけないのであろう。常に前向きに状況の改善を図り、試行錯誤をして、最善の道を探す。そして、何よりも行動を厭ってはいけない。

いつかお茶の間に「宇宙天気予報」が流れる日を楽しみに待とう。

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